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恋愛荘と十人十色の恋心。  作者: 恋田ぽん
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ー春ー 桜に見守られながら

第1章・桜に見守られながら


遂にこの季節が訪れた。

カラッと晴れた空は何日…いや。何ヶ月ぶりだろうか。


私、世田谷 悠菜は

世に言う「春」を迎えた。

高校生1日目。

これからお世話になるであろう桜並木道を歩く。

この町、並木町に来て7日。友達と呼べる友達は無きにしもあらず……

これから作ればいいじゃん!などと自分に言い聞かせてみる。


おーい!ゆうなー!


後ろから声がする。

前には猫と小さな犬しかいない。

私に対する合図なのだろうか。

少し振り返ってみる。


振り返るとそこには

見た覚えのある長い髪。モデルと言っても過言ではない容姿。


同じ中学校だった西脇果恋が大きくコチラに手を振っていた。


「れんちゃん?」


私の口から久しぶりに出た単語「れんちゃん」。


この町は元いた町から長い長い時間をかけて引っ越してきて

この場所だと知り合いと会うことなんてないだろうと確信していたのに。


「ゆうー!久しぶり!ゆうは桜並高校か!」


れんちゃんは私のほうに寄ってくると私の制服をチラッと見てそう言った。


「れんちゃんは…柏木高校…?それよりなんでここへ?」

柏木高校といえば元いた町にある高校と同じくらいの偏差値だし

無理にここまで来る必要もないだろう。

「実は…ゆうに頼みたいことがあってね…。ゆうを追いかけてきたんだ!でも、ゆうみたいに頭良くないからさー。柏木高校に行ってーゆうに会いにいこう!って思ってね。」

れんちゃんは淡々と喋る。中学校から変わらないれんちゃんに何かしらの安心感を抱いた。

頼みごとってなんだろう。

音楽関係かな?

私もれんちゃんも中学校では吹奏楽をしていて私がフルート。れんちゃんがトランペットと、

我ながらいい青春をした。

でも今更音楽の頼みごとって。

素直に聞いてみることにした。

「頼みごとってなに?」

そう聞くとれんちゃんは顔を赤く染めてボソッと呟いた。

「れんあい。。」


これを聞いて私はびっくりした。

モテる要素ありありのれんちゃん。でも男子と触れ合うのが苦手で告白されてもフるのがおなじみのルーティーンになりかけていた。(私の中ではなっていた。)だから自分から恋愛なんてしなかったし今までの彼女の中には恋愛の「れ」の字もなかったはずなのに…。

「れんちゃん…本当に?」

驚きは口調にも出てしまう。それを察したのか、れんちゃんの顔はさらに赤く染まった。

「だってゆうはさ…。沢山の人と付き合ってたじゃない?だから…。」


そう。私は自分で言うのもなんだが、沢山の人と付き合ってきた。

中学校では「恋愛番長」などと悪気ありありなあだ名を付けられたりしたものだ。

高校生になったからそれは思い出としてもう二度開けない引き出しに閉まっていたはずなのに。


道を歩き続ける。桜はまるで私たちの話を聞いているように優しく風に乗っていた。

「好きな人が…できたの?」


この質問にれんちゃんは首を振った。

予想外の答えに私の脳内は混乱していた。

好きな人じゃなかったら何ができて、それを恋愛というカテゴリーに入れたのは何故なのか。


「人の恋愛を応援したいの。」


大丈夫か?れんちゃん。

それはれんちゃんにとって何の役にたつのだろうか。

しかもそれは誰の恋愛の事を言うのか。


まっ…まさか。私の恋愛…?

な訳ないか。


「アパートの大家なの。私。」

いや。だから何?だよ。れんちゃん。

まあ高校生がアパートの大家って。疑問がないわけでもないけど。


「恋愛する人が住居する恋愛荘を作りたいの。」

もはや厨二病を疑われるほど不可能に近いその考え。楽しそうだなと思わなかったといえば嘘になる。

意外といい考えなのではないだろうか。

いや。そう思う私も相当ヤバいのか。


「そこでゆうに管理人をしてもらって…。恋の相談とか二人で聞けたらな…って。」


脳内会議は幕を閉じた。

気づいたときにはれんちゃんの手を取って頷く私がいた。

「いいね!協力するよ!」


桜が舞うカラッと晴れた春のとある日。

二人の厨二病ちっくな高校生の無謀な計画は幕を開けた。





どうも恋田ぽんです!

昔からお話を書くのが好きでこの度、小説家になろう内で書いてみよう!と思ったので書いてみました!

学生なので更新頻度は少なくなると思いますし、まだまだ未熟者なので誤字やよくわからない文などもあるとは思いますが、次作もよろしくお願いします。

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