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7、本に飲み込まれた男
これはよく行っている本屋の店主から聞いた話。
その本屋はかなり昔からしているそうで、いろんな本が集まっているんだ。
その中でも一番貴重だった本が、江戸時代の頃の本で、なんでも人が飲み込まれるって言う曰く付きの本だったんだ。
それで、常連さんの一人が、本当に飲み込まれる野かって言うのを試そうって言う話になって、1日借りていくっていうことになったんだ。
その日の夜、日付も変わって結構たった頃に、とつぜん店主の電話が鳴ったんだ。
向こう側からはその本を借りていった常連さんが出て、大変な事になったから本屋に行くって言ったそうだ。
すぐに店主も本屋に向かったんだけど、あったのは1冊の本だけ。
それは貸していた本で、勝手に返しに来たもんだと思ってぱらぱらとめくってみたそうだ。
そしたら、一番最後に、江戸期の似顔絵風の常連さんが描かれていたそうだ。
以後、その常連さんを見た者は、誰もいないって言う話。




