和解します!
「武具召喚『鏡月』召喚!!!」
漆黒の鞘に収まっている刀、その刀身は、まさしく地球で使っていた日本刀であり零蒔の手にしっかりと馴染んだ。
へぇ〜、しっかりと再現できるだ。やばい、感動してきた。
さてと地球でのよりも少し重くなった程度だし、この世界風になったと思えば単なる刀、団長を斬り殺すことなど容易いな。
「さぁ団長、続きをしましょう!」
「いや待ってくれ。なんだその剣は?そもそもそれは剣なのか?それにどこから出したんだ?」
「おまけ様特有の力なんでな、団長には、分からねぇよ」
「まぁ、後で聞けばいいしな、それよりそんな細い剣じゃあ、いくら神級だからって折れちまうぞ⁈」
これが神級だと一目でわかるとはな、鏡月からそういうオーラを感じているということか?それともダンシークの鑑定によるものなのか?後者のほうが理にかなうな。
「これは地球の俺らの国の武器で刀っていうだ。さらに俺が剣をやっていた時の愛剣でな、お前ごときがこの剣を持った俺に敵うわけがない!」
「では、試してやろう!そんな細い剣では、俺の刃には、勝てないってことを!はぁぁぁあ!!多刃両刃!!!」
「抜刀」
零蒔が鏡月を抜刀すると、漆黒の刀に少しばかり赤が入った線が悠然さを放っていた。
今俺が一番にやるべきことは、あいつを斬り殺すこと。ならば、いつものように殺るだけだな。
ダンシークが大量の刃を零蒔を囲むように放ってきている。そこで誰もが、零蒔が負けたと思った。
だが、そんな状況は一変した。それは零蒔がさっきから言っている言葉によって。
「あなたの剣は確かに強い。だが、剣を扱う者に対してあまり見せびらかすように使う業じゃねぇ!だから、こうすれば簡単に回避できちまう。」
零蒔が大量の刃に対して行ったことは、前から来たのを右に避け、横から来たのを、後ろに避け上から来たのを剣で切っただけである。
「なっ⁈どういうことだ!!!なぜ斬撃が消えた?」
こんなことで驚かれているようじゃ愁たちを導くことができるのか不安になったぞ。
「簡単なことさ。あんたは、斬撃を飛ばすという剣の偉業を成し遂げられた。しかし、その飛ぶ斬撃は、強さを得るとともに視覚化してしまったことだ」
「どういうことだ?だからといってそんな簡単に打ち切れるわけがない!!!」
はぁ?まじか?本当にそんなこともわかんないのか?剣をやっているなら当たり前だろ。
てか、剣をやる以前に「何かを得るには何かを捨てるという行為に等しい」これ常識なのでは?
あれ?俺がおかしいの?
「剣を扱うには、理由がある。1つは、魔法より殺傷力があるということ。2つ目は、具現化しないこと。本来剣とはな斬撃を飛ばすということは簡単にできちまう。
しかし、ここの世界においては別みたいだな。あんたみたいに剣を飛ばす時は、どうしても視覚化してしまう」
「飛ぶ斬撃は、どんな方法を使っても見えるようにできるはずだ!」
「じゃあ、これはどう説明する?」
零蒔がそういう言い、刀を振るとダンシークの真横に大きな亀裂が生じた。
「な、なんだ⁈これは、どういうことだ!」
「斬撃を強くするには、代償が必要だそれをあんたらこの世界では、見えるようにしてしまった。だが、俺の剣ではより強くより速く、なおかつ目に映らないために払った代償は…体力をなくした。」
「ま、待て体力を無くすだと?それだけの強みに払う代償は、体力だけなのか?割に合ってなさすぎると思うんだが」
やっぱりこの世界では、文明が発達してないのか。うーん、だとしたらこの世界のことを知らなければ、この先やってけないなぁ。
だがどうする?図書館を使わせてくれといっても重要な文書は見せてくれないだろうし。勝手に侵入して知るか?でももっと簡単な方法があるかな?
まぁとにかくここは手っ取り早く終わらせるか。
「蒼呀一刀流 仙蔵 双糸梨蘭」
鞘にしまった刀を鞘から振り抜き、そしてただ縦に降ろす。
これは敵を脅すために作られた基本型ではなく基礎型。
殺傷能力もなく、ただ剣圧を受けるだけの型。