フェンタニル
あたしの心臓はあたしのものなのに、自分ではとめられないんだって。あいつがお前のアタマのなかも同じだよって、調子が良くても悪くても自分じゃ直せないんだって、そういうの、変なの。だから、俺がここにいてお前の代わりにギアを入れ替えてるって。それが誰かって? だからあたしのアタマの中にいるナニかだよ。あたしの頭は壊れてるって、だからこういうふうに言うのはもう最後だよ。
もう、二度とあたしを起こさないで。
ああ、あいつは眠ったかい。面倒なことは嫌だね、早く口を塞ぐなり首を捻るなり好きにすればいいさ、どうせいつかみんな消えて綺麗な更地になるんだから、言いたい奴には言わせておけば? だからいちいち他人なんか気にしちゃいられないって、ギア係りはどうしたのさ、職務怠慢だね。おや、誰かと思ったらあんたか?
結局、私のことが気になってしょうがないんだねぇ。教えてあげようか、それはさ、あんたの中にある愚かな感情ってやつだよ。あんたはそれを言葉に出来ないんだ、本当はそんなことを言いたいんじゃない。ただの嫉妬をあれやこれやで包んでリボンつけて、綺麗に言ってるだけだって。
ほら、もうそろそろいいだろ? 私はあんたのメインキャストになるつもりはないよ。審判の日が来ても、そうやって誰かの背中に爪を立ててフックしていればいいさ。私はあんたが散々になってぶっ飛ぶのを高いところから見物するだけなんだ。
職務怠慢? あんたらの自我がなんだって? そんなもん俺様は知らねぇよ。おもしれぇから適当に楽しんでる。ギア係が正気じゃないんだから、そりゃそうだろう。
嫌なら早くもっとマトモな部品と交換すんだな。密林ジャングルに1個くらい落ちてるかもな。ちゃんと金払って翌日配送にしてもらえよ。
はっちょうかんりゆうしままちた。
「あー、またなんか届いてんな。勝手に注文しやがって。だから型番違うんだってぇ。はぁー、しゃーない、これはいったん初期化だな」
了++