表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編小説集1 (1話~50話)

ウサギとカメ

作者: 蹴沢缶九郎

ウサギがカメに言った。


「カメさん、僕とあの丘まで競走しよう。」


ウサギは勿論、カメに勝つ事は容易だと思っていたので勝負を挑んだわけだが、何より、勝負に勝って他の動物達の前でどんくさいカメを馬鹿にしてやろうとの考えが一番にあったのだった。


カメは言った。


「いいよ。あの丘まで競走しよう。」


という事で話はまとまり、二匹の競走の話は瞬く間に動物達に広まった。

カバがニワトリに聞く、


「どちらが勝つか賭けないか?」


「よせよ、そんなのウサギが勝つに決まってるだろ。」


といった具合に動物達の予想は「ウサギが勝つ」が占めていた。


勝負の当日、スタート地点に二匹が並ぶ。ウサギとカメにイヌがルールの確認をする。


「ルールは至って簡単。ここから見えるあの丘に先にゴールした方が勝ちです。よろしいですね?」


頷く二匹。


「それではよ~い…」


「パンッ!!」と、上空へと向けられたピストルがスタートの合図を知らせる。


スタートと同時にウサギは物凄い早さで丘へと駆け出す。それは音速だった。対するカメはやはりというか、ノロノロと進み始める。その光景はどの動物達も予想出来ていた光景だった。


失笑する者、帰り始める者、ちゃっかり者のキツネはスタート地点横の空き地で油揚げの屋台で小銭稼ぎをしており、その店じまいをしている。


さて勝負の方は、相変わらずウサギがリードで差を広げ、もうじきゴールという所まで来ていた。このウサギ、性格に難はあるが変に慎重な部分を持ち合わせていた。油断をしない、徹底して勝つウサギだったのである。


「カメさん、このままゴールさせてもらうよ。」


とウサギがそろそろ丘のゴールテープを切ろうかというその時、『何か』がウサギの横を通り抜けていった。あまりの早さにその『何か』を認識出来なかったウサギからすれば、正しくは「通り抜けた気がした」だ。


その早さはまさに光速だった。


我にかえったウサギが、先にゴールテープを切った、その『何か』の正体を確認しようと見ると、そこには甲羅を脱ぎ捨てたカメの姿が…。



結論:やはり見た目で判断するのはよろしくないようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