2章9話 「法と論理」
「賭けはお前の勝ちだ。サラサール」
アルバロ・メンドーサは机の上に、無造作に書類を投げ出した。
「ラウル・バルガスが秘匿魔法なし、単騎でデオン・アロンソ率いる部隊を壊滅させたことを確認した」
机の上に両肘を付いて両手を組み、顔をそこへ隠すようにうずめた。
それでいて、目だけは机の前で直立しているエルネストを見上げている。
「全員と直接戦闘していないとはいえ、北部駐留軍は五千人規模だ。それらとまともに戦闘をせずに、敵の司令官だけを倒すなど、戦術の概念が崩壊する」
「昔は、それ込みで戦術が組まれておりました」
「近代戦では、個人の能力という不確定要素を戦術には組み込めない。だが、それでも無駄にするのは勿体ないと軍の内部でも意見が割れている。処分すべきだと強く主張する者もいる」
エルネストは何も答えずに、メンドーサが話し終えるのを待った。
「机の上の書類が、会議の末に出た結論だ」
エルネストは、ここで初めて机の上にあった書類を手に取った。
治安警備隊への配属を命ずる。
治安警備隊は、調査、逮捕、刑執行などの警察権を持った軍の組織だ。
戦争に出て戦う兵というよりも、役割としては憲兵に近い。
権限は特殊部隊だった時よりも減るが、蒼炎隊の「民のために戦う」という理念には近い。
「来月からそこへ転属してもらう。職務内容は、警察では対処出来ない犯罪の処理、及び『特殊任務』」
「特殊任務、それは諜報なども含まれるのでしょうか?」
「詳しくは配属された先の上長に確認せよ。不満か?」
不満などなかった。
ただの陸軍兵士として魔法を封じられて銃で戦わされるよりはよっぽど良い。
「謹んでお受けいたします」
「以上だ」
エルネストは礼をして退室した。
ギリギリだが、なんとか皮一枚で繋がったことに、安堵のため息をついた。
まだ終わってなどはいない。
◆ ◆ ◆
代理作戦以降、バレンティはエルネストが自室に貯め込んでいた書籍にすっかり誘惑されたらしい。
毎日のようにエルネストの部屋にやってきては、本を読んで時間を過ごしている。
そのバレンティに、受領したばかりの書類を見せた。
「来月からは、元・蒼炎隊は、治安警備隊の所属になることとなった」
「それは、私も参加しても良いものなのですか?」
「もちろんだ。むしろ、私一人では部隊としては成立しない」
「でも、大丈夫なんでしょうか?」
バレンティは書類を見るも、あまり喜んでいるようには見えなかった。
「何か不満があるのか?」
「もうすぐ国民選挙ですよ。そこで共和派が勝利したら……」
バレンティの懸念は、共和派が勝利して、メンドーサ体制が揺らぐことで、この配属命令もなかったことになるのではという懸念だろう。
「仮に選挙で共和派が過半数を越えたとしても、数か月では変わらないだろう。今年度は現体制が維持される」
「そういうものなんですか?」
「法律ではそうなっている。勉強しておくと役にたつことが多い」
「法律はちょっと……」
エルネストが嫌がるバレンティに法律の書物を押し付けようとしていたところ、玄関の呼び鈴がなった。
来客の報せだった。
「モンテス家の方がサラサール少佐に」
「分かった。すぐに出ると伝えてくれ」
窓から外を見上げると、宿舎の前に一台の辻馬車が停まっているのが見えた。
「少し出かける。その間に法律論は読んでおくといい」
「わかりました、読みますよ」
上着を羽織って外に出迎えに行くと、辻馬車から幼馴染のアデラ・モンテスが顔を出した。
「何故、事前連絡もなしに来た?」
「挨拶くらいしなさい」
アデラからは初っ端から手厳しい答えが飛んできた。
「すまない。その……これは良い馬車だ」
「もう少し考えてから喋って欲しい」
「すまない」
エルネストは改めて謝罪をした後に、財布から札を取り出して馬車の御者に渡した。
