城攻略 1
白竜から初めてクエストを受注し、
キーアイテムの翼竜の飛翔石を手に入れた。
「人間の城までは少し距離があります。送りましょう」
「ありがとうございます」
以外とやさしいなあと1号は思ったが、すぐに考えを改める事になった。
白竜はその場で翼を広げ浮遊した。4本ある足の中の前足で1号を掴み、そのまま岩の裂け目を縫うように竜の巣から飛び出した。その後も有無を言わさず飛び続け、1号は物凄いスピードで息もできない。失神寸前まで追い込まれたが、白竜は速度を緩めて上空にホバリングした。
「彼処が人間の城です」
白竜は変わらず、静かに落ち着いて語る。
「城の周囲や、城内には結界の施しがあり、我らでは入ることができません。しかし、さすがは愚民族と呼ぶべきか、上空からはその限りではありません」
「ぐふっ。なるほどっ。ごほっ」
1号はやっと高速ジェットコースターの恐怖から復帰していた。
「これ以上は近くに寄れないため、ここでお別れとなります。一応の為、風の加護を付けますが、死ぬことは無いでしょう。必ず天運の碑石を持ち帰るのですよ」
「え?落とすの?うすふぉぉぉぉぉ」
白竜は1号を掴んでいた前足を解放した。
「あばばばばば」
上空から一気に城へ向けて急降下する。
バッシャーん。
1号は、ちょうど中庭の池に落下した。
「くそう、飛んだ後は落下かよ。もうあの竜には乗らない。」
落下ダメージは無いが、精神的にかなりダメージを受けた。
システムメッセージが鳴り響く。
「不夜城の侵入に初めて成功したプレイヤーが現れました!1号さんです。それでは引き続き、不夜城ver1.0をお楽しみください」
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時を同じくして、開発ルーム。
「はははっ。1号さん、最高!すごいですよ、博士!」
「あーもう。寝かせてくれ」
勧誘に失敗続きのロリ博士は机で寝ている。偉大な博士のはずが、ぞんざいに扱われている模様である。開発ルームには女性2名の他は見えない。
「城の侵入者第1号ですよ!ソロで初期装備とか、ははっ」
「なに!」
ロリ博士は飛び起きて自席のコンソールを覗き込む。
「そんな、どうやって」
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時を同じくして、別のフィールドマップ上に1人の女性冒険者が居る。
「1号って、まさかあの人。信じられない、バグ?」
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1号が中庭の池の中で呆気に取られている。
「システムメッセージだ。あれ、初?俺が?」
これまで1番を取った事があまり無いので、素直に嬉しい。
「侵入者だ!警備隊は中庭に集結せよ!」
喜びもつかの間、周囲が慌ただしくなってきた。
「どぉぉぉやってクリアするの?これ?」
1号は両手を上げて、抵抗しないポーズを取る。完全に衛兵に包囲されている。
修正)1/22:衛兵のセリフの誤字を修正した。
修正)1/23:インデントを修正した。