閑話休題 開発ルーム
時間は2号の捕獲から少しさかのぼり、ここは宇宙船内の開発ルーム。助手のウズキの笑い声が室内に響いている。
「城の侵入者第1号ですよ!ソロで初期装備とか、ははっ」
「なに!」
ロリ博士は飛び起きて自席のコンソールを覗き込む。
「そんな、どうやって」
上空から城への侵入クエストは高レベルでの受注を想定していた。周囲を侵入不可の崖で覆われており、高レベルで取得できる飛行ユニットが必須条件になるからだ。
「どうやって、あそこまで辿り着いたんだ」
ロリ博士は周囲の仮想ウインドウを操作して解析を始める。
「崖を登ってましたよ」
ウズキは1号に少々興味があったので、様子をモニターで見ていた。
「まさか、登れる訳がないだろう」
ロリ博士は時間と場所を指定してログを収集し、別のモニターで当時の状況を再生してみる。
簡単にスイスイと登っている1号が映し出される。
「な、なんじゃこりゃあああ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「わかった」
ロリ博士はデスクにぐったりと突っ伏して、うなだれる。
「さすが博士、バグですか?」
ウズキが明るく尋ねる。
「まさかの、村人装備だけ異常に摩擦係数が高い」
「それで1号さんだけ登れたのですね」
「くそー、この事が明るみに出れば、バランス崩壊に繋がる」
ロリ博士は鋭い目つきで歯ぎしりする。
「村人装備が流行るかも。はははははは」
ウズキは更に爆笑する。
「よし、緊急だんまりアップデートだ!」
腰に手を当て、壁を指差して決めポーズしているが、作業をするのはロリ博士である。
後日のアップデートにより村人装備の修正が行われ、崖を登る裏技は使えなくなった。