「近くの喫茶店に行ってくれ。軍の行きつけのあの店だ」
「承知しました」
エルネストが馬車に乗り込もうとすると、宿舎の窓が開いて、中からバレンティが笑顔で手を振っていた。
何かを勘違いしているようだ。
「他に人がいない場所の方が良いのですけど、喫茶店で大丈夫ですか?」
「その喫茶店内には貸し切りの個室がある。軍の関係者が密談にも使う」
それ以降、馬車の中での会話はなかった。
アデラがわざわざ宿舎まで来るということは、何か事態が動いているからだ。
どこに聞き耳を立てている輩がいるかもしれない状況で迂闊なことは話せない。
無言の馬車に揺られて着いたのはレンガ造りの古い喫茶店だ。
軍の関係者や父親の友人の貴族を接待する際には酒も出してくれる融通が利く。
「奥の個室を少し借りたい」
「かしこまりました」
燕尾服をまとった給仕に案内されて、ヴァロワ製の端正な彫りが入った扉を奥……個室にアデラを案内した。
個室は防音設計になっており、外部に音が漏れる心配はない。
また、出入り口が何らかの理由で使用出来なくなった場合にも、非常口が用意されているなど、いたれりつくせりだ。
この喫茶店が軍の宿舎の近くにある理由は、こういった秘密の話をするためだ。
椅子を引いてアデラを座らせた後、給仕にハーブティーを頼んだ。
国産の農作物から作られているハーブティは、気を落ち着かせる効果がある。
その上、海外からの輸入茶葉で入れた紅茶よりもはるかに安い。
少し待つと、給仕が茶が入ったポットを運んできて、テーブルの上にカップと並べて置くと、速やかに退室していった。
「あの人は注いでくれないの?」
「ここは秘密の会談をする場所だ。部外者は速やかに去る方が気が利いている」
エルネストはポットを手に取った。
ハーブティーをカップに注ぐと、良い香りが個室全体に広がる。
「ティアナの件は聞いたわ。メンドーサへの報告書の写しが、うちの父の手元にも回ってきたそうよ。まあ、そういう家なのよ、うちも」
「事実を書いた。嘘はない」
「嘘吐き」
アデラは、どこか疲れたように笑った。
「メンドーサ閣下が欲しい答えを書いた。上司の欲しいものを出すのは部下の礼儀だ」
「そう。それで、本当のことは?」
エルネストは少しだけ沈黙した。
「新聞が報じている通りだ。駐留軍のアロンソ将軍が私略を行い私腹を肥やしていた。それを糾弾しようとケイポ将軍が立ち向かったが、流れ弾に当たり、名誉の戦死を遂げられた。新しい司令官が決まるまでは、メンドーサ将軍の息子のホアンが司令代行として軍を仕切っている」
少し悩んだ後に、新聞でも報じている内容のみを話した。
新聞は何種類かあるが、どれも内容は同じだ。
王国派寄りの新聞は軍は健在であるアピール、共和派寄りはアロンソ将軍や軍の分裂は腐敗の象徴だと批判している違いはあるのだが。
情報を持っていないのか、それとも情報統制されているのか。
「……本当にホアンが代行なの? 軍人でもないのに?」
「私も現地にいるわけではない。新聞の内容が情報の全てだ」
エルネストも最新の情報を把握しているわけではない。
もちろん、ホアンを名目上のリーダーとしたのは、メンドーサと敵対する意思はないというメッセージだというくらい分かる。
革命軍を支援しているグラーシェの名前を報道に載せていないからこそ、陸軍は今のところ不利益を被っていない。
エルネストが革命軍の戦力は吹けば飛ぶようだと書いたのはそのためだ。
放置しても脅威にはならない程度の戦力だからこそ、選挙が終わるまではメンドーサも革命軍の存在を最大限活用しようと考えている。
「本当のリーダーはバルガスでしょう?」
「まさか。若すぎるし、指導者としての経験もない。何よりも、メンドーサとは敵対しているようなものだ。そんな大役を与えられるわけがない」
