生きる覚悟 殺す覚悟 (1)
陽が落ちて来ている‥‥‥辺りに注意を払いながら進んでいるのもあり進むのが遅い俺たちはまだ民家すら見つけられて居なかった。
「今日はこの辺りで野宿にしよう、悪いが食事はないからこのまま寝るぞ、火の番は交代でするからな。」
「焚き火の煙で追ってに場所がばれないか?」
「空は雲が覆っているから夜になれば気づかれないはずだ。」
「分かった、じゃあ今のうちに薪取ってくるよ。」
「頼んだ、その間に可能な限り何か獲物でも探してこよう。」
俺たちは集合場所を決めて辺りに散らばった
これがこの日1番のミスだった‥‥‥。
薪を適当に拾って集合場所に戻ると既にセレーネが獲物を持って待っていた、しかしその近くには馬から降りて跪いて何かを言っている騎士もいた‥‥‥。
「姫様、本当によくぞご無事でした!
タリス公より御命令を受けお迎えに参りました、
どうかタリウス砦にて御力を蓄え王をお救いください!」
「そうかタリス公が手を貸してくれるのか、それはありがたい、直ぐにタリウス砦に向かおう!」
俺は何かおいてけぼりな感覚にあいながら、今聞こえた疑問を聞いた。
「おいセレーネ?姫様ってどう言う事なんだ?」
「小娘、貴様姫様に向かってなんという口を聞いている!」
「待てこの者はよい、この者は私の友だ、丁重に扱え。」
「はっ、はぁご友人ですか?分かりました、無礼な発言を御許しください。」
「えっ、あっ、はい分かりました。」
「では姫様、砦までこの馬に御乗りください私がご案内します。」
「追っても近くにいる可能性がある、砦まで私達は従者のふりをするからお前が馬に乗れ。」
「はぁ、ですがしかし‥‥‥。」
「私が良いと言っているのだ良いから早く行け。」
そう言うとセレーネはこちらを見て言った。
「さっきの件は砦に着いたら説明する。」
「そうか‥‥‥分かった、ちゃんと説明しろよ。」
そう言って俺たちは馬に乗って進み始めた騎士の後を追った。
タリウス砦に到着したのは陽が落ちて、空が曇って居なければ月が見えるような時間だった。