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第一話 ことのはじまり


4月1日

ロシア領に山ができた。

コーカサス山脈にあるエルブルス山が5642mであるのだから比較するとだいたい2倍の高さの山だろう。

ロシア住民が仕事に出かけるために外に出ると、今までになかった山に気付く。

口々に、あれはなんだ? 山か?

金持ちが新しい工場を建てたのか?

ママー、ちょっと来てくれ。俺の目がおかしくなったのかもしれない。

と声を出していた。


全高約10km、全長約40km。

遠くに住んでいる人からは新しい山が生えた。近くに住んでいる人からは僅かに呼吸しているように見える壁ができた。と言われるようになった。

後の世に通称『ベヒモス』と呼ばれるモンスターの発見であった。



4月1日

豪華客船ルビープリンセスの船員が言った。

「海の色が違う」


太平洋上を航海していた当船はオーストラリア沖から北米を目指していた。

太陽が水平線から登り始めた頃、1人の船員の言葉から、海を見下ろした他の船員にも緊張が伝播した。

海の色は水中の栄養素と深度によって変わってくる。

太平洋の水深はだいたい4000mであり、場所によっての差はあれど基本的な海の色は青い黒である。

それが現在いる船から見える海の色は黒い青である。

海の色が明るすぎた。


たとえ時期的な海水の温度上昇やプランクトンの大量発生による海面の変化であれば見たことがある。

それとは明らかに違う状態だ。

明確な原因がわからない異常事態がこの海に起こっていた。


その後、衛星からの太平洋を映した映像から

直径約1万kmの輪っかができていることが確認された。

それも時間によって場所がずれているため海中を浮遊、もしくは移動していることがわかった。

後の世に通称『レヴィアタン』



4月1日

南米ペルーでの出来事。

雲ひとつない晴れの日に1分ほど影が差した。

最初の10秒で街の中にいた数人が空を見上げ。

次の30秒では半数が空を見上げ。

残りの時間で全員が太陽を見上げていた。


「太陽の中になにかいるぞ」

街のだれかがそんなことを言うと、聞こえた人間も目を凝らして太陽を覗く。

黒い点のようなものが見えた途端に、影が一斉に消え去った。

目を凝らしてみていた全員が眩しさに目を奪われ両手で目を覆い隠した。

少しずつ目が回復すると、口々に

「見えたか?」

「俺は見えなかった」

「俺は見えたぞ」

「ああ、俺も見えた」

「黒い点がチラッと」

「見えなかったわ」

「鳥みたいに見えた」

「飛行機じゃないのか?」

「いや、鳥、じゃないかなあれは」

と雑談を交わしていた。


数時間後、フィリピンでも同様の現象が報告された。インド、エジプト、アルジェリアなどでも似たような内容がSNSで飛び交うようになった。

後の世に『ジズ』と呼ばれるモンスターの発見であった。

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