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最強魔術師が魔法世界で無双する?!  作者: 金糸雀
二章 シッカ王国からの旅立ち
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火山の巣窟 part9  ~王とピンクのゼラニウム~

なぜゼラニウムなのかは考えてみてくださいw

ちゃんとっ掛っているか不安ですが…


「サーチ展開、魔力反応開示、自分のリミットを解除、転移門展開、目標……スライム!」


零蒔はなるべく早く追いつきたいためにサーチを展開し魔物の魔力を感知しそこに表示される魔物で一番転移可能距離がギリギリのところにいる魔物と場所を入れ替えながら前に進んでいる。もちろん魔法を発動中も走っている。王都が近くなってきているせいかそれとも焔龍が通ったせいかわからないが魔物の数が減ってきていることに気づいたこと零蒔は前方に高密度の魔力弾を放ち、それによって吹き飛ばされた木と入れ替える方法に切り替えた。


「それにしても魔物の数が少なすぎる。サーチ距離を拡げてみるか」


これは…焔龍がシッカに向かったことで魔物が焔龍から逃げて行くのは分かってはいたが、その向かっている場所が焔龍の目的地ということが。王都まで後6時間ってところだろうけどこの速さでも追いつけそうにないな。


ー焔龍の王都襲撃まで残り6時間


シッカ王国王都の中心に位置する国を束ねる者が住まう城。シッカの王が住む王城ー『ベィルンルーツ城』の謁見の間において銀楼の龍団の団長及び副団長、そして幹部達が王を含む国の重鎮たちと談笑をしていた。


「今回もお前さんらファミリアには助けてもらった。やはりこの国一番の冒険者が集うファミリアはちがうの」


「シュバルツ様、そんな大したことしてないですよ。ただたまたま私たちがシッカの軍隊がワイバーンに襲われているところを見つけただけなので。それに私たちの受けた依頼がワイバーンの討伐だったということもあっただけですから」


団長のアリアは何かを思い出したかのように国王シュバルツに話し始めた。


「そう言えば、昨日冒険者に新しいやつが入ったんですよ!」


シュバルツは少し疑問に思った。シッカ一番の実力者とも言っていいアリアが新規の冒険者について話すことに。


「?ギルドに新しく入る輩は沢山いるから新規の者が入った程度で何も国が騒ぐことではなかろう?」


シュバルツを含むその広間にいる誰もがそう思った。するとアリアは何かを言い忘れていたようにさっきの言葉に付け足した。


「あぁ、その私が言いたい冒険者がとても面白いんですよ。何せランクを決める試験においてSSランクから初める面白い奴なんですよ。あのドメインを圧倒する実力を持っていますから」


「それは本当なのか?もし本当ならこの国からまたSSランクの冒険者が排出されるから是非歓迎したいのだが、その冒険者の名前を教えて欲しい」


シュバルツは一瞬眉を潜めたがアリアからは純粋で真っ直ぐな目を向けられて話されたため、SSランカーが本当なのは分かった。

シュバルツは内心少し焦っていたのだ。仲のいいテルミニア帝国は勇者召喚を成功させ、順調に魔神族絶滅のために準備を進ませているが、シッカ王国はより強い冒険者を集めているが未だに世界の半分もいかないほどの強い冒険者しか集まっていなかったのだ。シッカが必要としている人材は少なくともBランク以上であることで必要としている理由も世界の国々に伝えた。しかし、それでも募集を掛けてから一年が経つがギルド情報から換算しても全体の半分程度しか戦争参加者がいない現状に焦っていたのだ。だからシュバルツは数はもちろんより強い人材を喉から手が出るほど欲しかったのだ。


「私たちとしてもとても嬉しいことであり、伝えたいのですが、ひとつ条件があるんです」


「条件とはなんだ?それは今大事なことなのか?」


今大事という言葉は冒険者の名前を出すのに条件がいるということになる。シュバルツ以外の大臣達もそんなに大事な要人がギルドに加入したのか気になるが何より国に条件を求める程の人間だということになる。


「シュバルツ様は先日のテルミニアの勇者騒動の一件を覚えてますか?」


「それはダンジョンにおいて狂剣ハウルと遭遇し勇者のうち2名が行方不明になったことか?確か1人は魔王軍についてもう1人は何処にいるか分からないのだろう?それがどうかしたのか?」


「それが先日その行方不明とされている勇者が見つかりましてその勇者が勇者召喚に巻き込まれた捜索中のヤカギレイジという男だと判明しました。そしてヤカギレイジは既にこの国にいてさらに王都にいることがわかりました」


広間内が騒然とした。当たり前のことだ。逆にここで驚かない方がおかしいと思えるほどだ。シッカ王国を含みテルミニア帝国周辺諸国及び友好国においては勇者召喚については1ヶ月前には知らされていたのだ。無論その時には既にダンジョン内で問題が起きて金井が魔族について行ったこと。零蒔が巻き込まれであり、勇者等を庇ってどこかに飛ばされたことは重々承知なのだ。テルミニアは勇者の意向を汲み取り、零蒔が生きてることを願い捜索をすることにしたことも知っていた。そしてまだ零蒔が見つかっていないということも。零蒔の捜索は一般に貼り出されている訳ではなく。各国の領主はもちろん国の衛兵騎士の約八割には知らされている。だから零蒔を対応した時の兵士はたまたまその情報を知らなかっただけで零蒔が入ってきていたということに気づいていなかったのだ。