エルネストはハーブティーを口に含んだ。
鼻孔に花の香が抜けて消える。
若干の渋みが喉を潤し、脳に良い意味での刺激を与えてくれる。
「それよりも、わざわざ来た理由を教えてくれ。人払いしないといけない内密な話なのか?」
無理矢理に話題を変えた。
もちろんアデラの目的を知りたかったというのは事実だ。
「トレント侯爵から、各地の部隊長宛てに、非公式の命令が出ているらしいわ。口頭でね。内容は、各地の投票所を警備の名目で封鎖すること」
「その情報をどこから入手した? 危険な橋は渡っていないだろうな?」
「知りたい?」
「……聞かせてくれ」
この情報を入手し、エルネストに手渡すためにアデラがどれだけ危険な橋を渡っているか分からない。
何しろ、陸軍による虐殺行為に加担し、蒼炎隊を解散に向かわせた元凶であるトレントが関わっているのだ。
エルネストが下手に動けば、当然、どこから情報漏えいしたかを調査するだろうし、その過程でアデラにも危険が及ぶからだ。
「私の父のところにその命令が来たから……」
アデラの告白で合点がいった。
モンテス家はトレントの派閥の貴族なのだろう。
ただの貴族令嬢でしかないアデラが、軍の機密情報の詳しい情報を持っている理由が説明出来る。
「私の家は貴族にして地主……共和派からすれば既得権益層であり、敵でしかない。同じ考えの貴族は他に大勢いる」
「前に密輸の件で詳しかったのは」
「その通り。父は、きな臭くなったこの国を捨てて、国外逃亡を考えている」
アデラは苦しそうだった。
選挙妨害は不法行為だ。
自分たちが不利益を被ることになると分かっていて、抗わずに受け入れろと軽い言葉では決して言えない。
それは分かっている。
「選挙制度は貴族が導入したものだ。なのに、自分たちの不利益が出ると分かった段階で、突然にルールを変えることは、やはり違う。選挙妨害はさせない」
エルネストは氷の仮面を被り直した。
抗うとしても、あくまでも法と論理が優先されなくてはならない。
感情に流されてはいけない。
「君も、私がそう答えると分かっていて、その情報を持ってきたのだろう」
「そうよね、あなたはそう言うと思っていた」
「だが、貴族といえども、個人の権利は法によって守られている。だから、選挙が終わったらもう一度会いに来てくれ。より良い解決方法を見付けられるはずだ」
蒼炎隊はもうない。
アデラと同じように、選挙の結果次第では、実家の伯爵家もどうなるかは分からない。
今までのようにはいかないだろう。
それでも、意思を貫き通せば、必ず道は出来るはずだ。
ラウルがティアナで成し遂げたように。
「貴重な情報をありがとう。もう組織で動くことは出来ないが、個人でやれる範囲のことはやってみる」
◆ ◆ ◆
エスピナ大尉の執務室は、港を見下ろす旧倉庫の二階にあった。
机の上には地図と書類の山が積まれており、煙草の煙がうっすらと漂っている。
エスピナは書類から目を離さずに言った。
「ティアナの話は聞いた。メンドーサへの報告書を見た。まあ、あんな風にまとめるよな、お前は」
「大尉は何か問題があると?」
「問題はない。褒めてんだ」
エスピナは書類を脇に除けて、エルネストに向き直った。
長年の軍歴を刻んだ皺が、いつもより深く見えた。
「それで、本題の選挙の話だ」
エスピナは煙草に火を付けた。
一口吸ってから、煙を吐き出す。
「投票所に部隊を展開させろ、という命令が来ている。昨夜届いた。書面はない」
「どこから」
「上を伝って来た。誰の声か分からなくなる頃に届く。よく出来た仕組みだ」
エスピナの声には、皮肉があった。
「大尉は従いますか」
「まだ展開させていない」
エスピナは事実だけを述べた。
「その言い方だと、今のところは、ということですね」
