ドロップアイテム
「やたあああああ」
「キュー」
1号はキュー助を胴上げしながら、クエストの達成に大喜びした。
「やられた」
「まあ、あのままでは2人ともやられていました」
突然、1号の背後でカゲロウのように空間が揺らめき出した。
「なにあれ」
「気をつけて下さい。何か来ます」
ライトの警戒を呼びかける声に1号も反応する。
カゲロウの中からゆっくりと少女が歩み出てくる。
「刮目せよ、我こそはゲームマスターなり」
「何しに来た、ロリ博士」
いつものメイドコスチュームではなく、今回は賢者風の衣装だ。
「こら、アホ1号、せっかくの登場が台無しではないか!」
ドスンっと、ロリ博士の持つ杖が1号の脳天に炸裂し、1号はうずくまって悶絶した。
「キュ、キュー」
1号が攻撃されたと思い、キュー助がロリ博士を威嚇している。
「キュー助大丈夫だから、一応知り合いだ。イタタタ」
1号の様子を見て、キュー助も警戒を解いた。
「私はいつものように時間がない、要件だけ伝えるぞ」
「すげーやな予感がする」
1号は露骨に嫌な顔をする。
「1号よ、お前に一件クエストを与える。詳しくはクエストの詳細を確認しろ」
「は?どうせ面倒くさいやつだろ、やらんぞ」
こっちにだって拒否権はあるはずだ。って、いい加減レベル上げして新しい装備買いたい。
「報酬は、2号とフレンドにしてやる」
「やります!」
「ちょっとまって、そんな勝手に。2号ちゃんの許可もないのに許さないわ」
リサは数少ないフレンドの2号が話題に出て、2人の間に割り込んでくる。
「許可はこれから取る!」
「ええええ」
ロリ博士の行き当たりバッタリな行動に1号はげんなりして、ロリ博士に疑いの目を向ける。
「大丈夫だ、2号に断られても。リサお前も3号になったのだ、その時は代わりにフレンドになってやれ」
「い、嫌よ、こんな変なやつ」
リサに嫌がられて心に大ダメージを受けたが、ロリ博士が引っかかる事を言っていた。
「え、3号になったの?」
「あなたには悪い事をしたと思っているわ。ごめんなさい」
リサが1号に対して謝罪するが、1号はまだ良く分からなかった。
「ゲームをする対価として金銭を預かるシステムにしているのだが。その件でトラブルが発生し、少なくない通報を受けていた。対応策として思いついたのが、名前を囚われるシステムであり、第1号がお前という事だ」
時間がないと言うわりに、丁寧にロリ博士が語った。
「特例でお金を返してもらう代わりに、3号にしてもらったの」
リサはリアルでお金に困っていて、早くクリアしたかった。そのために、初期狩りみたいな事もしていたって事か。
「今回のクエストも、その件が絡んでいる。頼んだぞ!」
「それなら、私がやります」
リサはどうしても、2号のフレンドにさせたくないらしい。
ちなみにリサと発言してもシステムが上書きして、彼女に伝わるのは3号になる。
「このクエストにはブラックドラゴンのドロップアイテム、事闇の靴が重要な役割を果たすだろう」




