3.自問自答
夜、自室で1人になったルナは自分でも良くわからなかったが、なかなか眠ることが出来なかった。
ふぅ…。
これで終わったのね。
何だか呆気なかったわね…。
こんなことなら、もう少し早く言ってくれればよかったのに…。
気付けばルナは涙を流していた。
「あら…?
どうして、顔が濡れているの…?」
泣くつもりなんかなかったのに…。
確かにルナはカイルに愛情はなかった。
ただ、長年幼なじみとして、そして婚約者として過ごしてきたのだ。
悲しくないわけがなかった。
どうして?
なぜ、私では駄目だったの?
今まで私が頑張ってきたことは何だったの?
今まで一緒に過ごしてきた年月は全て無駄だったの…?
私の何がいけなかったの…?
ねぇ、誰か教えて…!
誰にも言えないルナの想いが涙となってどんどん溢れてきた。
部屋に灯りがついていたため、様子を見に来たルナの侍女が部屋に入ろうとしたが、それを同じくルナの様子が気になって来ていた兄が止めた。
「アルマ様っ、なぜ止めるのです!?
ルナ様がっ…」
「わかっている。
でも、今はそっとしておいてあげてくれないか?
きっと、ルナは誰にも見られたくないはずだから…」
「ですがっ…」
「シーナ、頼む」
「…かしこまりました」
「助かるよ。
あと、このことは誰にも言わないでくれるか?
もちろん、ルナ本人にもだ」
「…はい」
「ありがとう。
それじゃぁ、もう戻っていいよ。
僕も戻るから」
そう言って去っていくアルマの手はきつく握られていた…。
去っていくアルマを見届けたシーナは、ルナの部屋を最後もう1度見たあと静かに去っていった。
「ルナ様…。
どうか元気を出してください…」
そう祈りながら…。
ドアの外でこんなやり取りがあったとは知らず、ルナはしばらく静かに涙を流しながら自問自答を繰り返していた。
いつまでも、こんなに泣いていたら駄目ね。
明日朝起きて目が腫れていたらシーナがびっくりしちゃうもの。
それにしても、いつからだろう?
カイルがあんなに冷たくなっちゃったのは。
確か、お父様達同士が仲良しで親に付き合う形で会っていたのよね。
最初は緊張したずっとお父様にくっついていたんだったわ。
でも、そんな私にカイルが話し掛けてくれて、そこから少しずつ仲良くなっていったのよね。
このときは、産まれる前から婚約の話をしていたなんて知らなかったから、カイルのことは兄弟のように思っていたのよね。
いつの間にか一緒にいるのが当たり前になって、そこでお父様達に婚約の話を聞かされたんだったわ。
カイルのことは男としては見ていなかったけど、今の関係がずっと続くのかな?ぐらいの軽い気持ちで承諾したような覚えがあるわ。
でも、きっとその軽さが態度に出て、知らないうちに傷つけていたのかもしれないわ…。
もっと真剣にカイルに向き合うべきだったのかもしれない…。
面白いと思ってくださった方や、
続きが気になるなどと思ってくださった方は、
ぜひブックマークをお願い致します!
また、下の評価やいいね!をしてもらえると嬉しいです(*^^*)
みなさんの応援が力になるので、ぜひお願いします♪