妹は姉のノリがイマイチよくわからない
皆さま、初めまして。
ソフィアと申しますの。
リール公爵家の次女ですの。
今日もヴィーアお姉様は輝いてますの。
物理的に。
平凡な金髪碧眼の私と違い、お姉様は燃えるような真紅のお髪をストレートロングにしていらっしゃってとても美しいですの!
お姉様はいつも変なドレスを着ていらっしゃいますの。真っ黒で、光るビーズが大量に付いたドレスですの!
反射して光る、とかではなく発光しますの!
お姉様が暗いところに居るとエレクトリカルオリエンタルデコトラックですの!
お母様はいつもほぉあたあぁ!!ですの。
気分がいい時は必ずペットボトルに空中回し蹴りを決めておりますの。
そしてだいたいペットボトルが頭に当たったお父様に怒られますの。
私はお父様に似たのか、ツッコミ体質ですの。
お姉様の婚約者様も、変ですの。
トルコノステーキヤ王国第一王子、カプチィーノォ様ですの。
いつも私達にお肉を捌いて調理してくれますの。
とても美味しいのですが、こんなに連日大量のお肉を食べたら太ってしまいますの。
肘を直角に曲げて、高い位置から独特な手つきで塩を振りかける婚約者様にお姉様はメロメロですの。私にはまったく分からん感覚ですの。
あと、婚約者の妹であるわたしにあーんするのはおやめくださいまし!!
しかもお姉様の目の前で!お姉様もニコニコしながら動画撮ってる場合ではありませんの!
淑女としてどうか、というのもございますけど!
そもそもカプチィーノォ様のあーんは、彼の愛用の刃渡りの長い、人の腕くらい豆腐のようにすぱりと落とせてしまいそうなフィレットナイフの先端に焼いた肉を刺して行われますの!!
一歩間違ったら顔面スプラッタですの!!やめろ馬鹿ですの!!
学園でものすっごい嫌われてる男爵家のご令嬢が考案したらしいのですが、高級馬車の前で無断で自撮りをして「これ俺の馬車」と言って画像をネットにあげるのが流行ってますの…虚しくないのかしら…?
以前それで、どこかの平民の自称愛車に有名な辺境伯家の家紋が入っていて下手すれば処刑までありえる大騒動になりましたの!!
我が公爵家の馬車とかであれば呼び出してお説教、謝罪や訂正の公開ぐらいで済ませると思いますけれど…国の防衛を担ってる軍務関係は流石にそれでは済みませんの!!
馬車の足回りの構造などにも恐らく秘密があるのでしょうし…
幸い辺境伯様は豪傑なお方、腕立て2000回で許されたらしいですの。
「ソフィア〜!午後のお茶にしませんこと〜?」
「今行きますの!」
とてててと柔らかい絨毯の上を早歩きで進み、お姉様に抱き着きますの!
色々へんてこりんなところはありますが、家族が大好きですの!
そもそも元ネタの中身がスッカスカだから、この短編が中身ゼロになるのは当たり前