7. 猫の神さま ※彩色担当
Twitterに書いたものを加筆修正。
猫の模様を描く神さまがいる。袖が邪魔にならないように襷をかけて、仕事に向かう。
神さまは仕事はキライではないが気まぐれで、仕事は激務。ことに春先と秋はベビーラッシュだから、いつも夜遅くまで絵筆をふるっている。
日が高いうちは、実に緻密な模様を描き上げる。きれいな縞模様、彩かな三色、漆黒に塗りつぶして瞳に星を入れる。
しかし、いかんせん夜は一杯ひっかけての作業になる。
ほろ酔い加減で筆を握れば、思わぬ方向へ筆は滑り、縞模様は時おり乱れ、筆に含ませた黒は足りなくなって慌てて水で伸ばすと、むらが生じる。ひっくり返した絵具皿の色がまだらに飛び散り、ついには彩色半ばで眠ったり、塗ることすらせずに母猫のお腹にもどしたり。だからときおり真っ白な猫もいるわけで。
ああ、失敗しちゃったかなあ……と眉間に皴を寄せるときもある。
でも神さまは知っている。どんな柄であろうと、その猫を愛する人がいることを。
今日も神さまは筆をふるう。猫に仕える人たちに、少しばかり甘えながら。
うちのハチワレの色むらは、こんな理由ではないかと。三毛猫は、当初赤トラになるはずだったのでは? 神さま、両足の縞々かいて気まぐれに途中で方向転換したんじゃないの? と思っている。




