戦姫と死狂
「あっ、レイジ!おっそーーい!いつまで待たせるのよ!」
シリカとは別れた後、零蒔はレナの待つ1階へと降りてきた。そこで待っていたのは、酒を飲んだのか、顔が赤いレナとドメインの周りに固まって零蒔を眺めている集団があった。
「今ね今ねーレイジの話をねあのオッサンのところで聞いてたの!そしたらレイジはあのおっさんをめっちゃカッコよく最後に倒したって聞いて、私めっちゃうれしい!@/#_&々:|=\€¥…」
あぁとりあえず俺がシリカの元にいた間あのオッサン《ドメイン》が勝ったわけじゃなく負けたのに自慢してるわけだな?大物がギルドに入ってきたって…うーんま、いっか!
「ところでよ!レイジお前さんウィルに連れていかれただろ?何されたんだ?」
なんだ?そんなに気になるのか?
「大したことねぇよ。単にランクのスタート地点を特別に上げてやるって言われただけだよ」
すると向こうからミルが可愛らしい姿でこちらに走りながら
「レイジ様ぁ!出来ました!こちらがギルマスから頼まれた品です!」
ーーーーと言われ渡されたのがSSランクを示すプレート金メッキに覆われてはいなく魔法によって軽くされた純金で作られた金のプレートである
「へぇこれが金プレートかぁ。案外しょぼいな」
零蒔がプレートに感嘆しているとさっきまで酒を飲んで愉快に零蒔の方でゲラゲラしていたおっさんがプレートを見て目を丸くさせながら吠えてきた
「いやいや待て待て!なんでお前さんがSSランクなんだよ!確かに俺より数倍も実力は上だったことは認めるが幾ら何でもこれは少し早計過ぎないか?だって規則では基本最高でもCランクからでずば抜けてる者でもSランクまでしか貰えないのに…「黙りなさい!」…はい、すみません」
おっさんが零蒔にガミガミ言っていると救世主のごとくシリカが階段から降りてきた。そのシリカはうるさいドメインに喝を入れ、零蒔のプレートの件について説明を加えた…まぁ、長いのでカットォ!
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零蒔がプレートを貰い晴れて冒険者として動こうとすることが出来るその日の夜、このことを知っている冒険者のみんなで祝賀会を開こうとなり、ギルド主催のパーティという名のどんちゃん騒ぎが行われている真っ最中にいる中、人生初?の酒を飲んで(少年法だっけ?そんなんがあるから飲んでない設定にしておいて)から酔いを覚ますためにシュワシュワジュースたるグレープのノンアルコールに炭酸を加えたグレープサイダー通称『ルフレ』を飲んでいる。
するとそこへ2人の男女のペアが零蒔に話しかけてきた
「よぉ、兄ちゃん。俺はクラッゾ。性は無いから名前だけだが、よろしくな!」
「私は銀鱗の龍団団長を務めている。アリア・スティリアよ、よろしくね」
銀鱗の龍団…確かレナがこの国で1番大きいギルド《ファミリア》だったか?団長のアリア・スティリア、副団長のペルギグ・クラッゾの2人はSSランクとSランクという大物で特にこの2人の実力はSSSランクに行くのではないかと言われている。
この2人はシッカ王国の国王様にも名が聞くほどで2人が進言したことは大体が通るそうだ。
「これはこれは『戦姫』様と『死狂』様が俺に何のようで?」
「私らを知っているのなら話が早い…アンタに聞きたいことがあったんだよ」
「聞きたいこと?アンタ達と関わったの初見何ですけど!」
「んなこと分かってんよ!…俺らが聞きたいことはあんた、テルミニアで召喚されたっていう勇者だろ?」
は?
どういう事だ?なんで俺の存在を知っている?そもそもなんでわかったんだ?
「その反応からしてこの話は本物だってことでいいかい?」
ここで嘘つく必要も無いな…バレてしまったんだったら訂正する所はして説明でもすっか
「あ、あぁ確かに俺はテルミニアで召喚された人間だ。だが、一つ訂正させてくれ。俺は確かに召喚されたが勇者ではない。あんた達にも情報が届いていると思うが俺はその勇者召喚に巻き込まれた人間なんだよ」
「やっぱりな…なぁアリア俺の予想は当たってたようだぜ?」
予想?どういう事だ?
