動き出す未来
大分遅れてしまい申し訳ないです
最初に鳴り響いたのは確かに斧が振り下ろされて何かに打ち付けた音だろう。しかし、以降の音が何なのかはその場にいた零蒔以外わかりもしなかった。
零蒔とドメインの勝負をやっていると、そこへ端の方で練習をしていたほかの冒険者が面白いものがあるとうふうに続々とこの闘いを見ようと端っこから眺めていた。賭けをしながら。
「なぁどっちが勝つと思う?俺はやっぱりドメインだろ!」
「あったりめェだ!これであの若いに入れたら俺らのメンツが立たねぇよ!」
「だけどよぉ、もし勝ってしまったらその時は潔く認めようぜ!」
「それもそうだな!ガハハハハ」
とまぁ、愉快に楽しんでいらっしゃる
先ほど斧が打ち付けられた場所に砂埃が生じて視界が悪くなったが、直ぐにその中にいるドメインが砂埃から出てきた。
ドメインは態勢を立て直すと同時に、不可解なものを見る目で砂埃を見ていた。
なぜ感触がなかった。確かに触れた感触があったが、それが直ぐに気の所為のごとく感触が無くなった。一体どうなってやがる!一体あいつは何をした?こんな芸を出来るのは魔法しかないがそんな魔法今まで聞いたことねぇぞ。
ドメインがこの現象に疑問を抱いていたが周りもまた同じように疑問を抱いていた。そんな中、砂埃が晴れ、ドメインが斧を振り下ろした場所には大きな亀裂と凹みがあり、見ただけであの斧に当たれば砕け散ることが想像つくだろう。その凹みには当然零蒔の姿があるだろうと誰しもが予想するだろう。否、その場には零蒔の姿などなく、あるのは鏡月の鞘のみであった。
(まさか感触があったのはあの刀の鞘だったのか?だとしたらあの状況でその対応力は並のものじゃねぇーな)
「惜しかったなおっさん!俺の方が1歩早かったようだ」
「戯け!一薙避けただけで図に乗るなよ小僧!今ので避けたのであれば更に早く貴様から目を離さなければいい話!」
「ククク、言っただろ?俺を見くびるなと」
ドゥッン!
ドメインのいた地面に亀裂が入り凹んだ。それが闘いの続きの合図、そして、ドメインはさっきよりも早くフェイントを織り交ぜながらすきを付けば薙ぎ払っていた。
「その避け方、お前何かやっていたか?明らかにこれと同等以上の連撃を受けた経験があるのだろう?」
「はは、ちょっとな命の危険がかかった場所で狂剣様に出くわしたもんでな」
「そうか、今度はこちらから行かせてもらう!『身体強化』!」
身体強化 名前の通り、一時的に腕力、脚力、聴力、動体視力、筋力と言ったあらゆる能力の補助強化と言った感じだ。言わずとも分かるだろう
零蒔は『身体強化』を使用して自身のスピードを上げ、鏡月を構えた
「身体強化とな?見せてみるがいい!」
ドメインは片斧から両斧に切り替え自身に『身体強化』を施し、零蒔と相対した。零蒔は上から振り下ろされた斧を右に避け衝撃を受けながら横から来る斧に鏡月をぶつけた。
それと同時にドメインは右手に持つ斧を落とし、両手で左で斧をもち力を込めリンクの壁まで零蒔を引き摺った。
ドォーーーン!