「午後に投票が始まる。それまでに展開させなければ、命令違反になる」
エスピナは灰皿に煙草を押し付けて消した。
「サラサール。俺には女房と、娘が三人いる。末の娘は今年十一になった。それだけだ」
エルネストには、その言葉の意味が分かった。
軍人も家族のために服従する。
書面のない命令であっても、従わなければ、代わりに何かが失われる。
エルネストは軍帽を手に取った。
貴族の論理、軍人の論理……人によって様々だが、共通して言えるのは、皆、自分の大切な人を守るために戦っているということだ。
「その命令はなくなります。大尉の部隊は展開させなくて構いません」
「お前一人で何をするつもりだ」
「合法的な対応を取ります」
エスピナは長い間、エルネストを見ていた。
「……そういうやつだったな、お前は。昔から」
「褒めているんですか」
「さあな」
◆ ◆ ◆
エルネストは、一人、陸軍本部の長い廊下を歩いていた。
治安警備隊としての初の仕事になる。
「失礼します」
入室したのは、トレント准将の執務室だ。
以前に農民虐殺の件で抗議書を提出して以来の訪問になる。
前回隣にいた親友は別の場所で戦っているので、ここにはいない。
だからこそ、エルネストも立ち止まってはいられない。
ここで戦わなければ……勝たなければ、この国の正義は死ぬ。
准将の執務室は、異様な静けさに包まれていた。
外では慌ただしく兵が動いているはずなのに、この部屋だけ時間が止まっているようだった。
「選挙妨害の命令を出されたようですが、即刻撤回していただきたい」
歯に衣着せず、エルネストは本題から入った。
「何の話をしているのか分からないな」
「書面のない作戦には法的根拠がありません。口約束で軍を動かすことは、軍規第八条違反『作戦行動に関する命令は、記録可能な形式で発令されなければならない』です」
准将の眉がわずかに動く。
「緊急時の例外措置は認められている」
「では確認します。これは正式な作戦命令ですか?」
「……そうだ」
エルネストは一歩踏み込んだ。
「命令番号は?」
トレント准将からの返事はない。
「発令記録は? 配布経路は? 受領確認は?」
「貴様、揚げ足を取る気か」
「違います。成立していない命令は『命令ではない』と言っているだけです」
トレント准将の視線が鋭くなる。
「現場は動く。命令があろうがなかろうがな」
「その場合、動いた部隊は独断行動扱いになります」
間を置かずに続ける。
「軍規第十八条『非正規命令による武装行動は、指示者個人の責任とする』。つい先日、この軍規違反により、ティアナ駐留軍のアロンソ殿が処分されました」
アロンソの話は当然トレント准将も既知だろう。
報道では出されていない情報……元・蒼炎隊のラウルが革命軍を率いて、本拠地を陥落させた話も含めてだ。
トレント准将は、無言で唾を飲み込んだ。
エルネストの報告書を握り潰した過去がある。
蒼炎隊を解散させた過去がある。
だからこそ、トレント准将はこう考える。
「報復のつもりか? 蒼炎隊を解散させた恨みで」
「単なる事実確認です」
元・蒼炎隊が単騎で陸軍の本拠地を壊滅させた事件は、つい最近の話だ。
エルネストは、感情を殺した冷たい目で、着席しているトレント准将を見下ろした。
「全責任は准将閣下お一人に帰属します」
エルネストは表情を変えることなく、低い声で淡々と語った。
トレント准将は僅かだが体を震わせた後に、何度か椅子に深く座り直した。
「それは脅しか?」
「事実確認です。命令があったのか、なかったのか。書類はあるのかないのか? ただ、それだけの話です」
エルネストは更に畳みかける。
「加えて、選挙法第七十四条。『公的武力による投票妨害は重大な違法行為とする』」
「国家非常時だ」