だから零蒔が国に居たことに驚き国が知るよりも早くアリアたちが知っていたことにも驚いていたのだ。


「確かにこの国にいるのだな?だとしたらお主たちはどうやって知った?」


当然の問いかけだ。アリアは必ずこの質問が来ると分かっていたからすぐに答えを出せた。


「先程新たな冒険者が出来たと言いましたよね?…シュバルツ様が考えいらっしゃる通りです。今彼は冒険者として冒険者になるためにこの国に来たと言っていました。彼はラントがあるあの森にて発見されました。彼を保護しここまで連れてきたのはシュバルツ様も知っているレナウラです。そして最後に条件についてですがレイジは自分のことを勇者には晒さないでほしいって言っていました」


レナウラはこの国では有名なエルフだ。次期族長でもあり、この国の兵士たちの育成にも関わっている冒険者でもある。ただ少し抜けていてアホの子と言われているが実力は確かな持ち主ということでシュバルツとの交流を多くしていたこともありこの広間にいる者は全員が知っているエルフの女だ。そのレナウラが介護し、ここまで連れてきたということは最もいい情報であり、世界政府も管理できる冒険者ギルドに加入したとなれば零蒔の居場所など手に取るようにわかると言ったようなものと考えられるからだ。


「つまり彼はラントの森で発見され4日前までずっとエルフと交流をしていて三日前SSランク冒険者として活動し始めたということであっているな?そしたら今彼はどこにいる?すぐにこの白に招待したいのだが。それとレナにも久しぶりに会いたい」


周りの大臣たちもうんうんと相槌を打ってシュバルツに同意していた。するとクラッゾが何かを思い出すような顔をしてすぐに申し訳なさそうにシュバルツに話した。


「それがあいつ二日前から火竜の巣窟に行ったって朝ミルのやつが言っていた気がするから当分は帰らないって言ってぞ。それにレナは何故かレイジが消えたとか言って泣きながらギルドで泣いてたぞ」


「ということは彼に会うことは叶わないのか」


シュバルツの悲しく儚い声が広間を静寂にした。

そこへこのしんみりとした空気を壊すかのように広間の扉を勢いよく開けられた音が響いた。一行は音がした方に顔を向けると城の門兵であろう兵士が息を切らしながら何かを伝えようとしていたが疲れからか焦りからなのかうまく声になっていなかった。


「うぁ…へっ……か!ゼェ…ゼェ…今冒険…ゼェ…者……」


「少し落ち着け!何を言いたいのか全くわからん!」


「す、すみません!その先程冒険者ギルドに火竜の巣窟のある方向から焔龍が向かってきていると報告を受けました!焔龍が王都に着く時間は約六時間後!そして焔龍によって逃げてきた魔物が続々とこの王都に向かって来ているとのことです!ギルド総出で駆除にかかるとの事ですが数が多すぎるということで兵士の派遣及び王都全体に避難警告そしてラントへも知らせてほしいと伝言を預かりました!」


兵士が告げ終わると急いで他の所へも告に行くのか出ていった。

伝言を聞いたアリアたちは放心状態にある大臣たちと険しい顔をしているシュバルツに「私たちは市民を守るために銀楼の全力を持って討伐に掛かりますがシュバルツ様はどうかお逃げください」と言い残し幹部達を連れて広間をあとにした。広間に残っている大臣たちは顔を青ざめて「陛下!今すぐに逃げましょう!焔龍は恐らくラントの森に向かっていると思いますから東か西にお逃げになられれば…」と言ったところでまた広間の扉が開かれた。扉を開けたのはシッカ王国の第一王女と第二王女そして第一王子と第二王子の4人だった。4人は事態を聞きつけ父親にどうするのか聞きに来たのだ。それを見たシュバルツは神妙な顔をして口を開いた。


「俺はここに残る。俺が生まれて俺が育ったこの街を俺を支えてくれたこの街の民を見捨てて自分だけ助かろうなんて勝手なことはしたくない。焔龍がラントを目標達成にしているのであればラントに辿り着けさせる前にやつを倒すまで。俺は国王として安直な行動はしたくない。王であるならば民を救うために動くべきだろう?そう思わないか?ベッカムよ」


ベッカムはこの国の宰相でシュバルツの幼馴染でもある。シュバルツが王になった日からシュバルツ本人が指名した男であり、これまでのシッカの窮地を救ってきた者の1人なのだ。


「シュバルツよ、お前さんがそう決めたのであれば俺はそれに従うまでだ。それに俺としてもこの街を見捨てるようなことはしたくない。逃げたいやつは勝手に逃げればいいと思っているがな」


「よし、決まりだな!ではキュベレーはテルミニアにこのことを告げにいけ!そして勇者立ちに話したいことがあるともな。シャイナは市民の安全を確保し焔龍の直線状にはいないように避難勧告しろ!戦える兵士は焔龍及びその他の魔物の処理を当たれ!逃げたいやつは逃げても構わないが一生の恥じだと思え!」


そう言うとシュバルツは広間をあとにした自室に向かった。シュバルツは敢えて零蒔のことは勇者にはまだ伝える必要は無いなと思った。零蒔本人が勇者達に会いに行こうとしていない時点で零蒔がクラスメイト達に自分の居場所を教えたくないと意思表示しているのと同じなのだ。だからシュバルツは零蒔のことは勇者には生きているということだけを伝えようと思った。


自室に着いたシュバルツは高そうな絵が飾られている壁に手を触れると「ガコン!」と音を鳴らすと違う部屋に繋がる通路ができた。シュバルツはその通路を抜け先にある部屋に入ると一人呟いた。「さて、久しぶりに動くとするかな」ーと。







14日に投稿します

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