第110話 旧神ヘルメース
草原を吹き抜ける爽やかな風が肌を撫で、澄み渡った空からは陽の光が降り注ぐ。
そんな中を駆け抜ける二頭の馬がいた。
その内の一頭には一組の男女が乗っており、一人は肩まで波うつ長い金の髪を持ち、白いローブの上にマントを羽織った青年。
もう一人の少女は同じく金の髪だが、こちらは真っ直ぐに背中の半ばまで伸びており、その髪が白い法衣と合わさってまるで天使のように神々しく見えていた。
ともすれば汗ばむほどの陽気にも関わらず、先ほどから丁度よく冷えた心地よい風が彼らを包んでおり、汗で衣服が濡れる不快感とはまるで無縁のままに移動していく。
それはまるで、自分たちでそう仕向けているように見えるものだった。
先ほどから彼らは、相手が口にした単語の最後の文字から始まる単語を次々に言い合っていたが、その内に飽きたのか、金髪の青年の方が少女へある質問を口にした。
「そう言えばガビー、ヘルマについて何か知ってることはあるかい? 結局エルザ司祭はニヤニヤするだけで、何も教えてくれなかったから気になるんだよね」
バヤールの背に跨ったアルバトールは、なぜかバヤールの背では無く彼の背におぶさっているガビーに質問をする。
「ヘルメース知ってる?」
「うん、一言でいうならロクなことをしない神様だよね」
そう言ってから、自分の周りにはロクなことをしない神様しか居ないことに気付くアルバトール。
「そそ、そのヘルメースのシンボルがヘルマなの。彼は旅や商人の守り神でもあるし、街道の境界の守り神にはピッタリ……なんで引き返そうとしてんのよアンタ」
「ちょっと神様にも指摘ができるような良識がある人を増やしてくる」
「ここに居るじゃない」
「ガビーは良識どころか常識すら無いじゃないか……いてて! 口を引っ張るな!」
暴れる二人を乗せながらも、バヤールは馬体を大きく乱すことも無く街道を気持ちよさそうにラビカンと並走していく。
彼らが走る街道の周囲に生える野草は、芽吹いたばかりのか細く柔らかい物から、太く固い物へと成長し、その頂点には小さなピンク色の花弁をひっそりと咲かせていた。
そのピンクの花弁が、先ほどから吹き抜ける風に揺れる姿は、まるで彼らに向かって花の妖精が微笑みながら手を振っているように感じられるものだった。
「流石にフォルセール城の近くは、街道の手入れも行き届いてるね」
口うるさいガビーから視線を外し、そのまま馬上から緑の絨毯へと見る対象を変えて独り言を呟いたアルバトールは、知らず知らずのうちにテスタ村へ通じる廃れた街道を思い出し、吸血鬼から人へと戻った少女、ノエルのことを思い出していた。
(元気にしてるのかな……)
アルストリア領での経験は、アルバトールを大天使から座天使へと飛躍させるほどの貴重な物だった。
その経験した中でも、吸血鬼ノエルの人への復帰は彼にとってあらゆる意味で印象深いもので、いつでも情報を取り出せるようにしているほど、彼が管理する数あるアーカイブの中でも特別なものとなっていた。
「どうしたのよアルバ、急に黙り込んで」
そして独り言を言った後、急に黙って思い出に浸りはじめたアルバトールを背中から不思議そうに見ていたガビーは、急に彼の首筋に鼻を持って行き、すんすんと匂いを嗅ぎ始める。
「……この香りは女のことを考えてる匂いね。しかもかなりの美少女と見たわ」
「その手には乗らないよ。手口がエルザ司祭と同じなんだからまったくもう」
内心でこれ以上無いほどに動揺しながらも、表向きには平然としているアルバトールの表情は、次のガビーの発言で粉みじんに砕かれる。
「言ってなかったかしら? あたし男女の仲や恋の匂いを感じとることが出来るのよ」
「嘘だといってよガービィ!?」
