たったひとりのだれかへのうた
私が世界に残すものは、
肉体でも、思い出でもなく、
詩がいい。
私が世界に残すものは、
色づいた感情、
悲しみと情愛、
刹那の美しさ、
そして、果てしない空白。
美しい花にかくれた、小さな雑草が
誰かの心を癒やすように、
私のこのちっぽけなうたも、
誰かの心にとどくなら……。
この世界に存在する、事物、事象のすべてよ
うたによる、魂の交わりを感じよう
心の寂しさを、慰め合おう。
心のおとに耳をやり、
感情のメロディをかなでよう。
過ぎ去ったもの、これからはじまるもの。
すべてが、
うたによってひとつになる。
私たちはひとりだけど
ひとりで生きているけれども、
けっしてひとりではない。
いつかは、そう感じる
このちっぽけなうたが、あなたにとどきますように