何かが待ってる。
自分が中一の時、初めて感動できた曲のイメージです。また短いですが、スケールはかなりでかい。ゆっくりお読みくださいやせ。
「なんだろ?この壁?」
ずっと……ずっと先へ続く壁。終わりが見えない。
どこまでも……どこまでも……歩いても先は見えない。
「ずいぶんおっきいなぁ……」
上を見上げても、空を突き抜けているようだ。
しかし、歩いている内に、
「ありゃ?すき間だ」
絶対なる壁に光が溢れ出す。急いで少女は光の元へ向かった。
すき間も壁と同じように天高く続いていた。
「あ〜!なんか色んなものが見える!」
隙間から見えたのは、自分が興味をひくようなものばかりそこにあった。
でも、ここに居てはさわれない。
「うーーッだめだぁ……。とーれないよぉ……」
さすがにこの狭さではいくら少女の小柄の体をもってしても通れなかった。
……諦めきれない。この先に待つ、楽しいものをもっと見てみたい。けど……。
でも無理なもの無理。少女の心はすでに折れかかっていた。
その場で立ちすくむ……。
…………諦めて、違うところへ行こう。少女はそう思った。その時……!
「えっ?!お侍さん!」
何人ものちょんまげ頭の青年達が、何処からともなく現れた。
一人が優しい微笑みを少女に向ける。
そして、青年の号令と共に全員、一斉に壁に向って突進をする。
「危ないよ!やめてえ!」
お侍さんは一切、聞く耳を持たなかった。
「ぶつかるっ!!」
あまりの怖さに目をつぶる。
物凄い衝撃音がした。壁には何ら変化はない。
しかし、そのまま壁を押し続けている。
「なんで……?どうして……?」
少女は侍達の無謀な行動に困惑する。
「意味無いよこんなの……えっ?」
また別の衝撃音がした。
「恐竜さん!!ほかにもいろいろ!!!」
次々に色々な人や動物が現れ、壁を力一杯押し始める。
「原人さん、お魚さん、マンモスさん、いっぱい……いっぱい!!」
少女はド迫力で奇怪な光景を目の当たりにし、喜びや興奮で心の中の何かが溢れ出てきた。
「なんで?!なんで!!みんな?!なんで!!」
隙間の向こうから声が聞こえる。
「後は君だけだ」
少女は狭い中の光に包まれし世界に目をやる。
知らない人。知らないけど温かくって、心地よくって。
彼を見ていたら自然にそう感じた。
「うん。わかった」
名も知らない彼に頷き、隙間のもとへ。
右の壁、左の壁に両手を突き、渾身をこめて、押した……!
他の者達もすべての力をこめて……。
絶対なる二つの壁……無限の大きさを誇る、時のドアは少しづつ少しづつ……開かれ……。
光に包まれた未来の世界は、その姿を次第に覘かせる。
もう少女が通るには十分な広さだ。
「……行ってくるね」
協力者達に手を振る。
そして、未来へ歩む。
「ようこそ」
彼は優しく出迎えてくれた。
……一度、振り返って見る。
ドアは元の状態に戻って、隙間からは……。
過去の小さな自分がいた。
手を……振っていた。
「もう、私はあそこに戻る事は出来ないんだ」
もう二度と振り返る事許されない。
「先へ行こう……」
また、壁が、ドアが目の前に現れると思う。
「でも、皆が居る。皆と進めば、何が来たって怖くない」
未来へ辿り着き、それでもまた未来を目指す。
意味はある。
先へ進めば、そう……
「何かが待ってる」
だから今日も彼女はこの道を進む。
「終わりなき旅」のあっしなりのイメージです。いい曲でございやすよね。今でも大好きでございやす。