斧に押され壁と激突した零蒔は肺の中にある空気が一気に押し出された。
「ぐほぉッ!」(息ができねぇ)
ドメインは零蒔をぶつけた後、直ぐにその場を離れた。態勢を立て直すためだ。
零蒔は重い薙で右手に負荷がかかってしまい何かに打ち付けたような痛みを感じていた。
「痛っつぅ!重すぎだろあれ」
「これを耐えたか、単なる死に急ぎではないな。なら俺もそろそろやるか!一瞬で終わらせてもらうぞ?『身体強化』!」
そう言った直後ドメインは一瞬にして零蒔の前に来ていて、斧を振り下ろしていた。誰もがこれで今度こそ決着が着いたとそう思った。否、零蒔だけがこれを読んでいた。故にそんな一瞬の動きでさえ対応することが出来た。
ドメインの斧が零蒔にあたる瞬間、そこで斧が止まった。いや、正確には斧が何かに弾かれたというのが正解だろう。
零蒔は壁に打ち付けられた直後、創造魔法で空間魔法を作った。なぜなら、あれほど重い攻撃を受けるには鍛錬が少なすぎると。
「蒼呀一刀流…不知火!」
零蒔はこの不思議な現象で戸惑っているドメインに斧の柄に刀の鍔をあてそのまま一回転しながら勢いを殺さず横に一線はらった。
ドメインは咄嗟のことだったが、反応が少しばかり早く、避けることが出来た。
「貴様今何をした?どう考えてもアレで障壁を貼るにしても間に合わん筈だが?」
当然の質問だ。この場にいる誰もが自体に収拾がつかないのだから。零蒔はこれに対して、口角を上げてニヤリとした。
「簡単なことさ、読んでたんだよ。あんたが殺りに来るってな」
「仮に読んでたとしてもあんな硬い障壁は初めてだぞ?ただの障壁では無いな」
零蒔が今さっき作った空間魔法の結界『天戒領域』。これは1点に集中する形で障壁を貼るのではなく、自身を中心として障壁を貼ることによって、結界全体に無駄なく魔力が流れ、外からの斬撃、槍撃、銃撃、魔力を遮断し跳ね返す。中からはこの効果は無効化される。しかし、これにはしっかりとした弱点がある。例えば、よくゲームとかで敵の防御力が硬いとダメージが1になる時あるでしょ?でもそれってもう少し、火力を足せば1ではなく100と言ったダメージが与えられるだろ?それと全く同じで限界量の攻撃を受ければ流石にこれは抜けられる。
「単なる結界さ。ギミックさえわかれば簡単に突破できるよ」
「はっ!ただ一撃防げただけで図に乗るなよ小僧!そろそろ本気を出していこうか」
あれに本気ってどんな怪力飛ばしてくんだよ!もう、痛いの嫌なんだけど
「『強靭』『天嵐』!」
強靭で筋力と魔力を一時的に最大限引き出したのか、それに天嵐で強靭による重さを軽減し、スピードを高めたのか。正しく斧の鬼だな。
「そちらも来るか?ならこれで決着をつけようぜ!魔法創造『火精霊』
遍く雷焰よ 世界を破滅へともたらす劫火 地を統べ天を架ける希望の刃 今齎す災厄のとき ……」
「第7位界魔法か?そんなものまで使えるとは益々興味が出てきたな?しかし、たとえ強き魔法を使えようとも経験の差が勝つんだよ小僧!行くぞ!」
「地獄の焰斬よ 善に仇なす敵を焼き尽くせ!『ヘブルズ・フレイル』!」
強靭化されたドメインと赤黒い火焰を顕現させ作った刀を持つ零蒔が相対した。
斧と火の刀がぶつかりあった瞬間、水蒸気のようなものが発生し、その水蒸気が一瞬にしてその場を埋め尽くした。そのおかげで結果がどうなったのか水蒸気が晴れるまで誰にも分からなかった。
水蒸気が晴れ始め、ふたつのシルエットが見えるようになった。試合が始まる前、審判であるミルから見て左側にいたドメインと右側にいた零蒔が相対した瞬間目を凝らし、結果どうなったのかを早く周りに伝えないといけなかった。
はっきりと2人の位置がが分かるようになって、姿を現した。出てきたのは右側にドメイン、左に零蒔といった形であった。
2人は互いに向き合い睨み合っていた。
そこで直ぐに緊張感が漂ってきた。まだこの戦いが続くのかと。
しかし、2人が同時に1歩踏み出した瞬間、決着がついた。
「グフゥッ!グハッ!」
腹を抑え血を吐きながら倒れたのはドメインだった。零蒔は勿論無傷だった。
誰もが驚愕した。なぜなら確実に二人共の攻撃が当たっているはずなのに、零蒔には切り傷がドメインには火傷の痕が…否、ドメインだけには傷があった。切り傷だ。なぜ火傷ではなく切り傷なのか?不思議に思っただろう。答えはすぐにわかった。二人の会話を聞くことが出来たからだ
「んぅ、貴様、わざと技を消しただろう?」
「あったりめぇだ!あれだけだと俺が押し負けてしまうのでな」
零蒔は両斧とぶつかる瞬間、術を解いた。それと同時に火焰が一気に蒸発されるため生じる水蒸気で視界を消した。それと同時に火焰で隠していた鏡月でドメインの腹を軽く斬った。同時に同時を重ねて敵を斬る。
「速くて捉えることが出来ないのであれば、違う意味で相手を止める。油断を誘い、どうゲームを運ぶかは俺の流派にとっては1番大事なことなんだよ」
Aランクの中でも上の方に位置するドメインを呆気なく(?)切り伏せた零蒔はドヤ顔でドメインに言うと今まで周りで観ていた連中はそれが気に食わなかったのか抗議してきた
「なんで新人如きがドメインの兄貴に負かされねぇーんだよ!イカサマだァ!」
この一言により、周りが更にうるさくなった。
(おいおいさっき潔く認めてやるよとか言ってたじゃんか!)
