盗賊ギルド
ブッラックドラゴン撃破から数日が経過している。今は城から遥か北の雪深い小さな町にいる。
「1号、ホットコーラでいいか?」
「ありがとう」
ブラックドラゴン撃破後にロリ博士から1つのクエストを受注した。クエストの詳細を確認すると、盗賊ギルドを調査しろと書いてあった。
「ふぃー甘い」
「はははっ」
笑っている男は盗賊ギルドの先輩、マルコさんだ。マルコさんは髪が無くてスキンヘッドで、無駄に迫力がある。
ここは盗賊ギルドからほど近い酒場で、今日のギルドクエストを完了して2人で休憩中(飲み会)だ。
「高すぎる!」
「いやならいいんだぜぇ」
奥のテーブルで2人の男が口論をしている。
「なんで急にそんな値段になるんだ」
「おいおい、俺も忙しいんだ。いやなら帰るか?」
アイテムトレードでトラブルだろうか?売っている男は見たことがある。たしか同じ盗賊ギルドだ。
「ちくしょう!」
アイテム購入側の男は、バンと硬貨をテーブルに叩きつけた。
「まいどありー」
購入側が折れて、アイテムを受け取り酒場を出て行った。
「あの人ってたしか」
「ああ、うちのギルドのロイドだ。奴には関わらないほうがいい」
ギルドの先輩マルコさんがロイドに聞こえないように教えてくれた。
「おや?マルコくんと有名人のルーキーじゃないか」
ロイドがこちらに気づいて、ヘラヘラと近寄ってきた。
「今日もキノコ狩りご苦労だったねぇ」
ロイドの言うキノコ狩りとは、2人もやったギルドクエストの事である。北側の山の麓に生息するキノコ型のモンスターからドロップアイテムを集めるクエストの略称となっている。ドロップアイテムの名前はスークのキノコ。
「酒が不味くなる。あっちに行ってくれ」
「なんだと、マルコもう一回言ってみろ」
マルコさんとロイドは仲が良くないようだ。
騒ぎを聞きつけて、酒場の2階から大きな男が降りてきた。
「2人共その辺にしとけ、新人がびびって辞めるだろうが」
「ギルマス、マルコの方がつっかかってきたんだ!」
ロイドの顔がものすごく赤くなっている。
「わかった、わかった。ロイドお前は外で頭冷やしてろ」
「くそっ」
ロイドはギルマスに言われて、渋々酒場を出て行った。
「ギルマスも何か飲みますか?」
盗賊ギルドマスターのジンは巨漢で、腹と声がでかい。
「いや、これから人と会うからよ。またにしとく」
ジンはまたなと言い残して酒場から出て行った。
「あやしいな」
「はははっ、1号するどいな」
マルコが一変して明るくなる。しかし、ジンが良く何処かに出かけるようで、気になる。
「錬金ギルドの女に会いに行ってるみたいだぜ」
「やっぱり」
人を束ねるギルドマスターが女とは!うらやましい。
ここ最近、アイテムトレードで何度か口論になっている場面が頻発しているように感じる。ロリ博士からのクエストで調査しろと言われたが、あのトレードされたアイテムが鍵を握っているように思える。