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謁見

 王様との謁見。

 住む世界の違う権力者、身体の隅々まで緊張して然るべき存在、のはずなのだが……。


「ソラ! よく来てくれた! 久しぶりだなぁ、呼んだのはいっつものやつだよ、各支部からの定期連絡聞いてきてくれ。ま、小旅行だと思って楽しんできてくれよ。いつもならカヌマとボラは連絡よこしてくれるのに今年はそれすら無かった、つまり国内全支部からの連絡が無かったんだ、良かったな国内一周旅行だぞ!」


(このおっさんは相変わらずだな)


「どうした! 嬉しくないのかー? 国王自らが忙しい騎士団長様に旅行行って来いって言ってんだぜ。何だったら友達でも連れて行って来いよ。よっぽど帰りが遅くならない限り融通してやるって」


(……ひとりでこんなに、よく楽しそうに話せるな)


 頭で考えていて声には出さずにいると、しばらくの静寂が場に生まれる。

 そんななか、同席したカランコエが急に喋り始めた。


「団長、ちゃんと返事をしてください! 無言でいるので無視してる様に見えます。国王も無限に口が回るわけじゃ無いですから、ちゃんと会話してくださいね! 仲が悪いわけじゃ無いんですからそんな客観的に見た時に不仲に見える空気を出すのは二人だけの時にしてください。見て下さいラスリを、二人を見て不安な顔になっちゃってるじゃ無いですか!」


 なんでだろう。返事に困る対応をしてきたのは王様なのに、おもに俺へ向けて厳しい意見が来てる気がする。


「さ、どうぞ会話して下さい」


 カランコエはそう言うが考えて会話なんてうまく出来ない。

 四人でいるにはだだっ広い空間に、高そうな机と椅子だけが置かれている。

 王様から俺への信頼感が厚いのを知っているからか平和ボケしているからかはわからないが王様はたった一人で俺たちと一緒にいる。

 この平和な王国では大きな事件など数年単位で起きていない。それを支えているのがこの王様だって言うんだからすごい人だとは思うけど。


「もうちょっと依頼っぽく話してくれても良いんすよ。ラスリなんて若いんだから王様と直に話せるの初めてだろうし、色々と理想とか壊れたんじゃ無いかな」


 ラスリの顔を見ると、信じられないと言う目で俺を見ていた。


(えっ、また俺なの? 俺ちゃんと会話してるし、それでもびっくりしてるなら王様がゆるい性格だからなんじゃ無いのか?)


 ラスリの気持ちが全くわからない。

 何を考えているのかじっとラスリを観察するが、額から汗が溢れて体調が悪そうに見える以外さっぱりわからん。


「国王様はこの国で1番偉い方なんですよ!? 俺、他の国の話を聞くたびにこの国の平和さ、素晴らしさを実感し続けて生きてきました! この統治が行えるなんて偉大な国王様です。初めて出会えて感激していました。

 それなのに団長と来たら、どうしたんですか。

 国王様がこんなに砕けて話してくださるのに無視なんかして、その上に敬語もなしに話しちゃったりしてっっっっ‼︎ 不敬罪ですよこれは、なに笑ってるんですか団長! 失礼ですって、一緒に謝りましょう。

 俺なんかの土下座じゃ安すぎてなんの解決にもならないかもしれないけど、さぁ、一緒に膝をつくんです! 俺の隣に座って下さい、ほらっ早くしましょう!よし、座りましたね、せーのでいきますよ、大変申し訳ありませんでした、ですよ団長。

 せーのっ! 大変申し訳ありませんでした‼

 って団長なんで言わないんですか」

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