ミルは事態の収拾に取り掛かろうとするが冒険者達の気迫に押し負け、オロオロしていた。
「うっせーぞ!ガキども!俺がイカサマを手伝ったって言いてぇのか?あァ?!文句あんなら俺に言え」
声の主はドメインだった。
ドメインは負けたことに不服だった訳ではなく、零蒔がイカサマだと責められている状況に心底イラついていた。
「勝者は誰がどう見ても零蒔の勝ちだ!そうだろ?ウィルよ」
「ふふふ、そうね。当然あなたのような愛おしいお方の勝利ね」
突然、妖艶な色気を漂わせながら零蒔とドメインのそばまで来たのは半ば3g…グフォ!って殴らないで下さい!ごめんなさい。
「あら?そう。久しぶりに面白い玩具が見つかったと思ったんだけどね」
「ウィルさんに年齢のこと聞くなよ?新人だから見逃してくれたがホントだったら今お前は男として機能しなくなるぞ?嫌なら、年齢のことを聞くなよ?」
どうやらウィルって人には年齢について話したりするのは禁止らしい
「まだ、自己紹介してなかったわね。私の名前はウィリアム・ベルテギ・シリカというわ。ここのギルドマスターをやっています。あなたの名前を教えてくださるかしら?」
どうやらこの大人な女性はウィリアム・ベルテギ・シリカというらしい。
「俺の名前は八鍵零蒔、レイジと呼んでくれ」
ギルドマスターのシリカにギルマスの部屋に来いと言われたので今ギルマスの部屋にいる。
ちなみに俺がウィルと呼ぼうとしたら、シリカと呼んでくれと言われた。
ギルマスの部屋はシンプルでソファに机、ワークデスクの上に何かの書類が積み上げられ、埃っぽくなく、壁には何かの賞状みたいな置物もあった。
「そこに腰掛けてくれ」
と言われたのでソファに座って待っている所だ。
ソファの座り心地は日本にいた時よりも気持ちいい。やばいです!何ですか、このソファは!これ絶対日本にあったら中毒者が現れそうだぜ!
ーーとソファの心地良さに歓喜していると、シリカが紅茶を入れてくれて、自分のと零蒔の分の二つを机の上に置いてくれた。
「さて、早速本題にはいらせてもらうが、あなたはは今日初めて冒険者登録をしたのよね?」
「えぇ、それでさっきの闘いをしたんですけど」
もしかして俺は冒険者の登録出来ないとか?だったらなんで闘ったんだよ。うわー嫌だー。
「そうそうそれよ、まぁ、簡単に言えばあなたにSランクから始めて欲しいのよね」
シリカの要件は零蒔の予想の斜め上をいっていてまさかSランクから始めろと言われ、かなり驚いている
「いやいやいや、何で俺がSランクから何ですか!だってそもそも一番高くてもCランクからと とミルが言ってましたよ?」
「何よ、Sランクだと不服か?ならSSランクならどうよ?」
なんでランクが上がった?いきなり過ぎませんか?
