バージョンアップ
木村を含めたMMOジャンキー達のフレンドネットワークによって、プレイヤー人口は急速に増え続け、今では10万人くらいまで到達する勢いになった。
プレイヤーが増えたことによって、ロリ博士達は新たに2つのワールドを追加するバージョンアップを決行した。
今までプレイしていた不夜城、そして地下迷宮都市と、天空要塞の二つが追加となったワールドだ。
それぞれのワールドはログイン時にランダムに選ばれ、その日に選ばれたワールドしか入ることができない。
未だ不夜城の最上階に到達した者は出ていないため、攻略に専念していたプレイヤーは落胆していた。
「1号先生、新しいワールドの攻略本はいつ頃でしょうか?」
「う、うむ。まだ情報不足のため、もう少々お待ちくだされ」
1号は木村達と脱サラし、今ではこのゲームの書籍製作を本業にしている。
タイトルは『空からの侵略者こうりゃくほう』ちょと的を外したタイトルだが、内容はゲーム内のオススメスポットや料理、酒などゆるい話題が大半だ。中でも一番の注目はロリ博士と助手のウズキの開発者インタビュー。正直な話、宇宙人のスクープ効果も相まって、ものすごく売れてしまった。その為、脱サラして続きの書籍製作に本腰を入れることになった。
ゲームをプレイした10万人が、既にロリ博士達のハイスペックなテクノロジーの証人となっている為、世界的に注目を浴びるのは時間の問題だった。当初はロリ博士達に危機感を抱く人達もいたが、今回製作した書籍などが、彼女達に我々地球人には危害を与えない存在であることも認知される要因になったはずだ。
今ではログインするために必要な『シール』の生産が追いつかず、ゲーム内のレアドロップアイテムで獲得できるように仕様変更された。冒険者が獲得した『シール』は、オークションサイトで高額の取引が行われている。
ピンポーン。
「おーい、1号さんカレー作ったけど食べる?あ、編集さんこんにちは。編集さんも食べます?」
「どうも2号さん。いえ、さっき食べましたので……」
2号は今、お世話になった施設のお手伝いをしている。そして、1号を保証人にして1号のアパートの隣に住んでいる。ちゃっかりしている。
「カレー!もちろん食べます!」
ーーらっきょうを切らしていた気がする。




