ヒーロー
朔矢の親友宏夫か初登場!
朔矢よりも少し大人な感じの宏夫は、落ち着きながらも朔矢を応援してますね。笑
学校の屋上。
「なぁー宏夫守るって具体的にどうしたら良いと思う?」
「んー?」
「いや、なんかスッゲー守ってやりたい奴がいてさ、どうしたら良いと思う?」
「うーん、」
「真面目に聞けよっ」
「んー」
「おい!宏夫ー」
このふざけた返事しかしないのは、俺の親友、風間 宏夫(かざま
ひろ)。小中高と一緒で大人しい処以外なら性格や趣味も似た者同士。俺の固い決意の相談なんか宏夫にしか出来ないのに、、こいつは、、
あの日、保健室で福井さんをベッドに寝かせながら誓った俺の決意。それは、
『守る』
何かを抱えて苦しんでいる福井さんの側にいて俺が支える。福井さんを苦しめているものから彼女を助ける。
俺が福井さんを守る。
あの日俺は、そう誓った。
でも、、、
守るって、、どーしたらいいんだ?
彼女を苦しめている『何か』が分からないから事前に守る事は不可能。
表情が暗くなっていたら勿論、側に居てやるが仮面を被っている彼女は、ギリギリまで我慢して周りに気づかれない様にするだろう。そんな福井さんを守るには、、、
「、、ヒーローになれば良いじゃん」
「え?」
「朔がその守ってあげたい子にとってのヒーローになればいいんだよ。」
「はぁーー?そんなのなれねーよ!何だよヒーローって。」
俺は、宏夫がなにを言っているのか分からなかった。ヒーローなんて戦隊系のアニメで見たことはあるけど俺は、ヒーローみたいに変身や強い技なんて出来ない。宏夫は、俺にどうしろと言っているんだ?
「ヒーローなんて俺には、なれねーよ!」
そっぽを向いて言った後、宏夫のため息をつく声が聞こえた。
「まぁ、、朔がそんなんだったら守れる物も守れないと思うよ。じゃーな!」
「おいっ宏夫!何なんだよそれ。ちゃんと説明しろー」
「自分で気づかないと意味ないのーガンバッ。」
「はぁーー?」
勝手にどんどん離れて行ってしまった宏夫の背中を俺は、見送る事しか出来なかった。
(ヒーローか、、、)
俺でもヒーローになれるならなりたいな。福井さんを守れる強いヒーローに、、、
俺は、まだ宏夫が伝えようとしてくれた事の全部を理解した訳じゃないけど強いヒーローになりたいと思った。
変身出来なくても、強い必殺技なんか出来ないけど、ヒロインを守れる格好いいヒーローになりたい。
俺は、廊下を歩いて行った宏夫を追いかけて言ってやった。
「なってやるよ!どんなヒーローよりもカッコ良くて強いヒーローに!」
宏夫は、ニヤリと笑った。
俺も笑い返す。
「頑張れよ!ヒーロー」
「あぁ、ありがとな!相棒!」
「俺は、いつから朔の相棒になったんだよ。」
「さぁな。」
宏夫の教室の前まで来た時、宏夫が俺の肩を掴んできた。
「まぁ精々福井さんを守れる様に頑張れよ。じゃ」
「あぁ、、、って!何でお前がその事知ってんだよ!」
「いやー、お前普通に分かりやすいからー。じゃー頑張れよー」
俺は、赤面しながら宏夫のことを睨みつけてやった。