1.おかしな婚約破棄宣言
皆さま、ご機嫌よう。
私はルナ=ヴェリンヌ。
ヴェリンヌ伯爵家の長女で、2つ上に嫡男である兄がおります。
その他の詳しいことは追々紹介するとして、今私とてもめんど…いえ、辛い場面に出くわしてしまったのです。
実は、私には同じ伯爵家の人間であるカイル=ハーバレルト様という婚約者がおります。
本日、学園内で数学担当のポール先生がカイル様を探しておられたので私も一緒に探しておりましたの。
そして、学園内の中庭に差し掛かった所でカイル様を見付けたので声をかけようと思ったのですが、カイル様の隣にはとても親しそうにしている女性がいたのです。
一目見てめんどくさいと思ってしまった私をお許しください。
これから、あの2人に話しかけに行かなければならない私は本当にツイていませんわ…。
かと言って、見付けてしまったので無視するわけにもいきません。
行きたくないのが本音ですが、仕方ありません。
「お話し中の所申し訳ありません。
カイル様、ポール先生がお探しでしたよ」
「は?あー、お前か。
あ、そうだ!
お前、もういらない」
こいつは急に何を言っているんだろう…?
コホンッ、多少口が悪くなるのはお許しくださいね?
「えっと、カイル様?
急にどうされました…?」
すると、カイル様は呆れ果てた顔でこちらを見て言ってきたのです。
「だから、お前はもういらないんだ。
俺にはマリアナがいてくれるから」
同時に、横にいた小柄な女性の腰を抱いて引き寄せました。
それはもう、隙間なんてこれっぽっちもありませんわ。
引き寄せるどころか密着ですわね。
それにしても、一応婚約者である私の前で堂々と密着するなんて凄いですわ。
そう思って見ていただけなのですが、
「カイル様~。ルナ様が睨んできて私こわ~い!」
と言われてしまいました。
睨んでいるつもりはなかったのですが…。
「おい、マリアナを睨むな!
そんなんだから、俺にいらないって言われるんだよ!
ついでに、婚約も破棄しとけよ!」
そもそも、この婚約は親同士が仲が良く、それぞれの子どもが男女だったら婚約させよう!という流れの軽い婚約でしたし。
私は別にカイル様のことはお慕いしておりませんし。
まぁ、お顔だけは無駄にかっこいいですけど。
それに、何でもかんでも人任せでいい加減疲れてきましたし、私は婚約破棄でも構わないですわ。
でも、さすがにいらないはないわよね…。
さすがに傷つきますわ…。
私は物でもないですし、それに、私がいなくなって困るのはカイル様だと思うのだけれど…。
マリアナ様が今後は私の代わりをしてくれるのかしら?
それにしても、婚約を破棄する!とかではなくて、破棄しとけよ!って言われた場合どうすれば良いのかしら?
せめて破棄する!ってかっこよく宣言するぐらいの男気は見せて欲しかったですわね。
やはり帰ってお父様に相談?ですね。
「カイル様。
本当に私はもういらないのですね?
婚約もこちらが勝手に破棄の手続きをしてもよろしいのですね?」
「しつこいぞ。
お前はいらないし婚約も破棄しとけって言っているだろ!
お前はいっつもグチグチうるさいし、マリアナみたいに可愛くないし、一緒にいてもつまらないんだよ」
「………かしこまりました。
では、今後私の代わりはマリアナ様がしてくれるということでよろしいでしょうか?」
「ふん。代わりどころか、マリアナのほうがお前より可愛いし優秀だし、よっぽど俺の隣にふさわしい」
「キャ~!カイル様マリアナ嬉しい~」
うわぁ…アホらしっ。
どこが優秀って?
あ、また口が悪くなってしまいましたわ。
最後まで気を抜いては駄目ですわ!
ところで、成績上位者の名前にマリアナなんて名前あったかしら?
まぁ、いいですわ。
これでお役ごめんみたいだし、最・後・の・頼・み・ぐらい喜んで引き受けますわ。
これからどうなるか見物ですわね。
「かしこまりました。
それでは、私はこれで失礼いたします。
あ、あとカイル様。
もう1度言いますが、ポール先生が探していましたよ。
それでは」
さて、帰ったらすぐお父様に報告しなくては。
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