2. SF
例のホシゾラの
#月が綺麗なので月絡みの話をかこうよ
彼女は空に浮かぶ船から来た。
船から月へ十八で嫁ぎ、七人の息子と一人の娘を生んだ。
「かあさん」
七人の息子は、母の旅立ちの枕辺へ集まった。
母は、聖母だった。百年ぶりに月で女性を産み落とした母として。
「船に……」
かすかに動く唇。
健在だったときに、わずかに聞いた。船での暮らしを。
同級生のなかでも、引っ込み思案で目立たない娘だったこと。いつか娶あわせる人を夢想していたこと。
それから、一人の転校生の話。
「飛び抜けた美少女だった。みんなが地球への希望を出すなかで、彼女は月のよさを教えてくれたの」
汚染されて、浄化半ばの赤い海より、月のドーム内の人工海の美しさはかつての海と遜色ないほどだと静かに語ったそうだ。
自分はその言葉に導かれて月に嫁いだのだと。
「船へ……」
母の痩せ細った指がかすかに動く。
船へは戻れないのだ。あの船はいちど降りたなら、二度と乗れない。月も地球の政府をしても手の届かない特別なクニだから。
長兄が眉間の皺を深くする。次兄は目をおおう。
月の海が見える病室。ドームの向こうに地球が昇る。
寄せては返す波の音を母は愛した。
#笑うという文字を使わずに笑顔を文学的に表現してみろ
髪を切ったの? 前のロングも良かったけど。ショートも似合うんだ。アクティブな君にはむしろしっくりくるね。
ぼくの言葉に君の口許がゆるんでくる。困ったように下がる眉。でも両頬がほんのりと薔薇色になっているよ。
こちらは使わないけど