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ある日俺は男だった

目が覚めた。

首を寝違えたらしい、ひどく痛い。

序々にはっきりしていく意識の中で、自らの部屋の異変に気付く。何だか他人の部屋に入ったような感覚を覚えた。起き上がって部屋をよく見回してみると、部屋そのものは同じだが、置いている物や配置が全然違う。一体どういうことなのか?落ち着いて何が起こったのかをじっくり考えてみるが、心当たりは全くない。頭に手をやって初めて気がついた。

    髪が短い・・・!

昨日まで確かに肩まであった髪がすっかり短いのだ。びっくりしてベッドから飛び起きた瞬間、自分の足が目に入った。

    大きい・・・。

以前にもまして大きくゴツゴツしている!よく見れば手も大きい!慌てて会談を駆け駆け下り、洗面台の鏡を覗き込んで、思わず声を上げてしまった。

「うわあっ!」

そこには、女ではなく、男の姿が映っている。いったい何が起こったのか・・・。驚いた顔のその男は、まじまじと自分を見つめている。その顔は、どことなく溝内理沙の面影を残した、まさかの自分だった。相変わらず色白だが、がっちりとした骨組みに、今まで気にしてきた奥二重も、全て男らしく見える。属に言う“二枚目”というやつだ。

 放心状態になり。その場にしゃがみ込んでしばらく考え込んでいると、昨日の夢をふと思い出した。まさか・・、そんな。夢が現実になるはずなんてない・・。そうだ、まだきっと夢の途中に違いない!ありえない!

「お兄ちゃん、な、何してんの・・?」

後ろでふと声がした。妹の真希が起きてきたのだ。バッと振り向くと、そこには昨日と変わりない真希がいる。でも、なぜ真希は変わりないのだろう・・。どうか、自分の性別だけがそっくり入れ替わってしまったのか。フラフラと立ち上がると、真希の隣を通り抜けて、とりあえずそのままトイレへと向かった。こんな時でも自然の欲求には逆らえない。真希は変な顔をして後ろから声をかけた。

「貧血なの・・?」

その後、トイレで大変な事件が起こる。いったい何がどうなったか、だいたい予想がつくだろう。そう、生まれて初めて父親以外のアレを見るはめになるのだ。っといっても自分のであるのだが。

 おかげでトイレを済ませて朝食を食べに机に着くまで、約十分近くもかかった・・。トイレの事件で、これが本当に自分の身体なのか?っという不安感がいっぺんに沸いてきたのと、この先ある未来についつい喜びの笑みを漏らしてしますような両方の妙な感覚で、新しい自分の生活を期待する気持ちが膨らむばかりだった。

 もちろん妹の真希や両親が変に思ったのは言うまでもないが。


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