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恋を信じられない私が愛を知りたい

作者: しぃ太郎

よくあるゆるふわ設定です。

ご都合主義でも温かい目で読んで下さると嬉しいです。

「ケイティ、ごめん…。好きな人が出来たんだ」

 10年間、婚約者で幼馴染みのルイスが言った。

 

 ◇◇◇

 

――驚いた。確かに、友達感覚だったから嫉妬はない。

 うん。


「へぇ、誰?私の知っている人?流石に教えられないかな?いいなぁ、恋しちゃったのか〜。甘酸っぱいねぇ。羨ましいな」

 

 ポツンと一人で取り残されたような孤独感だけが胸を抉る。寂しさなのかしら。


「でもあなたは謝ったんだし、悪いと思っているのよね?私も応援してあげるから、私の恋に協力してよ!女友達が貴方のせいで無理やり変態やお爺さんに嫁がされる目に合うのを見過ごす男って最低よね!?」 


「……!うん、そうだよね……」


「よし、あんたクズだけど、最低では無いわ」


「…クズではあるんだ……。なんか、ごめん」


「いや、当たり前じゃない。女の不自由も知らずに何を言っているのかしらって思うけど、まぁ最低じゃないって言ってるじゃない。ね?」


「ケイティ、ありがとう」

 

 私は次の日から、好きな人を探し回る事になる。

 

 ◇◇◇

 

「やっぱり結婚なんていいや。なにこの世の中。よくある、隠された愛人とか秘密の恋人の方がいいかなぁ」

 

 既に私は挫折した。


 いきなり、恋をしろ!恋人を見つけろ!ってやっぱり無理なのよ。

 みんな既に決まった相手がいる。

 確実に、行き遅れ令嬢と馬鹿にされる人生。

 

 隣にいるルイスのせいだわ。男に憧れを抱けない。


 わかってる。お互いに友情しか抱けなかった。

 ルイスは本気で好きな人が出来ただけ。


 私には、好きな人も私を好きになってくれる人も居なかっただけ。

 

「ルイスのせいで、男の子がキラキラした貴公子に見えないんだわ…。どうせ、頭の中はあんたみたいに恋愛脳で、だらしなくて、頼ってばかりで情けない人ばかりなのよ。私、結婚やめるわ」 

 

「……ぐっ!でも、結婚しないとケイティはどうなる……だけど僕は……」


 はいはい、何をわかりきった事を。好きな女の子は裏切れないでしょう?

 

 ――でも。


 家族同然に育った友達は裏切ったじゃない。


「なんか吹っ切れたかなぁ。なんで恋しなきゃ、結婚しなきゃ幸せじゃないの?女だって一夜の恋やら、禁断の恋してもいいじゃない!むしろ、なんで女が振られてばかりなのよ」 

 

 やっぱり、どうしても理不尽に思えるの。

 あんたが幸せになって私だけが不幸になる?


「それに、今すぐに結婚相手を見つけるなんて普通は無理でしょ?」

 

 両親を説得して領地に戻る!そうしよう。

 

 なんで、家族みたいに一緒に育った人も自分の幸せだけを考えるの?

 

 恋って凄いのね。羨ましいわ。

 

 だから私も探してみたけれど、私にはいきなりプロポーズしてくれる人も、前から仲良かった人も、思い出の人も居ないみたい。

 

 本当に恋って凄いのね……。


「あの、ケイティ!僕がこんな事言うのは…どうかと思うけど……」 


「そう思うなら言わないで。ねぇ、あんた自分の事しか考えないのね。今言おうとした事、私には絶対に言わないで」 

 

 別に恋じゃない。好きだったわけじゃない。

 でも仲は良かった。


 そんな奴が私の未来を潰して、自分の事だけを考えて浮かれていたのが許せないんだ。


 友達みたいな、家族みたいな、そんな人に裏切られてしまったと思ってしまうんだ。

 

 たまには、全世界に恋なんて嫌いだ!って叫んでもいいよね?

 恋愛脳なんて嫌い!情なんてないの?


 でも、思うの。恋愛っていつかは家族愛になるのに。

 家族や他の人を蹴落として平気な奴なんて忘れてやるわ!

 

 そんな奴は人生のパートナーに相応しくない。

 何かあったら、自分を優先して家族に迷惑をかけるのよ。


「ルイス、やっぱりあんた最低だったわ!」

 

 最高の笑顔で言ってやる。

 

 ただの見苦しい女でいいや。嫌味でも言ってやらないとやってられないわ。


「二度と顔を見せないで」


 ◇◇◇


 私は家族を説得して領地に引きこもった。

 一応、心が怪我したから療養で合っているわよね。


 男に幻滅していた私は、結婚に失敗して子供を2人育てている男性に出会った。


「こんなおじさんだし、やっぱり都会の男には敵わなかったんだよね。でも、こんなにも騒がしい子供たちばかりだから寂しさなんて感じる余裕も無かったな」


 彼は平民向けの小さな学校の先生だった。


 視察の名目で行った私にも親切だったが、子供達に向ける穏やかな瞳に惹かれた。

 

 生徒にも慕われ、自分の子供たちにも好かれている彼。

 

 彼の慈しみに溢れた表情が素敵だと思った、だから。


 信じてみようかな?大人なこの人なら、恋に浮かれる危険性も人に裏切られた辛さも理解してくれそうだから。


 そんな貴方は信頼出来て、人生のパートナーになってくれそうだから。


 振られるかもしれない。彼から見たらずっと歳下の小娘で、相手にもされないかもしれない。


 でも。1回くらいいいじゃない。振られるのはもう経験したわ。


「お子さんを大切にしている、貴方を素敵だと思います!もし宜しければ私と……!」

 

――『私と、恋より先の愛を一緒に育ててください』

 

 恋を信じない私は、彼と一緒に笑って泣いて、生きてみたくなった。

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