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異世界で脂肪と戦う事になるとは

作者: 先生武智(せんじょうたけち)

最近、階段の昇り降りが辛い。

体がやけに重い。

体重計には恐ろしくて乗っていない。

空気を吸っているだけでブクブク太っているような。


ダイエット番組や通販番組を見ては、自分も痩せなければと思うが3日坊主。


そんな、何処にでもいるサラリーマンが誕生日の翌日に目覚めたのは、ダイエット道場のような異世界だった。

■誕生日の翌日は異世界から


日課のアッアプリゲームを終え、スマホの時刻表示に目をやる。

(22時48分か…。)

いつも通り過ごした誕生日。

友人から誕生日の祝メールが来なくなったのはいつからだろうか。

今年はもしかしたらと少しでも期待した自分に飽きれつつ眠りについた。


「おはようございます。」

「生きていますか?死んでいますか?」

「死んでいたら、返事してください!!」


(うるさいな。死んでいたら返事できないだろ。)


「朝ですよ。起きてください。」


(女の人の声なんかする訳ない。ゲームのし過ぎだな。)


「…。」

「起きろって言ってんだろ!このデブ!」


バチン!!


誰かに頬を叩かれ、一瞬で瞳孔が開いた。

青空と何やら不思議な格好をした妖精的な変わった生き物が映った。


状況が理解できるはずもなく、慌てて上半身を起こし、辺りをぐるぐる見渡した。


(部屋で寝ていたはずなのに、なぜ芝の上に?)

(パジャマだったのに、病院の検査で着るよな作務衣をなぜ着ているのだろう。)


『すみませーん!!ここ何処ですか?』

朝一にしては、割と大きな声が辺りに響いた。


残念ながら、目に映る景色に人影はない。

人の力では越える事のできない壁に覆われ、

いくつかの掘っ立て小屋が存在するエリアの中央で、

訳がわからない1日がスタートしたのだった。


■デブは甘やかして作られた負の遺産


「はぁ〜いっ!!ようこそ、ぽっちゃり君。」


頭の中で先程まで聞こえた女の人の声が響いた。


『ぽっちゃり君って。俺のことですか?』


「うん。うん。君しかいないじゃん。ぽっちゃり君!」


『あのぉ〜。ここ何処ですか?そして今何時ですか?』

『会社行かないと、無断欠勤になるんですけど。』


「カイシャ?あー会社、会社。」

「会社はあるけど、君は働くとか考える前にする事がある。」

「今までの生活の事は心配しなくて、オッケー!」

「ぽっちゃり君が居なくても、世の中はうまく回るもんさぁ。」


「時間は…そうだな、これ持ってなよ!」


ストン。

足元に見慣れたスマホが落ちていた。


「じゃあ、話をサクサク進めよう。」

「ここはエリアゼロ。みんなここにたどり着く。」

「まずは、目の前にある台に立ってくれたまえ。」


考えるだけ無駄。悩むだけ無駄。

できれば当たり障りなく無難に生活したいと願って生きてきた。

自分のできる範囲で ムリなく生活する日々に満足して居た。


そんな自分がなぜアニメのような、映画のような世界にいるのか、

聞こえてくる声の人物に確認したかったが、もう少し話を聞こうと思った。


日頃から問い合わせやクレーム対応でいろいろな人と電話している経験からか、

人が話を進めている時に話を止めると良い事がないのを知っていた。


言われるがまま、丸い台の上に立った。


緑色の光の輪が台から現れ、全身をスキャンするように上下に2回移動した。


「うんうん。やっぱりぽっちゃり君はデブだったね。」

「それじゃ、ミュージックスタート!!!」


ジャーンジャーン!ジャーンジャーン!と軽快なリズムと共に

台が回転し、着ていた作務衣が吹っ飛びボクサーパンツ一丁になった。


「悲しそうな、生きていても仕方ないような暗い表情で、

その3段腹に手を当ててぇ〜。」


『一体これは?』


「ぽっちゃり君のデータ収集とBeforeの映像記録でぇ〜す。」

「解析した結果、君はBMI25を超えた肥満にして、スタートプログラムで言うところの星ゼロ!」

「そう言うことで、左手首をチェック!!!」


言われるがまま手首を見ると、電光パネルが埋め込まれいるかのように

デジタルな数字が4桁と星型4つが光を放たず存在していた。


「えー残念ながら、あなたはここエリアゼロで生活しなけれなりません。」

「ここは快適な温度と湿度が保たれ、最低限の飲食にも困りません。」

「太っているあなたはここで隔離され、健康な人間に更生するプログラムを受けてもらいます。」

「拒否する事は許されません。」

「自分を甘やかして蓄積された脂肪を燃やせば明るい未来があるでしょう。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが気になります。 どういう展開になるのか。
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