「往生際が悪いわねアルバ! この恋の達人にかかればあんたの隠し事なんて一発で白日の下に晒せるんだからね!」
あっさり動揺を露わにするアルバトール。
そこを畳みかけようとして目を輝かせるガビーだったが、それは残念ながら中途でお預けとなってしまう。
「我が主、目的地でございますが、どうなさいますか?」
「降りる」
ガビーとすったもんだの問答を繰り返していたアルバトールは、バヤールの問いかけを天の助けとばかりに即答し、地面に降り立ったのだった。
「ここに来るのも久しぶりだな。昔はアデライード姫と良く来てたっけ……ああ、二人でぶら下がってポッキリ折れたアレもそのままだな」
懐かし気に呟くアルバトールの目の前には、彼の背丈を軽く上回る、一見しただけでは太い棒にしか見えない巨大なヘルマが建立されていた。
幼かったあの頃は、この像の役目や形に秘められた意味なども知らず、ただ単に面白い形の像がある、とだけしか思っていなかった。
だが、成長した今は違う。
「あの時は本当に申し訳ありませんでしたァ!!!」
アルバトールは、ヘルメースの顔がついている像の上半分から、眩い光に包まれているように見える下半身の一箇所、成人男性で言うなれば股間の辺りを凝視すると深々と頭を下げ、そこに当然あるべき物を折ってしまった子供の頃の愚行を詫び。
「じゃあガビー、ヘルメースを呼び出してもらってもいいかい?」
そして謝罪したからいいよねとばかりにすぐに平然となると、ガビーにヘルメースを呼び出すように頼み込んだのだった。
「仕方ないわね。あたし自ら動くなんて、よっぽど重要なことのみなんだから光栄に思いなさいよ?」
得意気に胸を張るガビー。
「じゃあ君が付きっ切りになってる僕は、よっぽど重要な人物なんだろうね」
「か、勘違いしないでよねっ! エルザ司祭様が言ったからあんたに付きっ切りになってるだけなんだからっ!」
しかしアルバトールの軽口を聞くと途端にガビーは顔を赤くして慌てて否定し、誤魔化すように懐に手を入れて何かを探す仕草をした。
「もう何回もこれで呼び出してるから慣れたもの……あ、あれ? どこに入れたかしら」
ガビーはパタパタと白い法衣のあちこちを叩いた後、ついにはそれを脱ぎ、肌着姿になって法衣を逆さにして振るが、中には何も入っていなかった。
「忘れちゃった、てへっ」
「やれやれ、しょうがないなぁガビーは」
笑顔でガビーのほっぺを思いっきり引っ張るアルバトール。
しかし呼び出す為の道具? をガビーが持っていないのでは、ここで彼が頭を悩ませようが何をしようが、どうしようもないことは明白だった。
「仕方ない、一度城に戻ろうか」
諦めて城に戻ることを提案するアルバトールに対し、人型になったバヤールが思い出したように口を開く。
「我が主、そう言えばヘルメース様は女性に目が無いと聞いたことがあります」
「女性に?」
「ええ。美しく、妙齢な女性に」
アルバトールはそれを聞いて少しの間考え込む。
1、かつて妖艶な美しさを誇った幼女
2、可憐で美しく見えるが男性
3、屈強で美しい肉体を持つ女性
「……何で全員微妙に外れてるんだ」
心の中で嘆くアルバトール。
確かに揃いも揃って嫌がらせかと思うほど微妙にストライクゾーンを外しているが、仲間に罪は無い……いや、ヘルメースを呼び出す道具を忘れたガビーに罪はあるが。
「仕方ない、やはり城に戻って……ん? 何か忘れているような」
彼に引っ張られ、赤くなった頬を涙目でさするガビーを見たアルバトールは、何か胸に引っかかるものをその幼女に感じ、記憶を辿ってある会話の内容を思い出す。
「そうだ! ガビーは変化の術で元の姿に戻れるんだよね! ちょっと戻ってヘルメースを呼び出してみてよ!」
「うえええええっ!? で、でも……皆の前で元の姿に戻るのってちょっぴり恥ずかしいって言うか……」
