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ちょっと遅くなりました。

「あの、勇者様?そのお召し物は何処から?」


「お前に突き立てた大太刀けん同様に俺の魔力で構成した奴だから気にするな」


書類仕事用のスーツから戦闘用の完全武装モードに切り替わったのが今の俺。


今の恰好は据え置き機と携帯機の両方で出たとある和風狩りゲーのパッケージやチュートリアルで着てた防具に近い。


「勇者様、その言い難いのですが、これから陛下に拝謁していただくので、兜の方は取っていただきたいのですが。流石に顔の上半分を覆っているままでは不味いので」


「断固拒否する。人様を拉致しといて格好にまで文句を付ける奴の世界や国を助けたいと思うか?」


「それは……」


「だからこそ、敢えてこの格好で会うんだ。それを見た相手の反応で大概どんなのか分かるからな」


「責任が私の方に来るんですけど?」


「拉致の現行犯が文句言うな」


巫女さんが軽く涙目になってこっちを見て、周りの護衛が殺気を飛ばしまくってくるが、まぁこの程度で折れるようならあのブラックな組織で幹部なぞやってられない。


そんな会話をしながら地下にあった儀式場から上がって謁見の間とやらへ移動してる最中、目線だけを動かして辺りを確認すると、目に付くのは窓についている透明度の高いガラス。


元の世界で窓に透明なガラスが付く様になったのは確か、中世の後半辺りだったけか?


それに、地下には流石に無かったけどだたの廊下にも引かれている紅い絨毯や壁に付けられてる飾り類、やたらと高い天井。


文明は思ったよりも進んでるし、文化的にこういう装飾類を建物に付ける余裕があるけど、護衛の兵士の装備はプレートなんて貼られて鎖帷子もといチェーンメイル。


食器類とか平民の生活様式とかもみないとはっきりはしないけど、地球のヨーロッパの歴史を無理に当てはめようとしない方がよさそうだな。


そんなこんなを考えてると、奥にそれ自体が装飾の付いた壁の様な無駄にデカい扉っぽいのが見えた。


その左右には武装した兵士、そして豪華な服を着た壮年ぐらいの男も居る。


「あちらが謁見の間の入口です」


「……まぁそうだよな。でも何であんなにデカい扉なんだ?」


「え?だって謁見の間の扉ですよ?大きくて当然じゃないですか」


一階半位はありそうな壁と見間違いそうな大きさの扉が当然と来たか。


デカい扉の前で立ち止まると、豪華な服を着てる男が巫女に恭しく一礼をする。


「レイネシア様、その方が?」


「はい。闇の勇者様です」


「おお。勇者殿、この様な形ではありますが、お目にかかれた光栄、神に感謝いたします」


「……そうか」


そう言われても正直反応に困る。


こっちの反応を気にしてないのか、男は扉の横に設置されてある金属の筒の蓋を開けて大きな声で言う。


「闇の巫女レイネシア様、闇の勇者様、御入来!!」


それを合図に扉が独りでに開き始めた。


まさかの自動ドアだが、これなら確かにデカくても困らないか。


「勇者様、私の後に続いて下さい」


巫女が小声でそう囁いてくる。


断ったら面白そうだなとも思うけど、あまりイジメすぎて慣れられても困る。


ここは素直にうなずいておこう。


完全に扉が開くと、向こう側には室内競技場か!って位に広い豪奢な空間を狭そうと思わせる位の人が左右に並んでいる。


幹部になった時に強化された視力は遠く離れたそれらもきちんと捉えた。


その奥には高台になってる所に設置された金色に輝く玉座に座ったTHEキングな印象の男、そして高台の手前には巫女さんと似た様な恰好をしてる美少女、そして見た事のある―――というか報告書類や動画で見かけまくってた―――ブルーとピンクの戦隊スーツが二人。


「あ」


「勇者様?」


戦隊スーツで顔は見えないが、あちらもこっちを向いて驚いているようだった。


幹部になった時にスカウトマンに連れられて顔見せで軽く戦闘した事があったが、憶えてたらしい。


ヒーロー二人が腰にある武器に手を伸ばそうとするが、思いとどまったのか中途半端に止まる。


まぁここで戦えば周りの連中を巻き込むから、建前でも正義を掲げるヒーロー戦隊が先に手を出す訳にもいかないだろう。


こっちとしては戦うとなると色々と面倒事が連鎖しそうだし、俺も主の力を授かった三将の一人。


二人程度なら寝起きでも片手間で対処できるから全くの脅威ではないから放置してもいい訳だ。


でもまぁ、戦闘形体で顔を隠してる状態で良かった。


こっちで暮らす事になるとしても、元の世界に戻るにしても、顔バレしてたら貴重な休日でも街をうろつけなくなるとこだった。


「なんでもない」


「そうですか?では、行きましょう」


巫女がそれまでの弱弱しい態度とは打って変わり、堂々とした足取りで進んでいく。


そして俺も、その後をついていった。





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