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ノック

作者: 水無月 椋清

これは私が体験したある夏の日のお話です。

――――――――――――――――――――――

8月1日AM:9:00 気温27℃

私、ミサキは暑苦しい中でギイギイと鳴く蝉の声のせいで、寝室で目を覚ました。

1階建ての小さな家に住む私は大学に進学するため2年前に田舎から1人この町に引っ越してきた。

最初は知り合いがいなくホームシックになりかけていたが大学に入ってすぐに友達ができたおかげでやっていけている。

「ピンポーン」

リビングで朝からカップラーメンを食べていたところインターホンが鳴った、来客の招待は分かっている。

「おはよーミサキ!」

元気が良い挨拶で家に入ってきたのはマリ、ショートカットで体の発育が乏しいまま終わってしまったこの町に入って最初の私の友達だ。

「また朝からカップラーメン?そんなんじゃナイスバディなお姉さんになれないよー?」

家庭が小金持ちで毎日良いものを食べているはずのマリの言葉は説得力0だ。

遊びに来たマリと雑談を交わす中、1つの話がでた。

「今日の夜、肝試し行こうよ」

――――――――――――――――――――――

8月1日PM:9:00 気温18℃

いきなり言われ半強制的に連れてこられたのはこの間マリの友人が山登りの途中で見つけたと言っていた2階建ての廃墟だ。

2人とも車に乗れないのもあったが女だけで行くのが怖かったのでマリ関連で私も友達になったケイジを連れて来た。

「うひょー、なかなか雰囲気のある家だなー」

「うわー、行くって言い出したの私だけどやっぱり帰んない?」

楽しそうなケイジと反対に言い出しっぺのマリは帰りたい宣言をしたが半強制的に連れてこられた私はズリズリと嫌がるマリを引きづって廃墟に入った。

2階建てだと思っていたが中に入ると入口の普通のドアとは裏腹に天井の高い大広間があり光指すのは高い位置にある小さな窓2つだけ。薄暗いが全体が見渡せるためそこまで怖いとは思わなかった。

「期待してたのとなんか違うな」

「なんだ、外見が怖いだけで中は全然じゃない」

復活したマリを苦笑いで見ているとその奥に1つの古びた扉を見つけた。

「扉あったんだな、なあ、ジャンケンで負けたヤツこの部屋でピクニックしろよ」と、ケイジがお腹が空いたら食べると持ってきたコンビニのサンドイッチを取り出した。

「絶対に嫌!」

無論マリに拒否権は与えられずジャンケンをした。結果は私の1人負けだった。

「「じゃ、楽しんで〜」」

ケイジとマリは2人そろって楽しそうに私を部屋に押し込んだ。

中は椅子以外に窓すらなくそれが逆に不気味だった。さすがに怖かった私は秒速でサンドイッチを口に押し込み倒れた椅子も気にせず転がるように部屋から出た。

「食うの早すぎだろ、ギネス記録取れんじゃねーの」

「ほんとねー、カップラーメンしか食べてないのにどんな胃袋してるのかしら」

別にカップラーメンしか食ってないわけじゃないわ、、、

そんな会話をして場が和んで恐怖がなくなってしまったので帰ることにした。

デリカシーのないケイジは立ちションしてくるとのことで私たち2人で先に車に戻ることにした。

「全然怖くなかったわねー、なんか時間無駄にしちゃったわー」と主張した矢先ドアをトントンとノックされた音に驚きキャッ、と可愛い悲鳴をあげた。

「キーで開けなさいよキーで!」

ビビったマリをよそに私は助手席から運転席側のドアを開けてあげた、が、そこには誰もいなかった。

「悪い悪い、遅くなった」

と、助手席側からヒョコッと出てきたケイジに驚いた。

「こんなところでイタズラしないでよ、バカ!」

「何のことだ?」

ケイジのおとぼけをスルーして私達は町に戻り解散した。

――――――――――――――――――――――

8月1日PM:12:00 気温16℃

自宅に帰った私は風呂を済ましてリビングでテレビを見ているとトントン、玄関から音がした。

先程の車のこともありビックリした私はまるで全身が凍結したように固まった、しばらくしても再度音がしなかったため気のせいだったのだと思い込ませ早々と寝室に戻り寝ることにした。

AM:1:00 気温10°C

トントン、トントン

寒さとノックの音で目を覚ました私は朝かと時計を確認したが深夜、ノックの音は玄関だ、不審者だと決めつけ警察を呼ぼうとしたがスマホをケイジの車に忘れてしまった。怖い夢を見ているのだと毛布を覆いかぶさり目を力強く瞑る。

AM:2:00 気温1°C

トントン、トントン、トントン

寝室のドアが叩かれる。夏でも夜は寒いが異常なまでに寒い。怖い、怖い、怖い、怖い。

音がやんだ。あぁ、やっと終わった、助かっ「ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン」窓ガラスが強く叩かれる。やめて、ごめんなさい、勝手に入ってごめんなさい、すいません、ごめんなさいごめんなさい、そこで私の意識は緊張と極限なまでの恐怖により途切れた

――――――――――――――――――――――

8月2日AM:11:00 気温20℃ 雨

「・・・ちゃん、ミサキちゃん!」

起きると目の前には母と父が来ていた。

話を聞くかぎり両親は寂しかったため今朝、実家から私の様子を見に来たのだがインターホンを押しても反応がないため合鍵でドアを開けて寝室を見に行ったところ倒れていた私を見つけ大急ぎで救急車を呼んでくれ、現在に至るそうだ。体温が急激に下がっていたのでしばらく検査のため入院だそうだ。

「マリちゃんにも電話したんだけどまだ寝てるのか反応がなかったからメールしておいたから後で来ると思うわ」

そう言い父と母は私の退院まで私の家に泊まるので戻っていった。

――――――――――――――――――――――

8月2日PM:8:00 気温10℃

トントン

病室のドアが叩かれる。

マリかな、いつまで寝てるんだよ(笑)でも私が倒れたの聞いて急いで来てくれたのかな、

どうぞ、と私は一声かけるとドアがスルスルとあいたが、誰もいない、その瞬間私は昨日の夜の出来事を全て思い出した。ああ、来る、殺される、助けて、誰か、「ごめん、遅くなっちゃった!」

空いた扉からひょこっと申し訳なさそうにマリが顔を出した。安堵のあまり体から全身の力が抜けベットの上にへたり込んだ。

「ミサキ!大丈夫!?体調悪いならまだ寝てなきゃ!」

心配して駆け寄ったマリに笑いかけたが一瞬で表情が凍りついた。マリの後ろに生気を帯びていない大きな男が口を三日月のような形にしてニタニタと笑っていたのだった


――――――――――――――――――――――



初投稿なんで投稿に手間取りました(汗)

始めたばかりで早く投稿したいと焦り春にも関わらずホラーものを書いてしまいました、

自作なのですが結構ありガチ展開だし面白いのかなと不安です...

休みの日などにまた別の作品も作る予定なので是非とも水無月 椋清をよろしくお願いします^^*

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