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第七魔眼の契約者  作者: 文月 ヒロ
第二章光と叡智交錯する魔の祭典
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第45話・第一魔眼の【適合者】(1)

「別に悪い奴じゃねぇよ、悪戯癖はあるけどな。【魔術師】の中じゃ礼儀正しい方だし、位階じゃ瞳のが上だろうが。それに、落第にならなかったのはあいつのお陰だしな」


『こうなる事を見越して知恵を絞ったんです』


 緋嶺の言葉が悟の脳裏に蘇った。

 落第を通告されたあの日に、確かそんな事を言われたのだったか。

 ――今度、何か礼しとかねぇとな……。


「まっ、兎に角、あのにゃんこに関しては位階だとか、んなくだらねぇ事は気にすんなって話」


 思考を途中で切り替え、悟はそう続けた。


「わぁってるって。位階は飾り、大事なのは魔術と魔力の使い方、だろ?」


「琴梨先生の受け売りだけどな。……んじゃ徹、やっぱ――出るのか?」


「おうよ。出るぜ、今年の魔法祭は」


 左右の如月小雪、小萌蛇操紗へ確認するように目配せすると、徹はニィッと笑みを作って返事を告げた。

 どうやら、本人達の意思は固そうだ。


「え、ちょ、ちょっと待って。魔法祭に出るの?その、流石に危険じゃ……」


 話に割って入ったのは瞳だった。

 しかし、


「そうも言ってらんないのよねぇ、瞳。あたし等みたいな本当に弱っちい【魔術師】の家だとかは、多少無理してでもどっかで良い実績残して家盛り立ててかないと、近いうちに廃業よ廃業」


「ぁ、そっか……」


 操紗が愚痴を零すようにして自分達の現状を伝えた事で、瞳は何も意見出来なくなった。

 何か思うところでもあったのだろう。


 ――なるほど、君は彼等の手伝いのために出る、と。


 ノウズの思念を受け取った悟は、魔眼が浮かべる納得の微笑を横目で見る。


 ――何か言いたそうだな?


 ――ふふっ、【魔術師】を辞めるために……だったかな。いいのかい?あまり彼等と関係を深め過ぎると、返って後で辞めにくくなる気もするけれど。


 ――何を言い出すかと思えば、んな事かよ。お前と契約した時点で、今更だっての、ノウズ。こっちはもう長生き出来りゃそれで良いし、それに……あいつらを焚き付けたの、俺なんだよ。なら、その責任取るのは当たり前だろ?


「ん?どうしたよ、悟」


 不意に、徹が首を傾げて訊いて来た。


「ぁあ、いや、何でもねぇよ」


 悟はノウズとの会話を切り上げると、ニィと口角を上げ、吸血鬼のような鋭い犬歯を見せた。


「それより徹、魔法祭に出る奴のリストアップはしてんのか?」


「当然。ほら、これだ。で、それがどうしたよ」


「俺が【天眼】で、相手にした時に相性悪そうな奴の魔力を見る。同じクラスの奴等は兎も角、他の連中の情報はあんまり持ってねぇだろ?まぁ、時間ねぇから後でだけど」


「なるほど、そいつぁ助かるな。てか悟、お前の眼、んな事も出来んのかよ……」


「他に簡単な透視とか、霊視とか、色々な。例えば、この食堂だったら……」


 と、【天眼】で食堂内の生徒達を見つつ、そこまで言った時だった。

 悟の意識が、一人の男子生徒に集中した。


 ――白い、【魔術師】?








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