愉快な宴
えー大変お待たせいたしました!長らく待たせてしまい本当に申し訳ありません!
ある程度のストーリーを組むことが出来たので投稿します。
まだ誤字などを直しきれてない部分が多いですが少しずつ直していこうと思います!
それとおかしな部分があれば教えてくだされば嬉しいです!
では本編スタート!!!!
焔龍がシッカ王国王城からでも見える距離に達してしまった。焔龍はその名の通り焔を操る。
焔であって決して炎では無い。熱量、威力、被害は炎と言っては似つかわしくない代物だ。
その実力はたった一つのブレスだけで街を焔が飲み込み熱し、溶かし、破壊し、消失させる。たった1回の翼の羽ばたきだけで街を吹き飛ばす。神級;帝級モンスターが神化したと言われる由縁だ。それ故にいくら国を代表する騎士であっても勝てる保証はない。
私は一体どうすればいい?民たちを守る為に傭兵になった。だが、その結果は権力に甘え、力のない者たちを救おうとしない貴族達の為の傭兵になっていた。今回の災害で多大な死傷者が出るのは間違いない。国が滅びることも。
正直私はこの状況から逃げたい。私はSSSランクに届いているとか戦姫とか言われている。だけど実際はそんなんじゃない。私は1人では戦えない。私一人だと怖くて足が竦んでしまう。だから団長なんて単なる建前で、実際はか弱い少女なんだよ。
「アリア!アリア!」
「…っ!ジニエか」
「アリア、大丈夫か?正直今のお前さんは街に住む娘のような顔をしている。いつもの凛々しい顔ではないぞ」
「す、すまない。正直私は不安なんだよ。焔龍を討伐することも出来るか分からない。焔龍によって殺される民たちを私たち銀楼とジニエ率いる国の騎士たちが守れるかどうかも分からない」
「アリア!いい加減にしろ!テメーはいつまでそんな情ねぇ面晒すんだ?」
「クラッゾ!お前は「テメーは黙ってろ!これは銀楼の問題だ!」…だが!いや、すまない」
「アリアテメーは銀楼の団長だ。お前が団長になった理由はテメーの両親を殺したあの組織を壊滅させ「クラッゾ!もう私は大丈夫だ。その事は今皆がいるところでは」…ッ!俺も頭に血が上ってた。済まない」
クラッゾはようやく気づいたのだ。アリアと言い争いをしているのは銀楼のファミリアだけではなく王都でも有力な冒険者達、そしてジニエ率いる軍がいるところだ。そんなところで目立つふたりが揉め事のようなことをすれば当然目立つ。それがわからないクラッゾではない。
アリアは不安だった。
このファミリアを作ったきっかけはある種の目的を達成するために集まり作られた中でその先導者がアリアだったということだ。
団長の立場にあるから凛々しく周りには振舞っていたが団長という立場を無くせばそこには哀しく薄っぺらいか弱い少女という印象しか残らない。
本来のアリアであればこれくらいの災厄であれば何も不安にならず臨むことが出来た。しかし、それは通常の災厄であればの話だ。今回の災厄は魔獣の大群が押し寄せてくる『レザービート』や『クゥルタス』でもない。神級魔獣によって起こる災厄『真災』だ。
真災とは神級以上のモンスターによって引き起こされる災害であるがそれはある組織が意図的に引き起こされていると言われている。否、ある組織が意図的に引き起こすことも出来るしある組織が手引きしなくても起きる。
アリアはある組織が手引きした真災を1度経験している。それによって大切なものを指の数で数え切れないほど失っている。それも目の前でだ。
それ故にアリアには真災の恐怖が絶望が不安が不信がトラウマが心の底から込み上げてきて全身にその震えを与えてくる。
しかしアリアはここで怖気付くことは出来ない。いや出来なかった。ここで自分がやらなければ結局はまたあの時の繰り返しだとそう思った。ここで自分が引けば自分たちに楽しく微笑み掛けてくれた王都の市民が死に、二度と自分と会うことはないという現実を飲み込むことが出来ないからだ。飲み込んでしまうと何のために戦うのか?自分の闘争心を誰に向ければいいのか?自分を支えてくれるのは一体誰なのか?不安で今にも崩れてしまいそうだからだ。
だからアリアは銀楼の団長として、シッカ王国王都の傭兵として、果たさなければならない目的のために
「逃げない!戦わないと。ここで引いちゃダメなんだよ。ここで逃げたら絶対に後悔する!私は諦めが悪い。分かるでしょ?クラッゾなら」
1人の女性の決意をクラッゾはしかと聞きつけた。クラッゾは用意していた言葉をここぞとばかりにつかった。アリアを奮い立たせるために。
「あったりめーだ!そうでなきゃ団長交代だ!」
「フッ!クラッゾ、お前が団長なんて銀楼も終わりだな…もう私は逃げないわ!私が私たちがやらないで誰がやるっていうの?!私は私が好きなこの街の王都のみんなを護りたい!だから私は戦う。たとえそこに勝ち目のない相手がいようとも」
「言わせてくれるじゃねぇーか!やってやろうぜ!銀楼の本気をお馬鹿な龍に見せてやろうぜ」
2人は、アリアとクラッゾは誰よりも前に出て龍が見えた瞬間に攻撃ができるように臨戦態勢を取った。
そして2人が見たものは焔龍ではなかった。
2人が聞いたものは焔龍の咆哮ではなかった
仮面を被り杖をぶら下げた奇妙な男が詠唱を終え、魔法を解き放った後だった。
全てが遅かった。もうこの時この空間では絶望以外の選択肢はなかったのだ。
「ふふふふふふふはははははっ!あはははははははぁ、これこそが我らがラクフィ様への勤勉の象徴です。ふははははは!愉快愉快!実に愉快!この破壊の衝動!快感過ぎて堪らない!あははははははは!」
ただ地獄絵図の中に残されていたのは災厄の張本人の高らかな狂気じみた笑い声だけが残っていた。
地にいる者達への恐怖を駆り立てるように……。
そして死の負の歴史にはこう綴られる。
『勇敢な1人は血だらけで血に伏せ、凛々しく王としての素質を持つ者は生を終える。』と。