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百物語  作者: 尚文産商堂
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90、本棚

ああ、俺もこれで最後か。


最後は、俺の実家にあった不思議な本棚の話。

実家はずいぶん昔に辞めた貸本屋でな、本をしまうための本棚が大量にあったんだ。

だが、そのうちのひとつ、桐でできた30cmぐらいの高さの棚があったんだ。

その棚は、ずいぶん昔に勉強熱心な人が持っていたものらしいんだが、その人が戦前に俺の爺さんの父さんに預かっててくれって言って渡したものらしいんだ。

俺のひい爺さんは目が悪くて徴兵に漏れた分類だったんだが、彼は学徒動員で南に行ったそうだ。

そして、二度と帰ってこなかった。


それから、俺の爺さんにその棚を渡し、貸本屋を親子で営むようになった。

その棚を使っているうちに、その棚に置いた本の文字が消えていくっていう事態が起きた。

どうやら、彼の勉強の念が棚に移って、死してなお勉学に励んでいるということらしい。

俺はそう説明を受けたんだ。

それからというもの、その棚には使わなくなった参考書を置くようになったんだ。

彼がしっかりと勉学に励めるようにな。

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