「なんでランクが上がるんですか!」
零蒔はシリカに理由を聞いた
「いやだって、あのドメインをたおしたのよ?それにミルに聞いた話だと魔力値が軽くオーバーしていたって言っておったからな。Sランクが妥当だろうと考えたが、実際お前の実力はSSランクなんか軽く超えるくらいだからね?流石に新人がSSはやばいと考えたからSランクにしたけれど、ダメかしら?」
いやーどうやらあの闘いが今回の原因らしいな、まぁ仕方ないよね!だって途中から男としてプライドが懸かった気がしてたからね。自業自得だよ。
「まぁ有難くSランクを受け取っきますね」
「何を言っている?あなたはもうSSランクだよ?」
今更だがシリカの容姿を教えよう。
金髪に先にいくにつれて黒が入っている特殊な髪を持っていて、長い耳という事だからエルフだろう。服装は黒を基調としたワンピースのようなものでとても大人っぽさを強調している。
胸はあまり大きくなく、あの自称Cカップの琴音と同じくらいだ。
ちなみに鑑定でステータスを確認したところ
ウィリアム・ベルテギ・シリカ
ステータス
名前:ウィリアム・ベルテギ・シリカ
年齢:24(偽装中)
性別:女
種族:ハイエルフ
職種:冒険者 賢者
レベル: 157
HP:25472
MP:30000
攻撃:4500
防御:6230
俊敏:10150
運:1000
スキル
縮地
空壁 Lv.MAX
雷歩
限界突破
魔脳
魔法属性:全属性【火、水、土、風、雷】
特殊属性【闇】
魔法
火属性魔法
水属性魔法
雷属性魔法
土属性魔法
風属性魔法
闇属性魔法
称号
賢者 世界樹の守人 ギルドマスター
魔法の超越者 魔法の天才
かなり驚いている。だって現に勇者すら上回ってる人たちでも魔神は愚か、大魔王すら倒せないって言ってたんだけど、そんな存在に俺らはどう立ち向かうんだよ。それにしても、やっぱり基本的なスキルは持ってるんだな。唯一のレベリングが必要な空壁と違い、他の身体に関する合わせて5個のスキル【縮地】【空壁】【雷歩】【絶強】そして最後に神から選ばれた者持つとされる【限界突破】この5つがこの世界で生きていく上で少なくとも2つは身につけなければならないことだ。
常人であれば2つ、名を馳せたいのであれば3つか4つ、誰からも認められ確実とした強者と認められた者ならば、神から【限界突破】が授けられる。
これはまだいいだろう。では魔脳とは何か?
これは魔法使いの中でも女神から認められ、魔法の原理をだいたい理解出来ているものであり、長寿の種族かLv.100以上の魔法の才がある人間のみが与えられるスキル。
魔脳 魔力の根源である魔素を取り込むことが出来るー魔力変換、魔力の流れを見ることが出来るー魔視、魔力の練りをもっと細かく、密に出来るー魔力操作、自分の知らない魔法を見ただけで自分も使えるー魔法複製
この4つのスキルを一つにまとめたものが魔脳だ。故にシリカに魔法で闘えば負けることになる。
それだけでなく、魔法使いに関係の無い【限界突破】があるってことは近接でも鍛えて団長並に力を持っているということか。
ま、シリカのステータスや容姿のことは後でいいや。今はこれからの事をどうしようか。
「なぁ、レイジよ。これからお主はどうするつもりだ?外れた身とはいえ、勇者なんだろう?」
なんで俺が勇者だって分かった?鑑定か?でもそんな気配しなかったぞ?
「まあ、身構えるな。単純に噂になっておるよ。勇者召喚で失敗して関係の無い人間を呼んできてしまったこと。そして、その子はダンジョンにて、勇者達を助けるために狂剣ハウルに消し飛ばされたこと。そして、その勇者たちの名前は東洋の国和国の名と似ていること。そして、黒髪黒目ということも。あなたは黒髪赤目だけれども。ふふ、それにどうやらその反応だと正しいようだな」
どうやら、カマをかけられたようだ。ま、別にバレたところで関係ないしな。
「まぁ確かにその言う通りだね。それでそれがなんかあるのかい?」
「いんや、ただこれからお主はどうするのかって気になってな?」
まだ、大して決まってないけどやろうと思っていることはあるし、それに教えたところで何の問題もないしね。
「確かAランクから通称で呼ばれるようになるんだろ?」
「確かにそういうことになっているが、なんで?」
「俺は多分これからあいつらの元へは戻らないからね。戻りたかったのであれば、今頃ここにはいないさ。それに俺には目的があるからね」
「そういえばそうだったな。レナのとこで生活しておったとさっき自慢してきた」
レナってシリカと友達だったのか?まぁ、でもハイエルフ同士だし気があったりするのかな?
「それはそうと目的とはなんなのだ?」
これは言う必要もないだろう
「……」
「まぁ、構わないか。二つ名に関しては依頼をこなすうちに周りが教えてくれる」
周りがつけるってことは、俺並みのネーミングセンスの悪い奴がいそうで怖いけど多分大丈夫だと思う
零蒔が引きつった顔になるとシリカが直ぐに、
「なぁに、変な二つ名などつかないよ。案外あいつらのネーミングセンスはいいから」と言っていたがほんとにそうなのだろうか?
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とある洞窟にて…
コロシテヤル…ゼッタイ…ユル…サ…ナイ
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とある天空都市にて…
時は満ちたか…今すぐに召集をしろ!始まるぞ…永き戦いに終止符を打つ!
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とある魔王城にて…
ー✼✼✼✼✼様!準備は万全です。いつでも出来ます!
ーそうか…なら先導者が…我らが英雄様がこの場に戻るまでに希望の光を絶やすなよ?
ーはっ!
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