1. ss
まずはちょっとずつ、書こうと思うのです。
ぜんぜんお約束をまもらないし、山なし・オチなし・意味なしです。
たびーさんは『ここから先は立ち入り禁止』をお題に、140字でSSを書いてください。
一般車両は入れないんだ。今は救助が最優先で。消防、救急車、パトカー。沿岸への物資の輸送。ヘリも何機も飛んでいる。心配なのは、分かるよ。数字の一と一人の「一」の意味は違う。それぞれがかけがえのないものだってことも。
大丈夫、一日一日よくなる。よくなっていく。心苦しいけれど、今は耐えて欲しい。
人魚のうたを聞いたことがあるかい。
わたしか? あれがそうだったのか分からないが。誰もいないはずの土蔵から何やら歌が聞こえたことがあったよ。雨の日だった。奥座敷に風邪で臥せっていたら、かすかにしたんだ。最初は雨と風の音かと思ったよ。家の裏はすぐに掘割だし、船がゆく音かも。でも違った。布団を抜け出して土蔵の白い扉の前に立ったわたしの耳にはしっかりと響いた。ときおり、すすり泣くように歌が途切れた。聞いていると胸がかきむしられるような哀しさがあったよ。
どれくらい続いたのか。土蔵の前で倒れていたわたしは、また布団に戻されていた。母にこっぴどく怒られたよ。
風邪が治ってから、土蔵へ入ろうとしたけれど、錠がかけられてあったからね。鍵は大爺さまが管理していた。特別の客だけが土蔵へ案内された。
家の欄間、知っているだろう。あれに人魚が彫られているのを。
うちにはあるらしいね。人魚が。もっとも代替わりしてから、土蔵をくまなく調べたけれど、何もなかった。
一度、大雨と大潮が重なったときがあって、土蔵の裏から掘割の水が流れ込んだ。そのとき、人魚は逃げたのかもしれんね。
ああ、ときおり思い出すよ。まるで水底から震える波のように聞こえた歌のことを。
「ウソなんだろ? 蜥蜴のマダムとか。ぜんぶ」
おれの言葉にモニカは上目遣いでにらんだ。そんな顔をしても信じない。
実際、モニカは嘘つきだ。庭の薔薇を折っていないと言い張り、学校での成績は一番と言っているのにろくにフランス語も話せず。夏のバカンスで顔をあわせたいとこたちからは、すでに相手にされていない。
もっとも、モニカのママもママだから。いつも派手な化粧と安っぽい服で、ガチャガチャした連中と付き合っている。だから実の母親の奥様とは険悪な仲だ。うちの母さんが、毎日一触即発の屋敷の雰囲気に頭を悩ませている。
それでもって、モニカの嘘につき合わされている、おれ。
「ほ、ほんとうだもん。マダムの本棚はここにあって」
「はあ? ここに?」
モニカに案内された秘密の書庫という名の物置部屋。
物書きタグbot
@monokakitagubot
3月8日
#夕や黄昏という文字を使わずに夕方が来たのを文学的に表現してみてください
頬にあたる茜色の光が少しずつ弱くなっていく。
今朝、あたらしく下したブーツは合格点。長く歩いても、靴擦れもできていない。足元の長い影は灯り始めた街灯に、二人三人と数を増やしていく。さあ、帰ろう。かつん、とブーツの踵は軽快に鳴った。
#夜という文字を使わずに夜が来たを文学的に表現してみろ
#月が綺麗なので月絡みの話をかこうよ
姫は夜ごと、空を見上げて泣いた。
夜空には、青く輝く星が光る。
「どうされましたか、姫」
いつものやり取りだ。姫の長い髪が表情を隠す。わたしはそっと手巾を渡す。炊き染めた伽羅の香りがわたしと姫の間に漂う。
「何が、かなしいのか分からぬのです。ただ、あの星を見るにつけ涙が止まらなく……」
絞り出すようにして応えた姫の大きな瞳に涙が盛り上がる。
きっと、彼の地で過ごした記憶がわずかにうずくのだろう。思い出は、すべて地上に置いてきたと思われたのに。彼の地に潜み、姫の動向を見守っていた輩からの報告は耳にしている。
「泣かずともよいのです。わたくしどもは、いつでもおそばにおります」
すべて忘れてしまえばよい。野蛮な地での思い出など。
「ささ、こちらへ。あまり夜風にあっては、お体によくありませぬ」
明日、薬師に追加の薬を持ってくるよういいつけよう。
#明日の予定を次回予告風にいってみる
物書きタグbot
@monokakitagubot
3月7日
その他
#泣くという文字を使わずに泣き顔を文学的に表現してみろ
#怒という言葉を使わずに怒り顔を文学的に表現してみろ
#煙草という文字を使わずに煙草を吸うを文学的に表現してみろ
書くことを楽しもう