「大丈夫! 君の今までの行動と言動の方がよっぽど恥ずかしいよ!」
「あんたあたしに喧嘩売ってんの!?」
でも戻った。
「……なるほど、これは評判になる訳だ」
「ちょっと! あんまりジロジロ見ないでよ!」
変化の術を使って元の姿に戻ったガビー、天使ガブリエルは確かに美しかった。
黄金色に輝く豊かな髪は、一筋の乱れも無く腰まで届き、少し下がった眉と目じりは儚く優しげなもので、長いまつげが印象的だった。
泣きぼくろがあるが、男性に泣かされる運命という根拠のない言い伝えは、天使にもあるのだろうか。
先ほどガビーのほっぺを思いっきりつねり上げ、泣かした自分を棚に上げて自分勝手な批評をすると、アルバトールは早速ヘルメースの召喚をガビーに頼む。
「もーしょうがないなー」
そしてガビーと言えば、元に戻った自分を見た時のアルバトールの反応が満更でも無かったのか、ご機嫌でヘルマの方へ近づいていった。
「……何してんの?」
「儀式」
アルバトールが見たガビーのヘルメースを呼び出す儀式は、夜のお店で良く見る、男性にすり寄ってくるプロフェッショナルなお姉さんの仕草にしか見えないものだった。
「それ今までもしてたの?」
「うん」
「……」
(……ひょっとして今までずっと、ヘルメースは道具じゃなくて別の理由で呼び出されてたんじゃ)
思いついた考えを言う訳にもいかず、ずっともじもじするアルバトールを見たガビーは、即座に真っ赤になって彼を叱りつける。
「あんた何勘違いしてんのよ! これはあくまで儀式なんだからね! これだからお子様は困るのよ!」
「何の話だッ!」
騒がしい天使二人の脇では、馬の姿に戻ったバヤールとラビカンの二頭が除草を兼ねてのんびりと下草をはんでおり、それはそれは牧歌的な時間が、ヘルマの周りのただれた空間とは無縁な感じで緩やかに過ぎて行く。
ふと我に返ったアルバトールは、そんな和やかな光景を見て穏やかな気分になるが、しかしすぐにその横で必死に頑張っているガビーが視界に入り。
ガビーに気付かれずに視界から消す方法は無いものかと、彼が真面目に考え始めた時、像の先端から白くて濃い煙のようなものが立ち上った。
「あ、出た出た」
陽気の中、ヘルマにすりすりしていたガビーは息が上がって全身に汗をかいており、衣服が肌に張り付いて豊満な肉体の線が露わとなっていた。
そして一仕事終わったといった感じで、きらきらと輝く額の汗を満足そうに手で拭った彼女が幼女の姿へ戻った次の瞬間。
「久しぶりだねガブリエル! あまりに音沙汰が無いから、君がわざと僕に会わずに焦らす作戦に出たのかとずっとモヤモヤして……して? 誰だ君たちは」
「死ねェェェェェェエエエエ!!」
旧神ヘルメースはガビーの匠の技で呼び出された直後に、アルバトールの右拳を顔に埋め込まれて気絶した。
そして。
「申し訳ありません。貴方の姿があまりにも知っている顔に似ていたもので、つい憎しみの拳を放ってしまいました」
「貴様、普段どんな人付き合いをしてるんだ!?」
ガビーに召喚されたヘルメース。
その顔はアルバトールの知っている旧神の一人、バアル=ゼブルにそっくりだった。
バアル=ゼブルが水色の髪を持つのに対してヘルメースは薄緑色の髪をしており、それだけを見れば一目で別人であることは判る。
だが現れたヘルメースは幅広のぺタソスと呼ばれる帽子をかぶっており、それがアルバトールの視線を遮って見分けをつかなくしていたのだ。
その緑色の髪に合わせたベストとシャツを着て、ズボンを履いた彼は一見そこらを歩く狩人のようにも見えたが、身に纏う雰囲気は流石は神と唸らせるに十分だった。
「顔見知りの旧神がロクでもないことばかりするもので、今度会った時に少し世の中の道理を教えてあげようと思っていたのです。それにしても良く似ている……念の為に聞いておきますが、変装じゃないでしょうね?」
