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童話集 森からの贈り物

【イトゥルマリーの宝物】

作者: 守宮 葵

イトゥルマリーは 一人暮らしの狐です。

好きなものは 花蜜のたっぷり入ったケーキと

ヨモキ草の 温かなお茶。

日向ぼっこが大好きで

リスのギラヘリーとたぬきのジャンヴがおともだち。


森の奥の木漏れ日の差す

木の根っこにできた 大きなうろに住んでいます。


ある雨降りの日 イトゥルマリーは

玉虫色の きれいな丸い石を見つけました。


『なんてきれい!素敵な宝物だ!』

早速持って帰って 宝箱にしまいました。


『二人にもみせてあげよう!きっと驚くだろうな。』


ワクワクしながら 明日のための

とびきりのケーキとお茶を用意して

あたたかな氣持ちで 眠りました。


次の日 二人を呼んでお茶会をして

とっておきの石を 二人に見せるために

宝箱をあけた イトゥルマリー。


大切にしまっていたはずなのに

あの きれいな玉虫色に輝く石がありません。

あるのは黒くくすんだ丸い石があるばかり。


『なぁ、君の宝物はどこにあるんだい?』


と ジャンヴ。


『まさか このくすんだ色の丸い石のことじゃないよね?』


と ギラヘリー。


『あれ?あれ?確かにこの丸い石がきれいな玉虫色の石だったんだよ。こんな くすんだ色じゃなかったよ。』


イトゥルマリーは 2人にむかって云いました。


『君は ゆめでもみたんじゃないか?この石が きれいな玉虫色にみえるなら、熊先生に 目を調べてもらうべきだよ。』


と ジャンヴ。


『僕にも、この石がきれいな色には見えないんだけど・・・』


と ギラヘリー。


『こんな石!しらない!』


イトゥルマリーは悲しい氣持ちになって

ぽぉーんと 石を川に投げてしまいました。


すると。

今まで黒くくすんだいしだったのに

川底で 玉虫色に輝いているのです。


『あれ?あの石 光っているみたい』


と ジャンヴ。


『うわぁ!すごくきれいだね!』


と ギラヘリー。


『本当だ!昨日見つけた色と同じだよ!でも、ふしぎだなぁ。どうして川に投げ込んだら 色が変わったんだろう?』


イトゥルマリーは 不思議で仕方ありません。


3人は あれやこれやと考えますが

答えが見つかりません。


でも こんなにきれいなので

やっぱり 宝箱に入れておきたくなったイトゥルマリーは

川からひろって テーブルの上においてみました。


すると だんだん石の表面が乾いてきて

少しずつ 玉虫色から黒くくすんだ石になったのです。


『そうか!昨日は雨が降っていてぬれていたから、この色になったんだね!』


答えが見つかった3人はすっきりしました。


『それなら しまうよりも ここにあるほうがいいな。』


皆がいつでも その石を見られるように

イトゥルマリーは そっと川に石をなげいれました。


それから時々川の近くにテーブルを用意して

玉虫色の石を眺めながら

3人集まってお茶をするようになったそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほっこりとココロ温まるお話ばかりで気持ちもほっこりと優しくなれるところ。 [気になる点] すてき、きれい、の単語がすこーし多様してるようにみえるので 二回目以降はもっと別の表現を使うと更に…
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