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第七魔眼の契約者  作者: 文月 ヒロ
第二章光と叡智交錯する魔の祭典
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閑話・猫真緋嶺の白昼夢(2)

 第六魔法学院入学前の時期。


 猫真家の屋敷にある一室の扉が閉められると、室外に出た猫真緋嶺は小さく溜息を零した。

 その背後に一つの人影が近付く。


「お疲れ様でございます、お嬢様」


「ネネですか。お父様と話をしていただけですよ。(かばん)を」


 ネネから静かに差し出された鞄を受け取り、緋嶺は赤い絨毯の上を歩き出す。

 後ろを着いて行くネネが尋ねた。


「また、話を先延ばしにされたのですね?婚約の件」


「……いいじゃないですか。お父様は急ぎ過ぎなんですよ」


「とはいえ、あまり猶予はないかと。先日、最悪は強引に話を進めるだとか……そんな話を盗み聞きしましたが」


「それ、本当ですか?……なおのこと、早く相手を探さないとですね」


「ならば、ネネはいかがでしょ――「却下です」……左様でございますか、残念です」


 溜息を付いて、「止めましょう、この話は」と緋嶺はつまらなそうに言った。


「今日は入学試験じゃないですか、試験に集中させてください」


「第六魔法学院。お嬢様であれば、入学は容易かと思われますが。どうせ入学後、位階も本来の位に昇格なされるのですし」


「家の方針ですからね。必要であれば全力を出すつもりですが……まぁ、何となくやる気が出ないじゃないですか」


【魔術師】は恋をしない。

 そうなる以前に相手が決まっている。


 出来ないなら、最初からしようとしなければいい。


 そう考えている緋嶺としては、両親が選んだのよりマシな相手が見つかればいいかな、程度にしか期待はしていない。


 ただ、どちらにしても憂鬱な問題な事に変わりはない。


「そんな事より、最近きな臭い話をよく聞くのですが。ネネ、調査は?」


「進んでおります。一般人が魔術を行使し、悪魔召喚の儀式を執り行う事件が相次いでいるようです。その際、悪魔を呼び出した人間が魔障を受ける、あるいは死んでいるのだとか」


「原因の特定は」


「一般人には魔術の知識もなければ、当然魔力もありません。しかし、それを手助けしている者が陰にいます。証拠はありませんが、人死にが出ている事、悪魔召喚を使っている事……それらを考慮すると犬神家の可能性が高いかと」


「あの家ですか……。では、引き続き調査をお願いしますね、ネネ」


(かしこ)まりましたお嬢様」


 一般人への魔術知識の流出は禁忌とされている。


 緋嶺は裁定官ではないが、ネネの話の通りならば、【魔術師協会】の規定によりその【魔術師】を捕縛する義務がある。

 面倒だが、近々その責任とやらを果たさねばならないらしい。


 とはいえ、今日は試験日。それも入学の。


 意識を切り替え、猫真緋嶺の足は第六魔法学院の方へと向かうのだった――。






文月です。


本当はもっと早くに投稿するつもりだったのですが、病気や予定が重なって中々書けず……。

すみませんでした。


次はストーリーの分量も多めに出来たらいいなと考えております。

話は少しずつ固まって来ている感じですので。



※前もやりましたが、一応宣伝も!


【アンデッド・ゲームズ・メモリー(なお、作者なのにサブタイトルはやっぱり長過ぎて覚えていない……)】


の連載版→現在51話。

デスゲーム系のシリアスなお話です、多分。


ので、「そういう作品が好きだぞ」という方はぜひ。





最後に、

本作を面白いと感じられましたら、


★評価、ブックマーク、感想など……頂ければ嬉しく思います。


《完了》

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