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最強魔術師が魔法世界で無双する?!  作者: 金糸雀
二章 シッカ王国からの旅立ち
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閑話 勇者の決意(桐崎小春)

遅くなってすみません



辛い夢を見た。

悲しいを夢を見た。

否、夢であって夢では無いもの。夢であって欲しいと願った。ただ自分たちが幸せにすらしていたいって思いたかった。

夢という形で終わってくれていたのであれば、これほど辛い気持ちにはならなかったのに。


夢であって欲しかった現実の中で、愁君がシンクさんに連れられ帰ってきた時は絶望し、落胆し、脅威し、厭悪し、気絶した。

眼が覚めると真っ先に見えたものは見知らぬ天井であり、見知った天井でもあった。でもそれは私たちの家の天井ではなかった。夢なら覚めて欲しかった。その天井が自分の家の自分の部屋の天井であって欲しかった。自分の家であったならあれが本当に夢であったのに。

泣いてしまった。涙腺が緩んでしまったのだろうか、最近すぐに泣いてしまうな。こんなところ零蒔くんに見られてしまったら飽きられてしまうのかな?


私はなんのために生きていけばいいのかな?

私は誰のために生を謳歌すればいいのかな?

私は人間が嫌い、人という種族が嫌い。

零蒔くんという愛しの人を簡単に殺させる煩悩貴族共が嫌い。簡単に殺す訓練さえまともに受けてない平民以上騎士以下の力しか持ってない零蒔をダンジョンに送り犠牲にして平然とした顔で生きている騎士達が嫌い。


「は、春!起きたんだね!よかった、よかったよー!」


絶望じみた目で天井を眺めていた小春であったが、扉が開く音がした後、聞き覚えのある声が叫んでいた。

その声を持つ人間が歓喜の声をあげた。


「琴音ちゃん?ねぇ?零蒔知らない?」


小春は確認を取りたかった。零蒔がいないのであればどこかで生きていることを望むことにした。ほんとに死んでしまったのであればこの行き着かない不安な気持ちは一体なんなのか、零蒔がいるかいないかでそれが決まる。


「零蒔は...その...この場にはいない。あの時帰ってきたのは愁とシンクさんだけ」


それだけで十分だった。いや、それのみで十分すぎた。


「あのね..........」


いないと分かればあとはすることを済ませてこんなゴミ捨て場みたいな場所にいる必要は無い。クソ貴族やくそ騎士達のあんな気持ち悪い目線でいつまでも見られているといつか零蒔くんのためにあるこの身体が犯されてしまいそうですごく吐き気がする。

こんな場所にいても零蒔くんは戻ってこない。零蒔くんであればクラスから離れたら一人で旅に出ようとするはず。そして可愛らしい女の子を途中で魅了しては仲間に引き入れていくに違いない!そんなのさせない!零蒔くんの貞操は私が守ってみせる。


「なっ!春、それ本気なの?!」


「琴音ちゃんは着いてきてくれるよね?」


私達の愛を邪魔するやつは誰だろうと殺してやる。零蒔くんには私達だけ充分。だけどもし再会出来た時はしっかりとお仕置きしなきゃね。私の前から勝手に姿を消したんだもん。もう彼をどこにも行かせない。ずっとずっとずっとずぅーっと私と一緒だよ。



ーーー



ここは大食堂、いつも勇者である葉山たちがご飯をとる場所だ。


「みんな聞いてくれ!」


零蒔がいなくて気落ちしている男子勇者と葉山が無事で安心して帰還できたことに意気揚々としている女子勇者の両方に、葉山が演説する形で椅子の上に立ち目線を自分に向けるように催促した。


「今ならみんな少しは冷静になっているだろうから気づいているだろう。この場には2人だけいないということを。零蒔と金井君がこの場にはいない」


「ダンジョンにおいて俺らは魔族のハウルと遭遇し助けられた。これは誰のおかげかわかってんのか⁈貴様がそこに立って入られているのも!女子らが安堵できていることもそして、愁がこのクラスのリーダーでいられるのも誰のおかげかわかってんのか?」


悠木はここぞとばかりに今まで溜めてきていたこのクラスの現状、この世界に来てからのストレスをぶちまけた。

当然、このクラスのリーダー格だと思っている葉山を好いている女子らは何を言っているのかわかっていなかった。


「そうだよなぁそうだよな!てめーら女子はいつも葉山しか見ていない!今ここにいる葉山は誰のおかげか!いや葉山だけじゃねぇ!俺らだって誰のおかげかわかってんのか⁈」


悠木含む葉山以外の男子は女子たちに向かって文句を言い出した。

悠木の言い分は正しかった。

なぜならこのクラスの女子たちは口を揃えて

「何を言っているの?そんなのシンクさんもいたし葉山君の才能に決まっているじゃない」

全てを生きて帰ってこれた人間のおかげだとしか見ていなかった。

零蒔のことを一切見ていなかった。

零蒔と小春、琴音が付き合っていることは知っていたが幼馴染のよしみで『偉大なる葉山様』が寛大な気持ちでそばにいさせてもらっている付属品だとしかおもっていなかった。

故に男子は絶望した。

葉山を尊敬し出した男子でさえこのクラスの不条理に目を背けるしかできなかった。絶望せざるを得なかった。

それ以降男子と女子とで互いの不安、不満をぶちまけクラスの崩壊とも言っていいくらいまで荒れていた。それを一人の少女はなんで不毛なことをしているのか理解出来なかった。