「実はね私達は勇者召喚については3週間ほど前に知らされた。他のみんなもそうだ。もちろんシッカにこの情報が来たのもその時さ。この情報を届けてくれたのは行商人なんだが、そいつはテルミニアの帝都内で知ったんだ」
それが何なんだ?俺には関係なくないか?いや、関係はしてるか
「商人が知ったと言うより、帝都では勇者召喚が行われたことを知らされたのは勇者召喚が行われて1ヶ月経ってからなのよ!」
は?今なんて言った?1ヶ月経ってからって…俺らがダンジョンに潜った時期ではないか?正確には俺がラントにいる時か…だがどういう事だ?
「な、なぁ勇者召喚が行われるってことは知ってたんだろ?」
「勇者召喚が行われたことを知らされたつまり、一般に知らされたのは勇者召喚が行われ、誤って関係の無い人間まで巻き込んでしまい、その人間がダンジョンにて勇者を庇い助けたということを知らされたのが、その日という訳よ」
え〜とつまり、俺らが召喚されたこと。召喚においてミスがあり、巻き込まれた者(俺)も呼んでしまったこと。ダンジョンに潜ったこと。ダンジョンにて勇者を庇ったこと。これらが1ヶ月前に知らされたということか?
「そして、ギルドに届いた情報によるとガイトル迷宮の30層にて、狂剣ハウルの魔力を感じた、そこでギルドはそれについて調べた結果面白いことが出てきたわ。なんだと思う?」
ハウル?なぜあいつが?いや、確かあの時…
「理由か?………まさか勇者召喚で14人と聞いていたが失敗したと聞いたときは嬉しく思ったが15人と増えるとはな」 あいつは確実に俺らが召喚されたことを知っていた!魔王に召喚魔法の発動を感じられるとしてもなぜ秘匿されている誤召喚について知っていた?
「気づいてぇだな?巻き込まれた者さんよ」
「そう、ハウルは明らかに誤召喚について知っていた。シンクに聞いたから間違いないわ」
シンクさん話したんですね…
「つまり、アリアさんたちが言いたいことは、この情報を流した人間が城内にいるということ。そして、その者はダンジョン攻略には参加していない人物だということ」
「そういう事よ。それでなぜこんなことを話したと思う?」
アリアさんがこの話を伝えた意図は…か。あいつらにいくらシッカ王国で認められた冒険者であってもテルミニアがこの話を認めてもらえるか分からない。そもそもそれが兵士だとして、その兵士は身を隠すだろう。貴族であれば傭兵に値する冒険者を捻り潰すことなど容易いからな
そこで、巻き込まれた者である俺がいたという訳か。
と言っても俺はあそこに今は戻る気がしないからな。
「俺にはあそこで発言権があると言うことを踏んで俺に話を持ちかけたというわけですか」
「そういう事よ!これを一刻も早く伝えないと、帝都があの国全体が滅ぶことになるわ!」
「その話には乗れませんね。俺にはやるべき事があります。あそこの情報を漏らした所で俺には関係も無いですから」
「おい、お前!ふざけてんのか?テメェの仲間が危機的状況に陥ってんだぞ?助けるつもりもねぇのかよ!」
クラッゾさんの言うことは最もだろうな。でもなこれは俺の問題ではない、あいつらの問題だ。
「確かに助けたい気持ちはありますよ?」
「じゃあ何でだよ!なんでお前はそこまで冷徹でいられんだよ!」
冷徹…かそんな言葉いつ以来だろうか?
「助けたくてもこれは俺の問題ではない。この状況でどう戦いを展開していくか見極めなければならない。何でもかんでも巻き込まれの力を借りて本当に魔神を倒せるのか?ハウルでさえ、腰を抜かしていた奴らに今回の答えまで教えてしまったらどうなると思う?」
「物事は常に慎重に動かなければならない。あいつらはこことは違う温室なところで育ってきた、もちろん俺もだ。魔物?魔法?そんなものは身近には存在しない、認知出来ないところで育ってきた者にまたしても、答えを与えるのか?違うだろ?この魔法や魔物がいる世界は弱肉強食という残酷な不条理で成り立っている!誰かに救われたばかりの勇者は勇者とは言えない。誰かを助けるだけで仲間を導くことをしなかった人間は人間としての資格は存在しない…上に立つものであれば導き、助けそして、恐怖を与えることが重要だ」
話が長すぎたかな?
でも仕方ないよね!言いたいことは言わないとダメだもんね!
「クラッゾ、彼の言う通りだよ。誰かを救うためにいるという勇者が第三者によって救われてしまうのは勇者の本質ではない。勇者は先導者だ。戦う者を導くために常に前を走らなければならない」
「と言っても実際あいつらを見捨てることはしないですよ。手を貸す時は貸す。それまで俺を姿を眩ませなないと行けないですから」
零蒔は自嘲じみた笑みでグラスに入った飲み物を飲み干した




