みー4 海の上
いやー乱世乱世。秘密はばらすものです。
せっかく来た犯行現場は鑑識作業中とかで入れてもらえなかった。当たり前である。
甲板で潮風を浴びながら、探偵団、おもに9にここまでのいきさつを含めた事情を聞かれる。だって、あとの二人が二人なのだ。
十四男、トシは第一印象の通りおバカだし、ひじりは喋らない。しかもたまにそっちを見るとギラッと睨まれる。疑われているなあと思ったがそうでもないようだ。大体、心を読もうとしてもなぜか見通せない。
テレパス云々の話を抜いて話したつもりだったのだが、9はふいにこう言った。
「ひじりの心は読めないよ。あの子は父と兄が君と同じでね、思考を暗号化するのが癖になっているんだ」
キラキラの瞳が面白そうに笑っているのを見て、みーはやっとおじさんの視界越しに9と目が合ったことを思い出したのである。
「えっ……9ちゃんも、こうなの?」
「違うな。似たようなものではあるが……こらこら、あまり睨むんじゃない」
叱られたひじりは9のこともギラッと睨んでぷいっとそっぽを向いた。それからふらっとどこかへ行ってしまう。9が大きなため息をついた。
「……みー、彼のことを嫌わないでくれ。ひじりには人見知りの気があるんだ」
「そ、そうなんだ?」
心が読めないからそれだけではないような気もするが、9が言うんだからそうだろう。
どうやらみーと同じテレパスの人は表に出ていないだけでまあまあいるらしい。多分彼らはみーに関する報道を「馬鹿なやつ」「恥さらしが」「ヤツはわれらの中でも最弱よ」と思って見ていることだろう。
船をつなぐ綱に集まる魚と戯れていたトシが顔を上げた。
「なーなー9、どうなんだよ?犯人そいつなの?」
やはり疑われていた。みーはじわっと変な汗を滲ませたが、9の心を見るにそうでもないようだ。とても穏やかで警戒はみじんも感じられない。実は自分を疑っているトシも心は穏やかなままだが、どういうことなのだろう?
「違うよ。そして彼女も今日からこの島の住人だ。トシ、君も仲良くしなさい」
「うん。よろしくなー、みー」
変な島だと思ったが、どうやらテレパスでもちゃんと受け入れてくれるようだ。よろしく、と返す。
「さて、何から話したものか……。みー、わからないことがあれば聞いてくれ。何分私たちは島生まれの島育ちでね、何から説明したものかわからないんだよ」
わからないことしかないが、今気になっていることから聞いてみることにする。
「警察の人がなんか違う感じなのは何で?」
いきなり二人の目が点になった。心の中に秘めていて口には出していないが何言ってるんだコイツといわんばかりの顔である。
「けいさつ……?警察屋なら今日はいねーよ」
「えっ」
じゃあさっきの銃を持ってる人たちって何。助けを求めるように9を見るが、彼女の反応も似たようなものだ。
「何か違うと言われてもちょっとわからないが、あそこにいるのは自警団だ。……こういうのは君の仕事だろう?」
「ああ。世間知らずは仕方ないね」
9の背後に、いつの間にかひじりが帰ってきていた。