「何をやっているの?」


その一言で十分であった。その意図ことがなければこのクラス、2年2組は崩壊していただろう。

今まで黙り込んでいた小春が騒乱としていたこの食堂にたった一言で静寂へと導いた。


「ねぇ、争っている場合じゃないんだよ?私たちはなんのために守られたの?魔王を打ち倒すためでしょ?誰のおかげで助かったなんてどうでもいいよ!そんなの聞いて知ってなんになるの!結局、みんなはなんで今もこうしてご飯を食べていられるのか分かってないじゃん!」



その後も小春は泣きながらクラスに話し込んでいた。

少しして、ご飯を運んで来たメイドたちに続きシンクとダンシーク、王様も部屋に入って来た

彼らは2人の人間を犠牲にしてしまったことを土下座までして謝って来た。

勇者たちは自分たちが浅はかだったと口にして彼らの頭を上げさせた。


「すみません。さっき話しが途中で終わってしまったので、1つみんなに話したいことがあるので聞いてもらえます?」


「もちろんだ」


王様たちも加わったことで今後について話しとこうとなった。

葉山はまずは自分の話を聞いてくれと食事を早めに済ませ一呼吸置いてから喋り出した


「僕がフロアから抜け出した後気絶していた時のことなんです。これはあくまで気絶していた時の話であって単なる夢なのかも知れませんが聞いてください。


最初僕は白い部屋にいました。何もなく視界全てを白で埋め尽くしていました。何が起きたのか?自分は死んでしまったのか?など思うところがたくさんありました。するとそこへ零蒔が現れました。零蒔は僕に絶対に死ぬなよと言い、僕と零蒔の思い出を巡っていました。

その中にも僕にとって一番辛い過去、零蒔のおかげで立ち直ることのできて出来事もあります。

夢の中で彼は僕に知識を先に身に付けろと言っていました。僕らはあの場で彼以外世界の情勢すら知らない子供だったんです。もし僕らに知識さえあれば零蒔を無くすこともなかった!これは少なくともシンクさんあなた達の責任でもあります。僕らが知ろうとしなかったのもありますが、シンクさん達はずっと戦わせるようにしか訓練していなかった。

そして零蒔はハウルによって殺されてはいません。仮定ですが、ハウルは勇者は殺すと命令されて僕らの前に現れました。僕達がフロアから立ち去る際、騎士を殺せる場面はありました。ですがその時ハウルは一切動こうとせずただ僕達を見つめていました。

最初は遊んでいるのかと思いましたが、あれは単純に目的が僕達であって無駄な殺生をするつもりがなかったという意思表示ではないかと思いました。証拠としてハウルはフロアから出ようとせずただ立っているだけでした。

僕は昼に図書館に行き竜人族について調べて見たところ、フロアボスになっている最中にフロアからは出ることは出来ないと記されていました。あとは言わなくてもわかると思います。

零蒔は生きて戻ると言っていました。僕を安心させるために言ったのかもしれませんが、僕はそれを信じてみようと思います。

ハウルは勇者を殺す若しくは見定めるのであってそれ以外に手を下すことは出来ないということです。

零蒔はまだ生きていると思う。生きていてほしい。


夢の話だからなんと言えばいいのかわからないけど小春や琴音を零蒔がいない間守っていてくれなんて言っているんだから零蒔は生きているさ。

何を言いたいのかと言えば、僕たちはあの時誰に守られたのか?誰が僕たちのために動いてくれたのか?なんのために僕たちを生かしたのか?って考えなければならない。そして、知識をつけ、誰にも負けない武力を得ることで今度は守ってくれた人間を今度は僕らが守る番だと思う。そしてこの世界の民のために僕らは命をかけなければならない。知識を得て初めて武器を持てるんだ。それに僕たちは勇者なんだってことは忘れないようしよう。僕たちは勇者であって誰よりも強く生きていかなくてはならない。

強くなりたい欲ばかりではその欲に負け勇者足り得る行動ができなくなる。その例として金井君が悪魔と契約してしまった。これは僕の責任だ。僕がしっかりとみんなのことを知らないばかりに!

みんなもそんな過ちをしないでくれ!僕たちは焦らず順序を持って修行しないといけない。だからどうか頼む!俺に着いて来てくれないか?俺を支えてくれないか?…」


その後も愁君は演説を長々と述べていたが誰1人嫌がる顔をしないで真剣に聞いていた。

愁君はあえて零蒔くんの名前を出した。

この意図は勇者はおろかこの場にいる全員がこの意味を汲み取ることができた。

ただ1つは気になったことが、愁君は一人称を「僕」では無く「俺」に変えていたけど一体何があったのかな?



ーーー



ここのナレーションはテルミニア帝国帝国騎士団総団長のシンク・マルケニアが受け持たせてもらう。


シュウの演説から二週間ほど経った。

この二週間勇者である彼らは午前は鍛錬、午後は知識を高めるために図書館にこもっていた。

そして現在、大体の知識を得た彼らは俺ら団長含む兵士たちに教えをこいてきた。


魔法について宮廷魔導師が動き、戦士に関しては我々団長らが動いた。生成職は王都生粋の職人に弟子入りを頼み、各々修行に励んでいた。


そしてレイジくんの愛人?が言っていた独り言をどうぞ!

“零蒔くんは絶対に生きているもん!私を置いてどっかに行かないはずだから。私を1人にしないはずだから。今度は私が零くん蒔を守り通す。だから待っててね、私強くなるから!”





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