異世界チーター
俺はチーター。顔だけだがな…………
「ママー! あの人チーターだよ!?」
「しっ! 見てはいけません!!」
体付きはモヤシで力は無く、足も遅い。頭も悪く魔法も使えない。ただ、顔だけはチーターだ。
「ママー! あの人強そうだよ!?」
「しっ! 見ないの!!」
最近、知覚過敏で物を齧るのですら辛い。折角の牙もリンゴにすら負ける始末だ。
「ママー! あの人の事好きなんでしょ!?」
「しっ! チーターは好きだけど顔だけチーターは嫌よ!!」
……ふっ…………仕方ない。一人寂しく酒場で仲間を集うさ。
「顔だけチーターはちょっと……」
「ごめんなさい猫アレルギーなので……」
「女の子しか募集してないんだよね」
「せめて魔法が使えないと……」
「臭い!!!!」
結果は惨敗だった…………
顔だけチーターの俺を仲間にしてくれる冒険者が居るわけも無く、俺は寂しくホットコーヒーを頼んだ。
「あちち……」
バッドスキルな猫舌を恨みつつ次なる作戦を練る。
(せめて足もチーターだったらなぁ…………)
……!
(そうだ!!)
その時俺は妙案を閃いた。
(俺みたいに残念な冒険者で集まれば良いんだ!!)
俺は各地を訪ね歩き、俺みたいな奴等を探し回った。そして……ついに二人の仲間が見付かった!!
「どうも……ケツだけゴリラの【ホーモレット】と言います」
「私、首だけイグアナの【ナーナッツ】です。ヨロシクね♪」
俺達は意気投合し、明日ダンジョンへ向かうこととなった―――!!
『僕達結婚することにしました。 ホーモレット&ナーナッツ』
俺は宿に残された置き手紙を握り締め、涙を流しながらダンジョンへと駆け込んだ…………
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