中巻あらすじ ~大鷲の絆~ ☆
色褪せない思いと、色づく想い~ガブリール魔法博士によるなんと素敵な魔法世界
魔剣を手にし、一年間に渡る戦いと経験により大きく成長し、二学年生に進学したヴィザリウス魔法学園の魔法生、天瀬誠次。大切な友や仲間や、彼に好意を寄せる女性や守るべきも。様々なものが出来た誠次の新学期早々の相手は、透明化魔法、《インビジブル》を扱う、女子水泳部に対する盗撮犯だった。新学期早々、同じような魔法に対する因縁に、少なからず奇妙な縁を感じつつも、レヴァテイン・弐と呼ばれる魔剣を駆使して、誠次はなんなくそれらを対処する。同級生の魔法生相手にも互角以上に立ち迎えるほど、魔剣もまた誠次と同様に、大きく進化していた。
間もなく迎えたGW休み。誠次は、同級生で同じクラスの学級委員の相方篠上綾奈と、一つ下の後輩となり、また、友人の帳悠平の義理の妹となった太刀野桃華、そして心羽と共に、近所の公園に出かける事になる。
その公園で開催されていたのは、世界でも有名な魔法博士、ノア・ガブリールによる魔法のショーであった。しかし、当の本人はショーから逃げ出し、誠次に助けを求める。
自分は魔法はそこまで得意ではなく、実は全て自分の妹のシア・ガブリールの魔法による実績であると。幼い頃から身寄りをなくした二人の英国人は、マフィアによって利用されてきた傀儡の存在であった。
魔法が得意ではなくとも、妹は守りたい。そんなノアの思いと境遇に、かつての自身を重ねた誠次は、攫われた綾奈と桃華を救うためにも、心羽と共にマフィアに立ち向かう。
途中ピンチを迎えるが、妹の危機を聞きつけた悠平が加勢に入り、誠次はどうにか攫われていた綾奈、桃華、シアを三人とも救う事に成功する。
しかし、直後に駆け付けた日本独自の国家実力組織、特殊魔法治安維持組織の横暴なやり方と態度に、かつてその組織に憧れていた誠次は、多くの複雑な思いを抱く事になった。
梅雨のドンキホーテ
季節は廻り、梅雨のシーズン。誠次のクラスメイトの本城千尋は、持ち前の運の良さで、ひょんなことからテーマパークのチケットを手にする。
それと同じ時、同じ場所で、一つ年上の先輩魔法生、相村佐代子も、千尋の両親が当てたチケット譲り渡してもらう。彼女には同級生の彼氏、長谷川翔がおり、相村の提案により、誠次と千尋と相村と翔による、ウサギの世界を模したテーマパークでのダブルデートが行われる事となる。
相村は実は、貿易会社の社長令嬢。社長である父親は、魔法の発展により生まれ変わった世界を憎悪しており、その怒りの矛先は、魔術師である実の娘にも向けられていた。
相村を連れ戻し、利用するために、父親は中学時代に通わせていた学園の理事長であり、宗教団体八仙花会の教祖、四季紫京香の力を使い、相村をテーマパーク内で拉致する。
誠次の奮戦虚しく相村を連れ去られ、さらには先輩である長谷川翔との関係も拗れてしまう。
それでも相村を魔法学園に連れ戻すために、誠次と千尋は霧崎宗司と言う元特殊魔法治安維持組織の隊員であった男の力を借り、千葉のスタジアムで行われている八仙花会の集会場へと向かう。
そこへさらに駆け付けた、翔やヴィザリウス魔法学園の三学年生の力もあり、見事に相村佐代子奪還に成功するのであった。
しかし、そこへ駆け付けた特殊魔法治安維持組織の局長、新崎和真の前には歯が立たず、四季紫はその場で新崎によって、処刑されてしまうのであった。
ミルキーウェイで会いましょう
七月に入り、七夕が間もなくと言う夏の季節。かつてルーナ・ヴィクトリア・ラスヴィエイトとクリシュティナ・蘭・ヴェーチェルが在籍していたロシアのガンダルヴル魔法学園より、もう一人の少女が、とある信念を胸に来日した。名前はティエラ・エカテリーナ・ノーチェ。ルーナ在学時には、魔法関係の成績でいつも一位を献上していた、二位の少女であり、スペイン領地中海の島国、クエレブレ帝国の皇女でもあった。
来日早々、日本の湿気と熱気によって熱中症となってしまった彼女は、彼女を介抱し、病院まで付き添ったヴィザリウス魔法学園の一学年生、七海凪と親睦を深める。七海は元々身体が弱く病弱で、魔法生でありながら、病院での生活が長く続いている気弱な少女であり、帝族であるティエラとは正反対のような性格の持ち主であった。
一方その夜、誠次はルーナの使い魔である竜、ファフニールにのって夜の東京の都会を飛んでいたところ、謎の黒い竜、ニーズヘッグに強襲される。ファフニールと力を合わせて街に被害を出さぬように、ニーズヘッグを撃退した誠次であったが、その後魔法学園内にて、ティエラによって拘束されてしまう。
