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あるおじいさんの死

作者: 田舎娘
掲載日:2026/04/23

ある老人が穏やかに淡々と自分の死を受け止めます。後に残る家族への感謝をつづります。

幸せだった人生が、温かな家族愛に包まれ天に昇っていきます。


ああ、ワシは死んだのか。九十近い人生じゃったから充分生きたわい。

まだ成仏するには時間があるようじゃ。

皆に挨拶でもしてこようかのう。


いたいた、ワシの子供等。

長男夫婦には世話になったのう。

特に、あの嫁はできた嫁だ。

ワシら夫婦が寝たきりになっても、

ちゃんと家のこともワシらの世話もしてくれた。

感謝してもしきれんな。

これからも、婆さんを頼むぞ。

家を出た子供等は、当てにできんからな。

認知症の婆さんは、大変だろうが、あの嫁なら任せられる。頼むぞ。


他の子供等は・・・。

「さすが爺さんだよな。雨も一緒に持っていってくれた。」

「ほんとだよ。昨日までの大雨が嘘みたいだ。」

「あの爺さんは、天国だろうな。」

「絶対そうね。」

まあ、各々、頑張ってくれとしか言えんな。

影ながら応援はするぞ。


子供が一人足らんが、九十近い人生だ。

いろいろあったさ。

一番堪えたのが、次男に先に逝かれたことだなあ。

突然の事故であっけなかったな。

人生、いろいろだ。そんなこともあるさ。


ワシの兄弟も全員いなくなり、ワシが最後だしな。


ただ、ひ孫も見れたし抱っこもできた。

思い残すことは、無いな。


えーと、孫等は……。

いたいた。元気そうだ。幸せにな。

だが、内孫等とひ孫がいないぞ。

ちょっくら、探してみるか。


内孫に男の子がいないのは、ちと残念だ。

だが、初孫の長女がしっかりしてるから大丈夫だろう。

家を頼むぞ。


次女は、まだ、結婚してない。

本人は、のほほんとしているし、どうにかなるだろう。


三女は、これが一番かわいかった。

ワシの耳掃除や、髪をバリカンで刈ってくれたんだよ。

婆さんよりわしに懐いてくれてな、一緒に寝たことも数え切れないんだ。

ワシが入院して手術時は、暇だからと付き添ってくれた。

これは、うれしかったなあ。


なんせ、ひ孫の母親だからな。

ひ孫は、この母親に似て、わしや婆さんにニコニコ接してくれてな。

婆さんと「この子はカワイイナ。」なんて言ってたんだよ。


あっ、いたいた。

内孫等とひ孫の姿はたまんないな。

なんか、話してるぞ。

「ねえ、ひいおじいちゃん、もえてるの。あのけむり?」

ひ孫もあの鉄の扉の前にいたからな。

ワシが燃えているのが分かったんだろう。

まだ、五歳なのに賢いのう。


「そうだよ。それから天国は行くんだよ。」

誰もが、ワシは天国へ行くと言ってくれる。

うれしいね。


「そっか。ひいおじいちゃんは、けむりになって天国へ昇っていくんだね。」


煙突から白いけむりが真っすぐに空に向かって昇っている。

孫等は、ひ孫の手をしっかり繋ぎ、空を見上げている。


ワシは真っすぐ天に昇れるんだ。

なら、ぼちぼち逝こうかの。

あ~。かわいい孫等やひ孫をながめながら天に昇れる。

それが、こんなに幸せなことだとは思わなんだ。


「みんな、ありがとう。世話になった。達者でな。」


それにしても、空へ一直線だ。迷わなくていいな。

それにしても、このけむりはなんと優しく温かいんだ。

まるで・・・。


天国へ行ったら、会えるかなあ……。



読んで頂いてありがとうございます。

ほんのちょっと皆さんの家族を思い出していただけたら、

ほんの少し、ほんわかしていただけたら幸いです。

投稿は初心者なので、読み終わっての感想を書いていただけたら嬉しいです。マイナスの感想でも結構です。これからの糧にさせていただきます。

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