「何回違うと言わせれば気が済むんだ」
会うなり右拳を埋め込んだのが効いているのか、姿を現したヘルメースは先ほどから不機嫌そのもので、アルバトールは恐る恐るヘルマ破壊の願いを口にする。
「失礼しました。実は貴方をお呼びだてしたのは他でもありません。我々が魔族を打倒するにあたって街道に設置してあるヘルマを壊す必要が出てきましたので、それをお伝えしようと思った次第です」
「ああ、いいよ」
「へ」
ヘルメースがいともあっさりと承諾するとは全く思っていなかった一同は、その返答に対して唖然とし、その真意を尋ねてみる。
「元々僕は街道と言う動かない物に縛り付けられたくなかったから、ヘルマを壊してそこから解放されるのは願っても無いことだ」
さすがに神は懐が深い。
そう思ったアルバトールが礼を言おうとした瞬間、ヘルメースが顔の前に人差し指を立てて機先を制する。
「だが象徴の一つであるヘルマを壊した結果、人々の信仰心が薄れて僕の力が弱まるのは困る。そこでヘルマを壊す代わりに、僕の出す条件を一つ飲んでもらいたい」
(やはりそう来たか。ヘルマに代わる新しい象徴の設置? それとも神殿の作成か?)
シルヴェールからは、今の石像ほどの大きさであれば建立の承諾をしても良いと言われている(もちろん少し勿体ぶり、ヘルメースの為に無理をして建立するように見せる必要はあっただろうが)
よってアルバトールは気楽にヘルメースの出す条件を待つが、ヘルメースから出された条件は彼の思惑とはまったく別のものだった。
つまり物欲的な物では無く精神的な……いや、やはり物欲と言うか肉欲的な要求が出されたのだ。
「ガブリエルが僕のところに嫁いでくれるなら、ヘルマなどいくつでも壊していいとも! さて、さっき僕を呼び出したのがそのガブリエル本人だと思うんだが、どこに行ったのかなふふふ」
「ああ……あー、はい。少々お待ちを」
その要求を聞いたアルバトールとガビーは、気まずそうにお互いの顔を見つめる。
「ちょっと脇腹つつかないでよ! 言えばいいんでしょ判ったわよ!」
そしてそのガブリエル本人であるガビーは、流石にヘルメースに申し訳ないと思ったのか、あっさりと自分がガブリエルであると白状したのだった。
「反応が無いな。ガビーちょっと元に戻って慰めてあげたら?」
「嫌。大体この天軍の副官たる水のガブリエルが、そんないやらしいことすると思ってんの?」
(じゃあさっきの儀式は何だと思ってるんだ)
ヘルメースは何かショックなことでもあったのか、ガビーの正体を聞いた直後から目を虚ろにして固まったままで、その様子を見たアルバトールは手の施しようが無いと判断し、一旦城に戻ることを決断してバヤールとラビカンの姿を探す。
「仕方ない、このままお持ち帰りしてフォルセールで話の続きをしよう。バヤール! ラビカン! ちょっとこっちまで来てくれ!」
随分と遠くでボロを出しながら下草を食んでいた二人は、その呼びかけに気付いて嘶きを返すと、すぐさまアルバトールの元に戻ってくる。
「我が主、どうしたのです……おお、これは街道の守護神ヘルメス様!」
人型の形をとってアルバトールに質問をしようとしたバヤールは、そこにヘルメースの姿を認めるや否や感動の声を漏らしてかしこまった態度で膝をつくが、その対象となった人物はまるで気づく様子が無い。
ヘルメスの顔のすぐ近くまで顔面を寄せても、自分に気づかないのを見たバヤールはそのままアルバトールへ訝し気な視線を向けた。
「反応がまるでありませんが、何かあったのですか? 我が主」
「あー、まぁ色々と……とりあえずエルザ司祭に治療してもらおうかな。と言うわけでこのままヘルメースをフォルセールに運んでもらってもいいかい?」
