拝啓 夢で出会った愛
拝啓
夢の中で出会ったおば様へ
貴方は一体何処の何方だったのでしょう…。
白い子犬を追いかけて。トンネルを抜けて。
出会ったのは優しい顔をした、おば様の家だった。
その人は震える子犬を膝に乗せてなだめるように撫でていて、私が追いかけていたのはこの人の子犬なのかと思っていた。
おば様に何も言わず、開いた玄関でつったていた私をおば様は迎えてくれた。
「あぁ綺麗な手ね。きっと貴方じゃないと私の手は触れられないわ。
私の手は傷だらけで小指すら力を入れて押さえられないの。」
「可愛いお顔ね。いい色の口紅をして。
きっと素敵な恋をしていらっしゃるんだわ。いつか私もそんな口紅をしてみたい。」
口紅は今まで身につけたことも無かった。ポケットを漁ると出てきた真っ赤な口紅。
「どうぞ。」と言って、おば様につけてあげた。
「なんて優しいの。とても心が暖かいわ…。」
そして私を優しくハグして
「未来を求めるのよ 素敵なお姉様 貴方はまだ死んではいけないわ
きっとその愛を 必要としている人が居るわ そうでしょう?
未来を求めるのよ お姉様 貴方は不必要なんかじゃない
このハグが暖かいと思うなら 次は貴方が伝える番よ。」
そういい終わると、おば様はハグを離してしまった。
それはとても暖かくて、もう何年も忘れていたものだった。
「さぁ、この子を連れてお生き。その涙を拭いてね…」
ハッと覚めれば、私は布団で頬を大いに濡らして視界をぼやけさせていた。
「これじゃ見せられないほどみっともねぇ顔なんだろうな…」
って笑ってみせた。
あの暖かさは起きても暫く私の涙を誘った。
私は大事なものを忘れていた気がした。
恋をして、「 」について悩んで、それが正解なのか大いに迷って、自信を無くしかけて。
でももしかしたら無駄だったのかもしれない。もう夢に出てくるほど近くにあったんだ。
貴方は何処の誰なのでしょう。私はお礼を伝えに行きたい。でもきっともう会えないのでしょう。
さようなら。そして有難うございました。
私はこの答えを最愛の人に必ず伝えに行きます。
敬具