支える俺
「俺が隠してやるよ。お前の涙も、、弱い所も。」
抱き締める腕に力が入る。
ハッとしたときには、遅かった。華奢なその体を強ばらせて、俺の腕にすっぽり抱かれた彼女がそこにいた。慌てて引き離す。
「ご、ごめんっ、、うわーーなんで俺こんなことしたんだろーー!」
思わず頭を抱えてしゃがみこむ。
「、、とに?」
「えっ?」
俺にしか聞こえない様な小さな声で彼女が何かを言う。
聞き逃すまいと耳に神経を集中させる。
「本当に、、」
「隠して、、、、くれ、、ますか?」
伸長が俺より拳1つ分ほど小さい彼女は上目遣いで俺を見上げる。その瞳からまた涙が溢れてくる。
俺は、もう一度彼女を強く抱き締めた。
壊れそうな彼女に優しくしようとしても、できなかった。どうしても力が入る。
「うっ、、、、ひっく、、」
段々と泣き声が大きくなってくる、、
こんなに声を漏らしていたら泣いているのは、バレバレだけど彼女の人に見られたく無いという願いは、俺がこうする事によって叶えられている。
「大丈夫か?」
抱き締めながら俺は聞いた。彼女は、フルフルと横に首を振った。
はぁぁ?
隠して欲しいと言われたから隠しているのに、大丈夫じゃないって、、、、
俺は、ただ涙を隠すだけじゃなく彼女を支える様に、慰める様に抱き締めていた手を上に上げていく。
ポンッ、
俺は、彼女の頭を優しく撫でた。
福井さんは、驚いた様に真っ赤な目を俺に向けた。
「これからも、、泣きたい時は、俺がこうやって隠してやるよ。だから我慢すんな!」
ポンポンと再び撫でてやる。自分でやったことだが、恥ずかしくて目を反らす。
「ありがとう、、北見君。絶対にこれからも隠してね、、」
一度俺の胸に顔を埋め、そう言うと福井さんは、俺から離れて行く。
そしていつもの笑顔がさらに輝いた笑顔を俺に向け
「今回の事は、内緒だよ。北見君!約束!、、、ちゃんと守ってね。」
彼女は、少しためらう様に
「私の二度目の涙を見て良いのは、北見君だけだから!」
そう俺に言った。