頭をポンポンしてくる彼氏
「わたしすぐ頭ポンポンしてくる男嫌いなんだよね」
女は自分の手元を忙しそうにしながら隣に座る彼氏に話しかけた。男は一瞬ギョッとして、それから困ったように笑う。
「なんで?」
男としては当然の疑問だった。なにせ彼女が自分を見ながら言ってくるわけで、しかも今までの行為に思い当たる事柄しか無かったからだ。
「なんでって、すぐになくから」
女は彼氏に目もくれず俯いたまま、そう答えた。それは彼女にとって経験則であり、彼氏がそういう男だった。女はそういう部分を直してほしくて言っているのだが言葉は届かなかったようで。
「んー、いや、そんなことないと思うけど」
男はなきながら答えた。その様子に彼女はハァ、と一つだけ深い溜め息を吐いて男を苛立たしそうに睨む。
「あ、それロン」
男が手牌を倒す。字牌はなく一九牌もない。
更にいえばドラも乗らなければ赤ドラもなし。
「ついでに言えば、やっすい男だからよ」