ぼーいみーつがーる
「同じ冒険者!」
にこやかに微笑むお姉さん風の冒険者は、まさに天使のようだ。1号は少し興奮して声が上ずる。落ち着いて情報収集させて頂こう。
「すいません。初めてログインしたばかりで、右も左もわからなくって。ちょっとだけ聞いてもいいですか?」
コミュニケーション能力が低い1号なりにも、まずは失礼のない様に切り出してみる。
「あーごめんなさい。あまり時間なくて」
女性の冒険者は一変して、申し訳なさそうに謝る。
「そうですか残念です」
いえいえ、良いのですよ。あなたに会えただけで、幸運です。と言いたかったが、1号にその勇気はなかった。
「あ、村長の家はあっちですよー」
女性の冒険者が村の奥にある大きな家屋を指差す。
「ありがとうございます。行ってみます」
ずしゃ。
背中に何か突き刺さった衝撃を感じた。目線を自分の胸元に落とすと、
冷たく光る剣が1っぽん生えていた。剣の生え際には赤いエフェクトが見える。
やられた。まさかの初心者狩り。
「ごめんなさい」
背中に女性の冒険者の声がする。
突き刺さった剣は引き抜かれ、1号はその場に倒れこむ。同時にアイテムや硬貨が散らばってゆく。女性の冒険者はアイテム等を素早く拾い上げ、その場から立ち去った。
幸運を掴んだと思いきや、不運はまだまだ続いていた。
視界がブラックアウトして、意識を失った。気がつくと、1号は見たことのある近未来的な部屋に戻っていた。あの時と同じように、目の前にメイドコスの少女が座っている。
修正)ベータ->1.0
修正)1/23:インデントを修正した。