ティエラはルーナとの決着をつけるために、その関係者である誠次を餌に使ったのだ。
ティエラを止める為、ルーナとクリシュティナ、またスペインの友を正すために勇気を出した七海の活躍もあり、ティエラが扱っていた魔法の鎌リジルを誠次は破壊するが、ティエラの右腕は代償で不随状態となってしまう。
また、ティエラを裏から操っていたギルシュ・オーンスタイン擁する国際魔法教会への不信感も、大きく高まってしまうのであった。
蛍火の女傑
魔法学園で迎える二年目の夏休み、誠次は最近部活動で本調子が出ない綾奈と共に、彼女の祖母が住まう小笠原諸島最果ての島、蛍島で一週間滞在することになった。
そこで待っていたのは、この島で生まれ育ったと言う地元では有名な、篠上朱梨。蛍火の女傑とも言われている女性であった。
島に着いて早々に、誠次は朱梨と一騎打ちを行う。老婆でありながら、その衰えを一切感じさせない朱梨を前に誠次は敗北し、実力差を思い知らされるのであった。
同じ頃、誠次と綾奈と同じく、もう一人の少女が蛍島に帰って来ていた。ヴィザリウス魔法学園の生徒会書記、火村紅葉である。彼女もまた、多くの悩みを抱いたまま、所属している水泳部の活動がうまくはいっておらず、地元に帰って来ていたのだ。
綾奈の悩みである朱梨の頑固な考えを変える為、誠次は残り期間一週間で朱梨に勝つ為に、特訓を行う。
島の人々との親睦を深めながら、徐々に明らかになっていく、゛捕食者゛が出現せず、昔ながらの生活が続いていると言う島で起きた真実。篠上家と火村家の関係。
圧倒的な実力を持つ朱梨とついに始まってしまった一騎討ち。燃え盛る篠上邸の中で、誠次は追い詰められながらも、一矢を報いる。
モルガンの微笑~300マイルのカバジェロ
夏の大阪。薺お抱えの国家実力組織である光安によるいきすぎた治安維持活動により住処や家族を失った者の寄せ集めで出来たレジスタンスのアジトを、光安は特定。ただちに部隊を送り込んだ。
その部隊の中にいたのは、星野一希。魔剣を持つもう一人の、剣術士であった。
レジスタンスには昨年より身を寄せている、元特殊魔法治安維持組織の影塚広がおり、光安の部隊との戦闘に臨んでいた。
同じころ、夏休み後半を迎えていたヴィザリウス魔法学園の誠次には、八ノ夜からの連絡が入る。
七夕の日に現れたクエレブレ帝国皇女、ティエラの身が、光安によって狙われていると言うのだ。人道的な面より、誠次は単身、ティエラをクエレブレ帝国へと帰してやるために、八ノ夜のバイク、ブリュンヒルデと共に行動を開始する。薺の命令を遂行しようとする光安の追撃を何度も躱し、目的地である大阪を目指す誠次であったが、遂には特殊魔法治安維持組織も事態に介入し、その新エース、堂上敦によって誠次は瀕死の重傷を与えられ、追い詰められる。東京から大阪までの300マイルの逃避行は、あと少しのところであった。
涙雨にあなたの真理は霞んでしまう~雨上がって、鈍色の心は晴れ渡る
二年目の夏休みの終盤。ヴィザリウス魔法学園とアルゲイル魔法学園との合同行事である、二大魔法学園弁論会が今年も開催される。開催地は、大型の台風が迫る東日本のヴィザリウス魔法学園だ。
弁論会本番に先立って、大阪から東京にやって来ていたアルゲイル魔法学園の魔法生の少女、小野寺理と雛菊はるかが東京観光を満喫していたところ、傷だらけの女性を偶然にも発見する。
女性の名は雨宮愛里沙。つい直前まで特殊魔法治安維持組織に所属していた、元副隊長の脱走者であった。
二人の魔法生は傷だらけの雨宮を保護し、一時ヴィザリウス魔法学園へと匿う。そこへ、脱走者の追跡を行う特殊魔法治安維持組織の部隊の隊長、日向蓮がやって来て、弁論会本番を迎えようとするヴィザリウス魔法学園の捜査活動を行う。
また、雨宮の持ちだした情報の遺棄を狙う光安も部隊を送り、星野一希が斥候となっていた。
そして、雨宮を利用し、光安と政府の闇を暴こうとする、本城直正率いるレジスタンスの面々も、雨宮の身と情報を確保しようと、影塚広を先頭に、行動を開始する。
三つ巴のそれぞれの真理が複雑に絡み合い、ある者は御身の敵討ちを、ある者は与えられた任務遂行の為、ある者は自身の存在の証明の為、そしてある者は、ただ人を守る為。
土砂降りの雨が降る大都会の中、四つ巴の戦いが始まった。