表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/33

閑話休題 開発ルーム2

 またしてもここは宇宙船内の開発ルーム。ロリ博士と助手のウズキの2人は城下町を守る一人の女性冒険者の動きをモニターで見ていた。


「2号さんズゴすぎなんですけど、博士何か細工したんですか?」

「するわけないだろ!」


 ウズキは地球上のお菓子に現在夢中で今はポテチを堪能している。


「じゃあ、バクですか?」

「おい!」

 ウズキのポテチを取り上げて全部たいらげる。


「ああああああああ」

 お気に入りの最後の一袋だったらしい。


「くだらない事を言うから悪いのだ。もしゃもしゃ」

 ロリ博士は、なかなか美味いなと感心し、後でゲームに取り込んでやろうと、成分の欄をフムフムと眺める。


「じゃあ、なんであんなに強いんですか?2号ちゃんだけ異常ですよ」

「あくまでもこれは仮設だが、あの子は知らないのだ。限界を」

「どういう事です?」

 ウズキにはまったくもって分からなかった。


「たとえばお前、足は早いか?」

「ええ、運動は得意な方ですけど」

「でもゲーム内では2号が早い」

 ウズキの頭にはハテナが浮かんでいる。


「パンチングマシーンの最高得点は何キロだ?」

「え?やった事ないですけど。普通の女子よりは、ってか2号ちゃんよりは出るはずです」

「でもゲーム内では2号の方が出る」

 ウズキは納得がいかないようで頭を抱え出した。


「博士、つまりどう言う事なんですか?」

「私の助手としてはこの辺でピンときて欲しいところだよ。まあいい、つまり人間には本能的に現状を維持しようとする力が存在する」

「えええ、どんどん難しくなってきました」

 ウズキはロリ博士の話がもう理解の限界らしい。


「わかりやすく説明するから、まあ聞け。つまり、体温を一定にしたり、呼吸をして心臓や血液を動かし、生命を維持しようとする力があるんじゃ。この力は意識しなくても常に働く。そして、ゲーム内でも酸素は必要ないが、これまで生きてきた(くせ)としてやってしまう」

「そうなんだ、知りませんでした」

「お前がリアルでどんだけ走っても死ぬことはできない。心臓が壊れたら、動かせなくなるから、壊さないようにしようという力が普通は発生する。これも現状を維持しようとする力が働いているからじゃ」

 ロリ博士が教壇に立つ教師のように話を続ける。


「つまり、ゲーム内でも同じ癖が働き、リアルと同じ分だけしか走れないのじゃ」

「ええええええええ」


「こっからが、今回のポイントなんじゃが」

「はい」

 ウズキはゴクリを固唾(かたず)を飲んでロリ博士の最後のオチを待つ。


「でも2号は限界まで走った事がないから、走れるのでは?というのが私の仮設じゃ」

「ええええええええええええ」

 ウズキは今日の衝撃的事実2回目で、ノックダウン寸前だ。


「しかも聴覚が異様に発達しているおまけ付きじゃ」

「2号ちゃん、チートじゃないですか」


 モニター画面の2号へ背後から敵モンスターが斬りかかるが、2号は軽くいなして何かをつぶやいている。

「何言ってるんだろ」

「8、7、6、5」

 別のモンスターが2号に襲いかかるのを見て、いなしたモンスターを玉突き状に蹴り飛ばし、そして一閃。


「刀の耐久が回復する時間をカウントしてるんじゃろ」

「かっこいいいい」

 ウズキは2号のファンになってしまった。


「博士、ところで例のトラブルの件はどうするんですか?」

「あれは1号にまかせる事にした。おう、倒したみたいだな」


ーーシステムメッセージ

「おめでとうございます。ブラックドラゴンの討伐に成功しました。ラストアタックは1号さんです」


「ちょっくら、行ってくる」

 ロリ博士は足早に開発ルームを出て行った。


「えー、1号さんに頼むとか。博士ひどいなぁ」

 ウズキは楽しみが増えた事でニヤニヤしながら、地球上で調達したお菓子を取りに行く。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