「それは構いませんが」
事態が呑み込めないと言った顔をしつつも、とりあえず頷くバヤール。
「ヘルメース様に何かあったのですか?」
しかしバヤールの陰からラビカンが顔を出した瞬間、ヘルメースの顔には劇的な変化が現れ、その口からは情熱の吐息が次々と彼の耳へと吐き出され始めていた。
「おお! 何と美しい……! アルバトールと言ったか! このお方を僕に頂けるのであれば、ヘルマの破壊には目を瞑ろうではないか!」
ラビカンと初対面であるヘルメースは、明らかに勘違いをした様子でヘルマ破壊の条件を出す。
そのヘルメースに対し。
「そ、それは本気ですか!?」
敢えて正気ですか、とは言わないアルバトール。
「そ、そんな……身に余る光栄、感謝いたします。しかし私には将来を誓い合ったバヤールと言う婚約者が既に……」
自分は雄ですが、とは言わないラビカン。
「ラ、ラビカンを……クッ……だ、だが街道の守護神たるヘルメス様の所望とあれば……このバヤール、血を吐く思いでお前を手放す覚悟くらいは……」
ラビカンが雄であると言わないバヤールであった。
そして哀れなヘルメースは、勘違いをしたまま愛の語らいを始めてしまう。
「おお、君には婚約者がいるのか。だがその婚約者を想い、憂う君の瞳の何と美しいことよ……このヘルメース、その婚約者と変わらぬ……いや、それ以上の愛を、君と君の周りを包む世界すべてに贈ることを誓おう。この求婚、受けて下さいませんか?」
ヘルメースの勢い、あるいは強引さに負けたか。
ついにラビカンは気恥ずかし気に頷き、承諾の意を返していた。
「……こんな私で良ければ。しかしヘルマの処遇はどうされるのです?」
「無論承知するとも! なに、僕は街道の守護神以外にも色んな面で信仰を持っている。一つくらい失ったってどうと言うことはない!」
ヘルマの破壊を快諾するヘルメース。
しかしそんな彼を、冷たい目で見つめる一人の幼女がその場に居た。
「ラビカンって雄だけど、大丈夫なの?」
ガビーの指摘に再び固まるヘルメース。
だが愛の力か、今度の彼の復活は早かった。
「ハハハハ! 愛しい僕が他の女性と結婚することになったからって、嫉妬は良くないよ元ハニー! 大体この人のどこが……? なぜ恥ずかしそうな顔してるのかな今ハニー」
顔を伏せ、手を前で組んで顔を逸らすラビカン。
その姿を見たヘルメースは顔を強張らせ、何度かまばたきをした後に一つの提案を彼に申し出る。
もみもみ。あ、ついてる
「どおおおぉぉぉぉオオオオなってんだァァァァァァああああ!? おい! 男じゃないか! 僕に男と結婚しろって言うのか!?」
「あ、いやその、そうですね。一応ヘルマ破壊は承認してもらえたので、そこまでして頂かなくても結構ですが」
「鬼! 悪魔! こうなったら約束は反故にするのが当たり前だろう!?」
「いえ、最初に性別どころか種族すら聞かれませんでしたし、反故にする必要をまったく感じませんが」
「ウワァァァァァンンンン!!」
しばらく後、フォルセール城の城門にて。
「おや、お客人ですかアルバトール様」
「うん。身分証は僕の方で発行するから、仮の身分証は発行しなくていいよ」
フォルセールに、緑色の仲間が増えました。
今回、ヘルメースの事を書くにあたってギリシャ神話の記事を色々と調べたのですが、下手なラノベ顔負けですね。
もう色々とモラルが欠如してると言うか何というか、まぁ神なので人の価値観を当て嵌めるのは的外れなんですが……w冥界の統治者のハデスが一番マトモな性格してるって流石にどうよ?って思ってしまいました。
ギリシャ神話のヘルメースをそのまま持って来たら、俺はノンケでも云々とか言っちゃいそうで非常に困るので、今回は多少ぬるめにアレンジしております。