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第三十一話
……闇の中に、深紅の双眸がある。ザカリー・グラッドストンは、ここにいた。ザカリーにとって、戦の世は何かと都合がよい。乱世では不審なことが起こっても誰も黒衣の魔導士を疑わぬ。誰か他の敵のせいだと考えるだろう。
「そもそも三人の王子を殺したのは成功であったな。まさに天下の大乱は我の予想通りであったわ。さて……次なる一手は……」
ザカリーの衝撃的な告白は誰にも聞かれていない。ここは闇だ。ザカリー・グラッドストンは、さらなる大乱を引き起こさんと思案を練っているのだった。
そうして、一二八八年がやってくる。その時は誰にも等しく訪れる。