「戒厳令は出ていません。国家総監に話を通されていますか?」
「しているわけがない!」
「必要であれば、国家総監に正式に問い合わせます」
「やめろ!」
エルネストはアルバロ・メンドーサの人となりは把握している。
自らの不利益は嫌うが、それ以上に不正を嫌っている。
昔ながらの、剣一本で国を支えてきた武人の一族の血と誇りは失われていない。
トレント准将が今回やったような、選挙妨害のような行為は嫌悪対象であり、それが軍規違反となれば、尚更だ。
「故に、ここで軍を動かすのは軍規違反です」
トレント准将は机を指で叩いた。
「国家の安全に関わる案件だ。行為は黙認される」
「その時、記録に残っていない命令で動いた作戦は――すべて『個人の暴走』として処理されます」
トレント准将の指の動きが更に激しくなった。
「……だから記録を残していない。口約束のみだ」
「ええ。それが最大の問題です」
エルネストはここで扉の方を軽く振り返った。
扉が開き、「失礼します」と、トレント准将の副官と、陸軍の記録係が入室してきた。
「こちらの方々には既に声をかけさせていただきました。ここで命令を記録し、発令してください。准将閣下の責任において。この選挙妨害は正式な作戦行動だと」
沈黙が落ちる。トレント准将は無言のままだ。
「署名をいただければ、直ちに全部隊に通達します。准将の署名により、陸軍は任務として選挙妨害を行う、と。私が問題視しているのは、手続き上の問題ですので、それ以上はとやかくは申しません」
「……貴様、本気か」
「どちらにせよ記録は残ります。違いは『准将命令として残るか、准将の関与として調査されるか』だけです」
エルネストは間髪入れず答えた。
「どちらを選んでも、閣下の責任は消えません。選択を」
長い沈黙の後に、トレント准将は小さく息を吐いた。
エルネストの視線は変わらない。
武力、法理論、国家総監への密告。
エルネストがどの選択肢を選んでも、トレント准将には破滅しかない。
「……これで済むと思うなよ、サラサール」
トレント准将にはそのささやかな抵抗が精一杯だった。
「済ませるために来ました。世界は法と論理によって支配されなければならない」
◆ ◆ ◆
選挙妨害はなく、つつがなく選挙は行われた。
翌朝に、その結果が出た。
知識層を中心とし比較歴穏健派の自由党。
文化革命を掲げて国の財政改革を掲げる左翼党。
グラーシェ人民共和国の影響が大きい、社会主義を掲げる社会党
この共和派三党による連合が、全議席の六十二パーセントを獲得し、旧体制維持を掲げる王国派に勝利した。
大勝とまでは行かず、単独の政党としては王国党がトップではあるものの、共和派が過半数を取得したことで、国家の運営には無視出来ない存在になった。
アルバロ・メンドーサ国家総監は、その日の夕方に声明を出した。
「国民の民意を尊重し、速やかに職を辞する。王国の政体については新議会で審議されるべきである」
声明の最後の一行は短かった。
「軍は新政権の指示に従う」
エスピナから届いた報告書を読みながら、エルネストはその一行を三度確認した。
三度とも、同じことが書いてあった。
「終わった」
誰かが廊下でそう言った。
通り過ぎた若い兵士だ。
嬉しいのか、怖いのか、判別のつかない顔をしていた。
「終わっていない。これからこの国は大きく動く」
エルネストは帽子を被り直した。
選挙では共和派が勝利したと言っても、過半数を少し超えた程度だ。
圧勝ではない。
なのに、メンドーサは辞任を発表した。
確実にその結果に納得していない軍人や貴族が不満を挙げて動き出す。
「バレンティ、治安警備隊の隊室に向かうぞ。必ず事件は起こる」
「分かっていますよ。やっと式典じゃない仕事が来るんですね」
エルネストとバレンティは襟を締め直して歩き始めた。




