54/101
53、子守唄
これは私が小さい頃におばあちゃんから聞いた話。
おばあちゃんの家はお寺で、すぐ横がお墓だったの。
そのお墓から、夜になると、いつも子守唄が聞こえてくるのよ。
それも、なんだか物悲しい感じの。
歌詞とかはしっかりと聞き取れないんだけど、間違いないわ。
おばあちゃんが言ってたんだけど、その子守唄を歌っている人は、戦時中に子供を生んだんだけど、その直後に死んでしまったそうなの。
それで、菩提寺であるおばあちゃんのところに埋葬されたそうなの。
でも、子供のことを諦めきれず、夜な夜な子守唄を歌って、自身を慰めているって言ってたわ。