生きる覚悟 殺す覚悟 (3)
「‥‥‥お前、王女様だったんだ‥‥‥‥。」
迎えの騎士が姫と言っていたからもしかしたらとは思っていたが、まさか王女とは思わず驚かされた。
「詳しい話は晩餐の席で話そう。」
「分かりました、しかし王女なのにその言動は少々下品ではありませんか?」
「ちゃんとした場所では深窓の令嬢のように話すんだから今は別に良いだろう、それよりお前まで私にそのように話しかけるな、元のように楽に話してくれ。」
「王女相手にそれで良いのかよ‥‥‥、まあ分かった普通に話すよ、さっ、食事にしよう。」
そこまで話した所で使用人は案内を再開し、俺たちは広間に移動した。
広間には既にタリス公が俺たちを待っていた。
「さっ、お掛け下さい、どれも食材から選りすぐられた一品です、ご堪能下さい、今日はお疲れでしょうから王様の救出については、また明日といたしましょう。」
「そうか、ありがたく休ませて頂こう、さて結城、今の現状について話をしよう。」
セレーネの話した内容はこうだった。
ここはアステル王国、トリアンテ大陸南部に位置し北東をベルチ国、北西をナスチア国と接していて、今は平和だが隙を見せたらいつ戦争を仕掛けてきてもおかしくないらしい。
故に今の状態は最悪らしい。
現在アステル王国は国の重鎮であったダール公の謀反にあい、首都は内側から崩され、王は捕らえられているらしい。
セレーネは部屋にいる時に襲われたため、隠し通路を通って逃げ出したようだ。
今回、俺たちをかくまったタリス公は、昔王の命を救った事で貴族になった者らしい。
話が終わった頃には皆食事を終えていた。
食事は豪勢なものだったが、箸以外のフォークやナイフを使ったものは慣れてないのもあり、タリス公はこちらを、何故このような下賎の者が王女といるのか、と言わんばかりの見下した視線を送っていたから、とても味のわかる物ではなかった。
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